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2009.01.18

1/18 トンデモ科学のNHK「女と男」

NHKの「女と男」、問題番組ではないか。

マイルドにしていたけども、これはネオコンのための疑似科学番組ではないかと疑っている。

・女は地図を読めない
・男と女は先天的に性格や思考回路が違う
・Y染色体はそのまま男系で遺伝する
・Y染色体はなくなる
・精子が薄まっている

これらは、ネオコンが男女の役割分担強化や、最近の若者男性が軟弱だという決めつけ、女系天皇制反対論に利用されている疑似科学そのものではないか。

いくつかおかしいと思うところを。

精子が弱った原因は、チンパンジーやボノボと違い、人間が一夫一妻制を取って、精子に競争が無くなったからだ、と断定して、映像が流されている。しかし、乱婚ではないにしても、複数男性を女性が受け入れている文化はあちこちにあるし、日本でも庶民レベルでは、江戸期、厳密に言えば昭和初期まで続いていた。一夫一妻制の歴史が浅い日本で急激に精子の能力が低下しているのか、わけがわからなくなる。

カップルを作って子育てをするというのが、人間本来の姿のように伝えているが、ほんとうにそうだろうか。平安期の日本など、母系家族で、カップルで子育てするなどというにはほど遠い姿である。庶民なんか、子育てにかまけているようになったのは、高度成長期以降ではないか。

時々サブリミナル効果を狙っているかのように顕微鏡受精の映像を流すのもどうかと思う。

かつて三歳児神話というものがあった。三歳まで母親が愛情もって育てなければ児童心理上問題のある子どもになる、というもので、高度成長期の専業主婦の庶民への普及の裏付けとなるイデオロギーであった。
しかし、後に科学的には何の根拠もないことが明らかになり、児童心理の上では愛情をかけるべき人は誰でもよいとされるようになった。そうでなければ、人類は長く母親が育児に熱心に関われる時代などほとんどなかったわけで、人類はずっと児童心理学的に問題だらけの人間になっている、という結論になってしまう。
しかし、この三歳児神話の害毒は大きく、女性の社会進出を阻み、3歳児未満の保育所の整備が遅れる結果となったし、差別、偏見を助長してきた。

今回の番組が紹介した「科学」というのは、三歳児神話のように、現象面だけ追いかけたらそういうことかもわからないが、既存の常識や道徳のフィルターを取り除いたときに、本当に何が出てくるかわからない程度の研究成果を紹介しているのではないか。

●まことしやかに「最近の若い男に覇気がないのは精子が薄いからだ」というような、若い男にセクハラ発言をするオヤジどもへのネタ提供した番組であったと思う。嫌な感じである。

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