11/3 マンションビラ投函の取締りについて国連が批判
選挙や政治的主張を目的にマンションのポストにビラを投函することを取り締まることについて、国連自由権規約委員会の最終所見で、日本政府の態度について批判を加えている。
以下アムネスティーインターナショナルの記事から。
ジュネーブ時間10月30日(日本時間10月31日)、市民的および政治的権利に関する国際規約にもとづく自由権規約委員会による第五回日本政府報告書の審査の最終見解が発表されたのを受け、アムネスティ・インターナショナル日本はこれを歓迎するとともに、そこに記載された具体的な改善措置について、日本政府が直ちに必要な措置をとるよう強く呼びかける。
最終見解は10月15日と16日の委員会による審査を受け、28日と29日にわたる会議で採択されたもので、日本が今後とるべき人権保障政策のためのグランドデザインを示している。(中略)
表現の自由
パラグラフ26の表現の自由の制限については、公職選挙法の個別訪問の禁止がこれに抵触すると懸念されたほか、政治活動や市民運動でのビラ配布行為が住居侵入罪で逮捕、起訴、処罰されている現状に懸念を示し、そのような表現の自由の制限を排除するよう勧告している。これは立川のテント村事件などでの一連の警察、検察、裁判所の判断の動きを踏まえた勧告であり、日本の人権状況が国際的に見て極めて重大な問題を含んでいることを明確に示している。
該当部分の最終所見訳文は、
26.委員会は、個別訪問の禁止など表現の自由と広報活動に参加する権利に対する不当な制限について、さらに公職選挙法に基づく選挙の事前運動期間中に配布されるべき文書の数と種類に対する制限について、懸念する。また、政府を批判する内容のちらしを私用の郵便受けに配布したという理由で、政治活動家と公務員が、侵入に関する法あるいは国家公務員法により逮捕され起訴されているという報告について懸念する。(第19条、25条)
当該締約国は、規約19条と25条によって保護されている政治活動とその他の活動を、警察、検察、裁判所が不当に制限することを防止するために、表現の自由と広報活動に参加する権利に対する、当該締約国の制定法におけるいかなる不当な制限も廃止すべきである。
と、公職選挙法からして人権問題だと指摘しているのに加え、近年のマンションへのビラ投函逮捕が繰り返されていることについて、政治的自由権の保護という立場から懸念を加えているし、そうした制限は廃止すべきと行っている。
近く行われる衆議院議員選挙。政党間、候補者間の論戦をきちんと見守り、証拠を押さえて確認して投票していくためには、ビラの投函ぐらいは自由でなければならないし、それができなければマンション住民は念力やこっくりさんで投票する候補や政党を決めて投票するしかないのだろうか。
市民的及び政治的権利に関する国際規約(略称では国連人権B規約、国連自由権規約などと言う)
第19条(表現の自由)
1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。
2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
3 2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、この権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
(a)他の者の権利又は信用の尊重
(b)国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護
第25条(政治に参与する自由)
すべての市民は、第2条に規定するいかなる差別もなく、かつ、不合理な制限なしに、次のことを行う権利及び機会を有する。
(a)直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、政治に参与すること。
(b)普通かつ平等の選挙権に基づき秘密投票によリ行われ、選挙人の意思の自由な表明を保障する真正な定期的選挙において、投票し及び選挙されること。
(c)一般的な平等条件の下で自国の公務に携わること
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