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2008.12.12

12/11 規制緩和してコネが横行するだろう保育制度改革

認可保育所制度を守ってきた厚生労働省がとうとう規制緩和の流れに屈ししてきたようだ。

1つはパート労働者への入所を認めるというもの。これ自体は反対しないが、今の認可保育所が、やれ16:30以降は延長保育だからむやみに預けるな、とか、古いしきたりのまま、現場で憲法や児童福祉法の精神に反するような運用をやっている中で、フルタイム労働者(この中には時給でフルタイム働かされる人も含める)が使いにくいまま放置され、ターゲットが、4時や5時にお迎えに行けるパート労働者の子ばかりが認可保育所に入れるようなことになりやしないかと思ったりする。

1つはバウチャー制度を提示したこと。これは厚生労働省が、悪化が良貨を駆逐する結果になる、と反対してきたものだし、保育園を考える親の会などの保護者団体も猛反発してきたものだ。今回厚生労働省が例示したことが気になる。

もう1つは、直接契約制度に道を開いたのも気になるところで、施設による入所者の逆選択(保育所に合う子どもを施設が選んで入所させていくこと)や、園長に影響力を与えられる人のコネ入所なんかが横行しそう。
うちのまちを見ていると、障害児保育も遅々として広がらないし、お迎えが遅いとか外国人がおるということを「問題」と捉える風土の中で、公立保育所から逆選択が行われそう。今でも、そういう公立保育所の運営の都合からはじき飛ばされた利用者が認可外保育所に流れ込んできているぐらいだ。
生活保護家庭を排除するなとか応諾義務とか言ったところで、すでに高齢者介護で屁の突っ張りにもならないことが見えているように、サービス供給量がないままに公権力による資源配分を外してしまえば、直接契約制度の危険性がむきだしになる。帰ってコネが横行する保育所になっていくと思う。

今回、踏みとどまったと思うのは、規制改革会議が、保育所の最低基準を取り払え、と強烈に働きかけてきたことに対して、保育士の配置、設備の基準は守らせる、保育料は自治体の公定価格とする、という方向を出したことである。これによって、質を犠牲にして利用料をダンピングする保育所が排除される。何とかというところか。

保育所の利用をパート家庭にも拡大 厚労省改革案
2008年12月9日20時59分

 厚生労働省は9日、認可保育所を利用できる対象を母親がパート勤務の家庭にも広げる保育制度改革の素案をまとめ、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会に示した。利用者が入りたい保育所を選んで直接契約する仕組みも検討する。審議会は年内に新たな保育制度に関する第1次報告をまとめる。

 素案は、現在の利用要件が事実上、両親がフルタイム勤務となっている点を改め、短時間勤務や早朝・夜間勤務などの家庭にも保育サービスを提供する。

 現行制度では、市町村が入所の可否や保育所を決めている。素案では、利用者自らが保育所を選び、直接契約する。保育所側に母子家庭や虐待を受けた子どもなどの優先的受け入れを義務付け、社会的弱者が排除されないようにする。また、保育料は市町村による公定価格とすることや、保育士配置、設備に関する最低基準などは維持し、公的関与を存続させる。

 厚労省は、このほか、利用者にバウチャー(金券)を配り、自由価格のもとで入所契約を利用者と保育所に委ねる方式も提示した。

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