3/21 保育政策の事実認識の違いで麻生首相を笑えるか
朝日新聞が、待機児童問題、首相の認識不足あらわ「急に増えたよね」と突っ込む。待機児童問題を正確に把握していないことを揶揄している。
しかし、これは首相だけの問題かと思う。保育所についての政策的な正確な認識は、厚生労働省、保育園を考える親の会などの保護者団体や保護者、共産党系の諸々の保育運動団体、民間保育所経営者団体、自治労、自治労連、保育福祉労組などの関係労組、一部の専門家ぐらいしかない。
地域社会でも、保育所の政策を担当している市役所の職員は3年で入れ替わるから本当のことはよくわからないし(中には福祉畑を左遷コースにしている呆れた自治体もある)、保育所の職員は保育所の中身の問題しかわからないし、昼間市内にいる人は保育所のことなんかどうでもいいし、直接の利害関係者である子どもは政策を語れないし、保護者は仕事と家庭の両立で手一杯で市役所に頻繁に通って何かしてもらうことはできないし、誰もわからないで、こうやるといいだろうという先例と伝聞が政策になっている。そんなものである。
※だから、もっと簡単な役所の業務より先に、給食調理などとともに民間委託の対象として行政効率化のターゲットにされてきた。朝霞市でも、ほとんど無審査に近い委託が行われている。
おまけに、これから政権を担うであろうしがらみのないことを美徳としたがる大野党は、保護者団体、関係労組の保育政策担当者、保育所経営者団体との、この問題での正面からのパイプを持たないために、保育所のことなんか規制緩和のネタにしか語れない議員ばかりである。そういう粗雑な議論の仕方がこの問題を複雑骨折させている。
マスコミも同様で、ようやくここに来て規制緩和を問題だと言うようになったが、以前は、規制緩和勧善懲悪チチンプイ神話にのりかかって、待機児童問題の議論をしてきた。保育所のサービスがいまいちなのも、規制緩和の不足というような論調。そうではなくて人が手当できる十分な財源がつかないことと、自治体や地域社会の中で保育政策なんか二の次にされてきたから、延長保育も土日保育も病児保育も普及しないのだ。
●今回、首相が各界の専門的に努力されている人たちに一通り話を聞いたのはいいことだと率直に評価したい。政権党としては、そういうパイプがあり、話を聞く懐の広さを見せることが効果的だと思う。好き嫌いのあまりない麻生氏らしい行動だと思う。問題は首相自身の咀嚼力だと思う。どうも先入観でものを捉える傾向があるようなので、そこがネックか。
●保育所のことでいうと、鳩山総務相が規制改革会議の要求に反論して歯止めをかけている。
待機児童問題、首相の認識不足あらわ「急に増えたよね」2009年3月21日20時44分朝日
経済危機克服のための有識者会合最終日の21日、少子化対策に関連して、麻生首相らの認識不足があらわになる場面があった。
複数の有識者が、就業希望の母親はみな働けるようにするため、保育所などの受け入れ児童数を現在の約200万人から100万人増やす必要があるとの推計に触れ、保育所の早急な整備を訴えた。
これに対し与謝野財務相は「100万人とはびっくりした」と発言。麻生首相も「急に増えたよね、この数字は」と続けた。だが、この推計は福田内閣時に厚生労働省が示したもので、これをもとに福田内閣は「新待機児童ゼロ作戦」を策定、10年間で受け入れ児童数を100万人増やす目標を掲げた。麻生内閣も08年度第2次補正予算に、ゼロ作戦のための基金創設を盛り込んでいる。
16日に始まった有識者会合では延べ84人からの意見聴取を終了。首相は会合後、「頂いた意見は諮問会議などで、きちんと検討すべきものがあればさせて頂く」と述べた。
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