10/5 インターネットで手続きできるようにすれば負担軽減になるという国の誤解
出産・育児での女性の負担軽減、ネットでの手続きを検討、というニュース。
出産育児の手続きがどうして女性ばかりなのか。
それはさておき、仕事そのものの整理もしないでインターネット化すればいいという発想がお役所的でムダの温床である。妊娠届と母子手帳交付申請がなぜ別なのか。出生届と児童手当や児童医療費助成の手続きが別々なのか理解ができない。仕事を整理していけば、手続きの数そのものを減らすことができ、逆にインターネット化する必要性がそもそもない。
これらの届をインターネットでできるようにするためには、国民層背番号制と、医師による認証システムへの参加が必要になる。あるいは国税の申請のようにそれに代わる本人認証のための事前手続きが必要になる。事前手続きというのがこれがとてつもなくばかばかしい。一生に何回あるかわからない所得税の申告のためにわざわざ事前手続きするのはムダ(税務署の職員の作業の方が圧倒的に速い)で、それより回数の少ない出生のために事前手続きするなら、手続きとITゼネコンへの財政支出を増やしているだけである。
まして出生は時を選ばない。そういう仕事は人間系システムの維持を軸にやっていくべきだ。災害や戦争などの混乱でコンピューターが動かなければ出生届の受理すらできなくなってしまう。そういう失敗は、所得税の申請の電子化の失敗ではっきりしているはずだ。
ITゼネコンの誘導にそのまま乗っかってしまう国の体質、何とかならないものか。
出産・育児で女性の負担軽減、ネットでの手続き検討…政府
政府のIT戦略本部(本部長・麻生首相)は、出産や育児に関する手続きを、市町村窓口に行かずにインターネットでできるようにする仕組みの検討を始めた。
出産・育児での女性の負担を減らすのが目的だ。2009年3月に具体策をまとめ、首相に報告する。09年度には一部の地域でモデル事業も実施する考えだ。
女性が妊娠すると、妊娠届と母子手帳の交付申請が必要となる。出産後は出生通知を出し、さらに、児童手当や児童医療費助成を受けるには毎年、更新の申請をしなければいけない。
こうした手続きは20種類以上に及び、そのたびに市町村窓口に行く必要があるため、妊娠・出産した女性に重い負担になっている。また、子育てや家事に追われ、各種手当や助成の更新手続きを忘れるケースも少なくない。
同本部では、こうした手続きがインターネットで可能になるよう、システムの検討を始めた。今後、先進的な取り組みをしている自治体などから意見を聞く予定だ。来年度からのモデル事業では、手当の申請期限や予防接種などの情報を電子メールで配信することも検討している。
(2008年10月5日03時03分 読売新聞)
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