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2008.09.07

9/6 大阪府知事私設秘書が図書館利用者を隠し撮り

大阪府知事が、私人である私設秘書を使って、図書館の利用実態をVTRに撮影させていたという。これは図書館の自由に関する宣言に反し、基本的人権にかかわる問題ではないかと思う。

問題になっている国際児童文学館の効率性が問題なら、あくまでもその問題だけで問いつめるべきであって、利用者を隠し撮りで撮影することは言語道断ではないだろうか。

テレビにいっぱい出て、改革派を自称し、激しい言葉を投げかければ、権力者が何をやってもいいんだ、という感覚、それに拍手喝采を送る感覚、おそろしい。

〈追記〉日本の図書館の自由に関する宣言は、公的な法律でも何でもない。しかし戦中、戦前、日本の警察は図書館の閲覧記録や書店での販売記録などから、苛烈な思想弾圧を行った。そのことの教訓から、当時としては世界で最も先進的な利用者保護を唱った宣言をまとめ、図書館職員たちの規範として浸透させてきた。
個人情報保護法という悪法があるが、この法律の効果をみたとき、最も保護されるべきは図書館の閲覧や貸出の記録であろう。
そういう意味で、橋下知事とその側近たちは、戦後のタブー、個人情報保護法のタブーを侵したと言える。
20年ぐらい前、「薔薇の名前」という映画があった。カトリックによる異端審問が最も盛んだった時代が舞台で、異端として禁書にされていた本を、異端審問していた当の修道院が極秘に保管していることがモチーフになっている。図書館というのは、権力が不介入であるべき場所なのである。

●もう1つ。銚子市立病院の廃止問題で、市長が廃止に反対する市議に肉を贈ったという情けなくなる事件があった。病院の経営を肉1キロでやりとりする感覚、地方政治の克服すべき体質ではないか。

廃止方針の施設「隠し撮り」、橋下知事が私設秘書使い
 大阪府の橋下徹知事は6日、来年度中の廃止方針を決めている国際児童文学館(吹田市)について、報道陣に対し、「8月に館内をビデオで隠し撮りした。(利用者を増やす)努力をした形跡がない。議会に証拠に持っていきたい」と述べ、私設秘書を使って利用実態をひそかに撮影していたことを明らかにした。

 存廃問題が議論になる9月議会で廃止の妥当性を示す「証拠」にしたい考えだが、こうした調査手法についても議論になりそうだ。

 橋下知事は6月にまとめた大阪維新プログラム案で、同館を廃止し、約70万冊の蔵書を府立中央図書館(東大阪市)に移設する方針を表明している。(2008年9月6日23時17分 読売新聞)

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コメント

隠し撮り知事を熱狂的に支持しているのが府民なんですね、これが。

銚子市立病院関連の問題として見過ごせない点は、この議会議決を無記名投票で決したことです。
有権者への態度表明を忌避した議員のレベルと、そのような議員を選んでいる市民の民度が問われます。

投稿: 一国民 | 2008.09.07 09:20

こんばんわ。ご無沙汰しています。
この問題は、明らかに利用者をバカにしていると思います。

「民間なら当たり前のリサーチ」と、さも、民間企業の過半数以上が社員を強権的にビデオで監視し、労務管理をしているような言い方ですが、まったくのでたらめとしか思えませんし、不正の監視ならいざ知らず、勤務態度の監視を目的として、こんな私設秘書を使ってまでビデオカメラで盗撮する社長はいません。

そもそも、この私設秘書だって、以前に開かれた政治資金パーティの資金を使って雇用されているはずです@@@

そして、職員の勤務を盗撮するだけではなく、なによりも、黒川さんもご指摘のように、

子どもたちが漫画ばかり読んでいたとして、「実際は漫画図書館」と不満を表した。

とするなど、漫画を読んでいた利用者に対してさえも、館内で「利用状況の確認のため、ビデオ撮影することもあります」などという断りも無く撮影していたところは、寒気がします@@@夏休みということもあって、ここを利用し、漫画以外の書籍を読んでいた子どもたちが
この報道を見たらなんと思うのか?橋下知事は思いがいたらないのでしょうか。。。

なんだか、マスコミ的手法を取り入れるあまり、異常な方向に世論操作がされている気がします。。。

今日の報道でも「くそ教育委員会が」なんて発言をしていたようですし。。。
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080907/lcl0809071737003-n1.htm

投稿: けんた | 2008.09.07 20:54

公選職である政治家が、私設秘書をどこまで使ってよいかは微妙なので、私は即断しません。ただビデオで労務管理するということ自体、職場内で暴力や人権侵害があればともかく、職務怠慢の管理としてはあまりよろしくない対応だと思いますし、労務管理は人事担当セクションの仕事、外郭団体であれば管轄部局の仕事ではないかと思ってもいます。

漫画を読んでいる、ということですが、漫画だってエロ小説だって本です。本を差別する人は、本を愛していない人です。
その上で、漫画を読んでいる人を監視していたというわけで、これは図書館宣言にもとる行為だったと思います。政治がこういうことをすべきではありません。

さて銚子の話ですが、語るに落ちます。また秘密投票にした市議会も、問題です。市民がある程度権限を委託している市議会ですから、そこで個々の議員が取られた行動というのはできるだけわかりやすく、いろいろな手段で公開されているべきです。市民病院という市民が最も関心を持っているようなことについて、もっと市議会議員個々人の責任を明らかにする議決方法を取るべきだったと思います。

朝霞市でも重要な議案に秘密投票をやりました。人の金で仕事しているのに、そういうことして、と呆れたものです。

投稿: 管理人 | 2008.09.07 21:03

ビデオ盗撮を労務管理の手段にするこの知事の感覚にはあきれてものが言えないが、それよりも恐ろしく感じたのは、mixiあたりで「どこが悪いの?」「やましいことがないなら、撮られてもいいでしょ?」的な意見がたくさん出ていること。

ちょっと想像力を働かせて欲しい。権力者がこっそりとビデオ監視していることの恐ろしさを・・・。こういった感覚の麻痺が、気がついたときには取り返しのつかないところまで来てしまった、いうことにならなければいいのですが。

「平和ボケ」は、別な意味で私たちに浸透しているのでしょうか。

投稿: iulius | 2008.09.07 22:51

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