1/7 父親がパチンコをしていたら報道されていたか
こういう事件はそっとしておくことが大切だと思うのだが、毎度毎度、「母親が」と書かれると何かバイアスがかかっているような感じがしてならない居心地の悪さがあって、少し考えを書きたい。
昨日の松戸市の団地で子ども3人が焼死した事件で、火事のときに母親がパチンコをしていたことが問題になっている。
逆に、母親がパートか何かで不在で、父親が仕事の休日の日に、父親がパチンコに行って同じことが起きたら、どうだったのだろうか。ここまで非難がましい書かれ方をしていただろうか。このときも「母親はパート」とか、母親のありかたにターゲットをあてられた記事を書かれるのだろう。
確かにパチンコ大好きな人に、生活を顧みない困った人が多いというのは、傾向であるかもわからない。しかし、この母親が本当はどういう人なのか、どうしてそんな生活をしているのか、本当のことはわからないし、書き立てる意味があるとは思えない。
子育てに伴って棄てなければ我慢しなければならないことがすべての人に平等にある、ということが前提で書かれた記事とは到底思えない。
常識で子どもからできるだけ目を離さないようにした方がいいのだろうけども、昔は農繁期なんか、親は子どもに関わっていられなかったし、昔がきちんとしていたというわけでもないだろう。
こういう事件は、悲しいが、偶発的に必ず起きる。もちろん私はパチンコが苦手なので、多くの人がそう感じるように、パチンコなんかしなければいいと言ってしまえると思うが、しかし一定割合でパチンコにのめり込んでしまう親というのはいて、そういう親のもとに生まれてしまった子どもに、どう安全を保障していくのか、ということを考えるべきだろう。
私たちは新聞記者たちの不断の努力で、家にいていろいろな情報が入る。その背景には、新聞記者たちの家庭を顧みない労働によって支えられている。それでも新聞記者が家庭を持っていたりするのは、「内助の功」だったり、「親の支援」だったりしている。だから、働いている自分をさしおいて誰かが子どもの面倒を見るという価値観が生活感覚となるのはよくわかるが、それが当たり前の生活として記事を書かれても困るなぁ、と思ったりする。
もちろんこういう記事を書いている記者も好きでこんな文章を書いている人ばかりとは思えないし、読者の一定層が「今どきの母親」「若くしてシングルマザー」に何らかの非難をしてみたくて、こういうげすな記事を読みたがっているということがあるからだと思うが。
そして記事を注意深く読むと、警察署がこういう情報までを記者に流していることから記事になっていることがわかる。ここまでの情報をマスコミに流す必要があるのだろうか。公務員の守秘義務も何もあったものではないことに驚く。
三人のお子さんたちの天国での幸せをお祈りします。
出火時、母親「パチンコに」 千葉、子ども3人死亡2009年1月7日22時5分朝日新聞
千葉県松戸市常盤平7丁目の常盤平公団住宅で6日に無職田之口舞さん(23)方が全焼し、子ども3人が死亡した火災で、松戸東署に対して田之口さんが出火当時、「パチンコに行っていた」と話していることが7日、同署への取材で分かった。田之口さんは当初、病院に行っていたと説明していたという。
同署によると、田之口さんは6日午前から近くのパチンコ店に出かけ、いったん帰宅して子どもたちにミルクや食事を与えた後、午後3時すぎ、再びパチンコ店に出かけたと説明しているという。
現場の部屋には田之口さんと長男翼(たすく)ちゃん(4)、次男嵐ちゃん(3)、長女海美(うみ)ちゃん(生後6カ月)が住んでいたが、見つかった子ども3人の遺体のうち2人は翼ちゃんと海美ちゃんであることが確認された。
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コメント
朝日や読売ならまだしも、今日び毎日や中日や産経の記者は共働きがほとんどじゃないかなー?
投稿: o-tsuka | 2009.01.08 12:29
誰か他の人が子供を見ていて、
母親はパチンコしてたんじゃないですよ。
このヒトは朝10時からずっと
幼児だけで家に置いていたんですよ。
ほとんど犯罪、よく言っても育児放棄だと思います。
投稿: miwa | 2009.01.08 12:45
>>o-tsukaさま
少なくとも社会部の記事を書く記者が自ら子育てしているとは思えません。
>>miwaさま
感情的にはあなたのように思うんでしょうけどねぇ。
だからといって、一庶民のみなさんがこういう事件をしって親をなじって、何が良くなるのですかね。
逆に保育所も公的機関からもどんどん隠れて、救済の道が遠のくだけだと思います。
もう議論はほとんど決着しましたが、赤ちゃんポストの是非の論争で見えてきたことだと思います。
困っていたのは子どもたちなのですから、母親の責任や犯罪性を問題にするのではなくて、どうしたら子どもたちがよりましに生きられたのか、という観点で考えるべきだと思います。
10時からパチンコする親を子どもたちは好きこのんで選んで生まれてくるわけではありません。親を選べない幸せと不幸、その落差がわからない、ということはきっと幸せなんですね。
保育所かどこかに預かってもらっていれば、と思います。
投稿: 管理人 | 2009.01.08 23:01
初めてコメントさせていただきますが、管理人様に同意します。
この手の記事を読むたびに「父親は何やってたんだろうか?」と思います。確かに幼児3人を放り出してパチンコをしていたのは育児放棄でしょう。でも、幼児3人を母親にまかせっきりにした(例え離婚していようが非婚だろうが結果は同じ)父親はどこで何をやっていたのか?
子どもにとっては親が落第だろうと合格だろうと関係なく生きる権利があります。昔のドラマで「同情するより金をくれ」というせりふがありましたが(古くて失礼)、悪口をいうだけならタダです。でも何も解決しませんし、これからも同じような事件が発生するのは明らかです。それなら今の1000倍くらいの税金を投入して児童相談所と児童養護施設と里親制度を充実させ、問題のある親を早期に発見し支援する、場合によっては早急に引き離す、といった方法をとる方が理にかなっていると思います。
投稿: 大根 | 2009.01.09 20:24