9/16 さわやか財団の労働観
塩見孝也さんの記事に関して、濱口桂一郎さんのブログで応援をいただいた。同業者に愛読者が多いブログなので、恐縮する。新自由主義が闊歩するこの社会で、嫌われ者として文章を書いているから、けなされることこそあれ、ほめられるとなんとなくこそばゆい。
その最後に、さわやか財団がボランティアに労働法規は適用されないという法律を作っているという話が書き加えられていて、まさしく私が言いたかったことを付記していただいたような気持ちになる。
私の友人には、NPOとか、非営利団体、生協、政党事務局などで働いている人が何人かいるが、彼らの待遇は上から下まであるにしても、労働者性を肯定されるか否定されるかは直属の上司の感覚だけである。そしてその人に人権意識がないと、大変なことにになる。
さわやか財団は、労働法規がボランティア活動の伸張の足かせになっているというとらえ方をしてきたのだろう。しかし軽々しく超えるその一線は、そうした非営利活動で働く人たちの生活や人間としての尊厳を軽々しく奪っていくのではないか。
どうしてさわやか財団がそんな結論に至っているのか。理事長の堀田力氏が、労働法規がほとんど適用されない検察庁で長く働いていたことと、無関係ではあるまい、とうがってみている。
私の身近なところで言えば、大学院の院生である。お世話になっている先生が、院生をまさに「ジロリと睨み、お前ら」という言い方で、フィールドワークと称する無償労働に駆り立てている。その度に申し訳ないような気もするし、この人たちに労働組合があったら社会はどのように扱うのだろうか、と想像せずにはいられなくなる。
●それと介護保険制度。介護労働者への報酬が低くとも何とか始まり、さてこれから労働組合の出番、待遇改善でサービスの質を上げていくんだ、という段階にきて、堀田力氏や樋口恵子氏が、介護保険制度発足の前後の一時期、労働組合が介護保険制度に意見することを嫌い、小泉元首相同様「抵抗勢力」として接触することすら忌避するようなところがあった。その背景にはこのさわやか財団のような労働観があったのではないかと思う。
今日、介護労働者の報酬が低水準におかれ、離職率が高いのも、このときのことがあったからではないかと私は思っている。それは被害妄想か。
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