12/12 与党の税制改革大綱のずれ具合
自民党と公明党の税制改革大綱の筋が悪い。
①消費税の福祉目的税化はナンセンス。道路特定財源の問題と同じで、消費税分しか福祉支出はしない、というメッセージになるかも知れないし、特別会計をまた1つ増やす話にもなりかねない。収入はトータルで管理すべきで、ここが第一に筋が悪い。もちろん私は、福祉や年金の支出のために増税しなくてはならない、という前提は共有する立場ではある。
②消費税増税をさしたる根拠もなく提示したこと。どうして財源不足が起きるのか、明快な説明がなくて、「財政が厳しい」と言っているに留まっている。払った分が国民全体では戻ってくる絵柄がきちんと描けないまま、適当なことばかりやっているから増税に理解が進まないのだろう。
③消費税の複数税率はナンセンスである。消費税が、所得税や法人税、固定資産税と違うのは、徴税の事務を納税者に背負わせていることである。私も流通業でコンピューター開発の仕事をしたことがあるが、そのときも議論されていた複数税率の対応のためにプログラムの開発費が100万円単位でかかった。複数税率にすると、レジうちも単純にできなくなり、小規模事業者や零細業者にはとんでもない事務の手数がかかる。生活必需品に減税したければ、所得税の基礎控除や、生活保護の増額、給付金として返せばいいことではないか。
④政策減税のオンパレードなのも気になる。政策減税とは、どういう減税があるか知らないと、減税の恩恵が受けられない。つまり、業界団体や政治家とべったりした関係がないと何が減税になったのか情報が入らず、減税の恩恵が受けられない。結果として、減税してくれしてくれと、政治家使った人間たちだけが減税を受けられることになる。
⑤住宅ローン減税の増額はナンセンスである。金持ち減税である、という批判があるがその通りである。さらには、子どもが毎年120万人しか生まれないこの時代に、160万戸も住宅が供給されている。住宅建設を促せば景気回復する、という判断の減税なのだろうが、住宅をこれ以上作ることに税金でインセンティブを与えれば、さらに供給過剰になって、住宅が売れず、安かろう悪かろう事業者がどんどん参入し、良質な事業者が育たなくなる。住宅政策を改善したければ、むしろ土地価格の抑制などで、住宅費や家賃、事務所や店舗の賃借料に収益の大半が収奪されるような経済構造を変えることではないか。
⑥さらに法人税の引き下げを提言している。今の不況に太刀打ちすることは法人税の引き下げ程度では済まない話だろう。さらに、法人税の引き下げは、内部留保を高めるインセンティブを与えることから、とりわけ賃金を支払うことに対するインセンティブを下げる。そうであれば、雇用維持や内需拡大という政府の方針と全く矛盾する政策である。
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