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2008.10.22

10/22 北陸から見た首都圏の保育

出張があったり、原稿書きに追われたり、夜まで勉強会があったり、「きょうも歩く」数日お休みいただきました。

家族が北陸のある市に出張に行ってきた。朝霞市の保育事情をいろいろ話すと、とにかくびっくりされる連続。「買い物してお迎えに行ってはいけない」「基本保育時間の終了が16:30」などを話すと、「えっ、何のための保育園なの?」「そんなこといちいち規制して何か意味あるの?」という反応だったよう。

先日紹介した、日経の浅川氏ほどとんでも言説を言うつもりはないが、地方の保育園の実情を知ると、首都圏の認可保育園はお金は倍以上かけられているのに、やっていることが過去のしがらみだらけで遅れている。そういう実態が日経新聞的な保育の規制緩和論を勢いづかせている。
とくに、保育園に痛い目にあった東京の有識者たちから、認可保育園制度の否定や公立保育園の民営化を推進する発言が出ていることを、認識してほしい。運動のメンツを守るやり方にこだわり、利用者の問題の真因解決になんの意味もないような運営ではダメだ。それから、左派右派ともに保育関係者には、1997年改正児童福祉法以降の理念が未だに共通認識になっておらず、母性や三歳児神話にもとづく結構失礼な言動が後を絶たない。
運動体の利害だけで守っているものがあるなら、そういうものは克服してもらいたいと思う。結局、ちょっとでも働く環境や条件が厳しいと、児童福祉法の規制の効かない認可外保育所を保護者は流れざるを得ない。それが、子どものため、を口にする人たちが放置してよいのか、ほんとうに考えさせられる。

私は認可保育所制度は優れた制度だと思う。そして、北陸のように機能すれば、ほんとうに世の中ハッピーになってくるのに、と思う。何とか規制緩和派から守りたい、我が国の制度の財産である。だからこそ、関係者のみなさんにはこだわりを棄てて、支援を問い直して、保育を充実させてほしい。

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コメント

>保育園に痛い目にあった東京の有識者たちから、認可保育園制度の否定や公立保育園の民営化を推進する発言が出ている

なぜ地方よりも都心部で保育園民営化の推進圧力が強いのか分かりました。

投稿: 一国民 | 2008.10.23 23:28

東洋経済の今週号「家族崩壊」で福井県の保育水準の高さが紹介されています。

私が7年前保育政策を担当したときに、地方では延長保育も障害児保育も、地域によっては夜間保育まで積極的に取り組んでいるし、西日本では病児病後児保育なども普及していました。
ところが首都圏では「長時間保育は子どもにとって良くない」などというすでに論破された議論を蒸し返して、左右共同戦線で延長保育を否定しているわけです。じゃあ、その人たちが非正規労働者のための労働運動に盛んにカンパをしていたりとか、残業規制のための運動をやるかと言えば、そんなヒマがあれば自分の子どもの教育とか、趣味の活動に熱心に取り組んでおられるわけです。

その首都圏の自分たちの論理だけの保育所運営について本当に限界だと感じたのが、小泉純一郎首相に保育関係の政策のとりまとめを委託された樋口恵子さんから上司ともども呼び出され、さんざん批判された経験があったからです。
17時以降保育をしたくないならボランティア入れますから、施設だけ貸してもらえるようにしてくれないか、とか、今日でいう指定管理者制度を労働者個々人に広げたような制度の導入とか、さんざんブラフをかけられました。
樋口さんはそれまで労組とタッグを組んで福祉政策を考えていただいた方だったので、びっくりした経験があります。

そして気が付けば、公立保育園批判、認可保育園批判している女性たちってみんな首都圏の最も保育所の運営が旧態依然としたままのところに住んで大変な思いをされた方々だったわけです。

彼女らキャリアウーマンの言うことの勝手さもありますが、しかしこの世の仕事の多くは客商売だったりトラブルが一定周期で発生する仕事なわけで、「子どものためにならない」などときれい事言われてもどうしようもないわけで、その鬱憤のエネルギーというのは私も子育てしてみて日々実感しています。

首都圏では革新系政党の支援団体である運動体がとても力を持っています。そこと、それに対抗する人たちが保育士を抱き込むために、お互いがお互い「子どものために」という言葉を安易に使って楽な方に楽な方に議論を誘導します。そのことで利用者不在、利用者の家庭援助そっちのけの状況が首都圏で蔓延しているということがあります。そのあたり革新政党系の運動体に対抗する勢力が、解放同盟系の保育運動だった関西では、夜も昼も働いている被差別部落民の観点から対抗理論を組み立てたので、首都圏ほどひどい状況にはありません。また仏教系の保育所が熱心だったりする事情もあります。

またもう1つ裏側の事情を言えば、首都圏は全国でも専業主婦率の最も高い地域です。裏返すと男の賃金が最も高い地域です。そういうところでは、何で女がムリして働くの、という感覚がどうしてもあるんだろうと思います。

投稿: 管理人 | 2008.10.24 00:36

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