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2008.12.27

12/26 経済情勢悪化のもとの朝霞市がとるべき道

経済情勢が厳しい。このことの朝霞市の財政への影響を考えてみたい。

朝霞市の一般会計は300億円超、一時は330億円ぐらいまでいったこともあるが、デフレ経済のときに310億円前後に下がり、以降、そのまま落ち着いている。

そのうち、市の税収は270億円。税収のトップは固定資産税で4割。僅差で住民税が4割弱。そして0.7割が法人事業税。ホンダが朝霞市にいくら納税しているのか把握できないが、企業規模、従業員数、これまでの利潤の高さから、法人事業税の半分ぐらいが消えるのではないか。これで8億円程度の税収減になる。

固定資産税収の考え方も、多く下がることはないにしても、じわじわと下がる。固定資産税は土地価格×住宅や事業所の数、これに滞納しない人の割合と考えればよい。

土地価格でいうと、マンションバブルの崩壊でマンション価格の下落、特に朝霞市のような郊外住宅地の住宅価格が下落していく傾向はしばらく続く。この秋の金融危機以降、不動産業界への資金流入は絞り込まれており、不動産価格が上がる状況にない。事業所も、企業のリストラが始まり、そもそも価格が下がっていく。
さらには住宅は生産過剰にある。毎年110万人しか赤ちゃんが生まれない時代に、160万戸作ってきた。20年で1000万戸供給過剰になる生産をやって、不動産の需要が高まることなどあり得ない。
ということで、朝霞市の住宅価格が上がることは今後数十年は考えられない。

続いて、住戸数が朝霞に増えるのか、という問題である。
95年から2001年にかけての朝霞でのマンションブームは、住宅価格の下落による手頃感で購入者が増えた。しかし、今回の不況で住宅価格が下がって、いくら朝霞のマンションが手頃価格になっても、今まで通り売れ続けるということはないと私は読んでいる。
1つには前に書いたように住宅供給過剰であること。首都圏の住宅ニーズは、必ず都心→23区郊外→多摩地区→23区周縁の千葉、埼玉、神奈川と広がる。人口増加がないまま、住宅供給過剰であれば、人口増加は23区郊外で息切れしそうである。少なくとも裕福な東京都に比べて格段に行政サービスの質が落ちるため、県境は超えない。特に住宅価格だけではなく、保育料や教育水準などを考えれば、人生のトータルコストを考える人は朝霞にマンションを買わなくなるだろう。

住宅購入世代の意識の変化も、住宅価格が下がったからといって購入が進むとは思えない。これまでマンションブームを支えたのは、60年代生まれの持ち家志向が強い世代や、親の財産をあてにできた70年代前半までの前半の団塊ジュニアまで。それ以降の世代は、雇用不安にさらされ続けているので、ローンを組まなくては買えないような、自動車や住宅は買わない。買うのは正規雇用の公務員ぐらいになる。

そうなると、朝霞市の固定資産税のもとになっている土地価格も納税者の数も減り続け、急激に来るかじわじわ来るかわからないが、財政を厳しくする傾向が出るだろう。

今後十年ぐらいは今の税収の1割~2割は減少していくことになると見られる。

朝霞市財政が長期的に息をつないでいくためには、
1.市の財政から不安定要素を排除すること
①基地跡地開発のような長期債務を伴うような投資は全て中止すること。民法的な所有によって市の事業を実現しようとせず、社会的規制によって市の方針を実現するようにすること。
②補助金頼みの開発や土地の買い上げ、事業をやめること。
③固定資産税収入に直結する住宅価格を下支えするため、新住民向けの政策を充実すること。千葉県市川市は、保育所政策を充実させ、病児保育(他の自治体はやっているところでも病後児保育まで)までやっている。私の組合の上部団体の女性職員たちも、市川市に続々移住しているという話も聞こえてきている。少なくとも、コストや利用料はともかく、サービス内容は23区内と遜色のない、福祉や教育水準を確保すること(和光市がこの戦略を採っている)。
④正規の市職員の問題発見、問題解決能力を高めること。臨時職員については、意欲向上して現場を守るためのモチベーションをつくること。
⑤市民が市役所に関わり、自治をしていく意欲を高めていくため、政策決定過程からの市民参加を進めていくこと。
⑥知っている人しか知らないような特定団体やプロ市民運動向けの5万、10万円細切れの補助金を整理し、税金がなければできない事業に絞っていくこと。
⑦以上のようなことを担保するために、市役所内の会議の全面公開、市議や町内会長からの口利き・便宜の取り計らい依頼の記録・公開制度の導入、市議会の改革、公益通報制度の導入、外部監査の導入など、市役所の運営の改革を進めること。

●2年に1度ランキングしている「日経愚ローカル」が、朝霞市の行政サービスの水準を高評価。板橋区より上という結果だが、疑問である。
日経の調査は財政指標の評価割合が高く、他が大したことなくてもぐんと評価が上がるようになっている。財政以外の指標で朝霞市が高位の得点を採っている内容を見たことがない。この調査、非常に表面的な指標が多く、もっとまじめにやっている自治体の評価が全然高くない。
朝霞市なんて行政に苦情を言っても適当に誤魔化されるだけだし、PTA関係者なら教育委員会から口封じの圧力もかかるような話まである。そんな自治体がさまざまな苦情解決機関を用意している板橋区より上、新座市より上、和光市より上なんてあほな話があるかと思う。

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