11/13 土井たか子さんへの言いがかりが晴れる
社民党の土井たか子さんが、北朝鮮人の親族がいるために拉致被害者の問題に取り組まなかった、というデマがインターネット上には溢れている。
社民党が北朝鮮に甘々だったというのは確かだが、しかし、拉致対象者のリストづくりに協力していた、だの、土井たか子が北朝鮮人の親戚がいるだの(2ちゃんねるで、犯罪者とかが出てくるとかならず朝鮮人だとか誹謗するあれです)、まことしやかに言うバカが多くて、どうしたものかと思ってきた。
そうしたデマを商業誌に堂々と載せていきがっていた花田紀凱が、土井たか子さんに訴えられて敗訴した。土井さんはぬれぎぬを晴らしたわけで、ほんとうによかったと思う。
●私の80年代後半の政治活動は、土井さんとの接点があったおかげだと言える。そういう意味で、土井さんの政治選択の誤りや能力的問題について批判されるのは仕方ないと思うところもあるが、誹謗中傷については、ほんとうに怒りを覚える。
●以前、時々飲んでいた左派仲間がいて、その中に演劇少女の面白い方がいたが、気づいたら花田の妻になっていた。いくら上昇志向があるにしても、ほんとうにがっかりしたものだ。
●私の社会党への思いを成熟させた本に、沢木耕太郎「テロルの決算」がある。
文春文庫で新装版で出し直されている。「テロルの決算」は、1960年の浅沼稲次郎社会党委員長刺殺事件をめぐって、戦前戦中の難しい時期に社会主義運動の舵取りをし戦後の社会党の激しい派閥抗争の中で生きた浅沼と、純粋な右翼になろうとした刺殺した山口二矢少年の人生を追いかけたルポ。社会党の可能性と、それが滅んでいく端緒をよく認識させてくれる本だった。
月刊誌「WiLL」の記事は「虚偽」、土井元衆院議長が勝訴
月刊誌「WiLL」に掲載された事実無根の記事で名誉を傷つけられたとして、土井たか子・元衆院議長(79)が、出版社「ワック・マガジンズ」(東京都千代田区)と花田紀凱(かずよし)編集長(66)ら2人に、慰謝料計1000万円の支払いなどを求めた訴訟の判決が13日、神戸地裁尼崎支部であった。
竹中邦夫裁判長は「明らかに虚偽」などと指摘し、同社と花田編集長らに計200万円の支払いを命じた。
判決によると、花田編集長らは同誌2006年5月号に、土井氏が「(朝鮮)半島出身とされる」との虚偽の記事を記載した。
土井氏は全国紙への謝罪広告掲載も求めていたが、竹中裁判長は同誌の実売部数が少ないことを理由に必要性を認めなかった。
被告代理人は「判決の内容を見て今後の方針を検討したい」とコメントした。
(2008年11月13日20時38分 読売新聞)
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コメント
新しいブログについてお知らせしつつ。
今回の件は本当に良かったですね。これでWILLのような雑誌が廃刊になればいいのになどと思ってしまいました。
亡くなった筑紫哲也氏もさんざんこのテの認定をされてましたね。いやな流行だな。
「テロルの決算」は私も人生のベスト本を作ったらリスト入りさせたい本です。時間をおいて何度か読み返します。そのたびにまた別の角度から感銘を受けたりしますね。
投稿: 瑠璃子 | 2008.11.14 16:05
私がまだ10代だったころ、自社公民のなれあいからつまはじきにされた共産党が、社会大衆党流れを汲む社会党こそファシストであり、戦争協力者だったかのように、さかんに「社会ファシスト論」を言い立てていた時代があって、左派の中で社会党はとかく人気がありませんでした。
その共産党の言い分ですが、過去については3割ぐらいあたっていて、右翼に刺殺された浅沼氏こそ社会大衆党でその象徴であったんだ、ということも知りました。
一方で、共産党は社会党右派こそ戦争協力者になりかねない、という宣伝をしたかったようですが、浅沼氏よりもっと社会大衆党右派の西尾末広とか、片山哲が、政党が解散させられた後も、無所属の非翼賛議員として、行政、とりわけ内務省に弾圧されながら、反東条英機派として存在し続けたこともテロルの決算で書かれていたことが、その後の私に大きな影響を与えたと思います。
WILL的言説、少し下火になりましたね。右翼が社会改革やりたいのなら、あの被害妄想的な妄想、やめるべきでしょうね。右派の中でも秦郁彦氏などがそういう妄想をする人たちと一線をひいていますね。反対勢力に強くなってもらっては政治的に困りますが、この社会のためには、良識ある保守思想を期待したいものです。
米帝とか、戦争への陰謀、とか、敵の問題点をことさら陰謀めいたかたちで説明し、欧州で広範な支持を得て政権まで取ったケインズ主義も社会民主主義も勉強せずに失敗した左派の体験に学ぶべきです。
投稿: 管理人 | 2008.11.16 07:24