« 7/31 伊丹空港廃港論 | トップページ | 8/8 夏休みと原爆被害者追悼 »

2008.08.03

8/2 保育所と非正規労働者という課題

自治労の保育集会に出る。ここ数年の間に、保育職場に非常勤職員が増えたり、派遣職員が増えたりしている。しかし子ども相手、保護者相手の仕事だけに、正規と非正規でうまく仕事を切り分けられず、正規・非正規の問題が最も出ている職場だとも言われている。そこでの仕事のあり方を考える分科会に出させてもらった。

出席した保育士さんの中でも、保育所にいる非正規労働者との関係に悩んでいる人が多く、何かしなくてはという問題意識が共有できたのではないかと思う。その一歩は、やはり労働組合に組織化して、運動をつくっていくことである。

●保育所には昔、常勤規制があった。保育所の職員のうち8割は常勤でなくてはならない、という内容の規制があった。人材派遣業体質の保育事業者が保育所経営に乗り出すのにこれがネックだと騒ぎだし、この規制を取り払うのが2000年~2002年の攻防だったと思う。
その最初の一歩が、年度途中に保育園に入ってくる子どもに相当する分について、常勤職員規制の対象外とする、という規制緩和であった。私はこの規制緩和に労働側として制度改定に立ち会った。そういうところでほんとうに責任を感じている。しかし、何より、人の手当されない保育は無理が来るし、年度途中入所がきちんとできないと、保育に欠ける子を保護しなくてはならない保育所の役割が貫徹できない、と考え、反対しつつ受け入れた。しかしその後、規制改革会議はつけあがるように常勤規制を次々に外し、今ではクラス担任以外は常勤でなくてもよいとなっている。そのことで今や保育所には半分以上の職員が非常勤職員になっている。そういう道を開いてしまったのかと反省しながら、しかし非常勤職員に労働運動が定着させて解決していく方法があると考てきた。

当時、保育園は介護に続く、人材派遣業者や教材開発会社のビジネスターゲットにされていた。八代尚宏氏が規制緩和委員会、規制改革委員会などで、執拗に、この業界が求める規制緩和を代弁し、厚生省、労働組合、保育所経営団体のみならず保護者団体までもを「既得権益」と口汚く罵っていた。
妻が専業主婦であるお偉いさんたちは、保育園なんか見たことも預けたこともなく、イメージだけで国鉄改革のように保育所のことを議論していた。
その中で、どのように待機児童問題などの解決を進めながら、保育所の公的な価値を残すか、そういうことに腐心した、担当の2年間だった。八代尚宏氏のほか、日経新聞や日経bp社の新聞に、何度も抵抗勢力とレッテルを貼られ、攻撃され続けた。もっともこの規制改革の中で、不合理な規制を無くし、合理的な規制を新たに作ることにも協力した。無認可保育施設での児童虐待死事件もあり、これまで存在も認めなかった無認可保育所を指導監督の対象にしたことはその1つである。

結果として、保育所の多くは、保育労働もしない連中に資本費に経費が流出しない公営または社会福祉法人の経営で残った。民営化も、問題はあるものの、住民合意の形成をめぐって議論が行われながら進められる傾向が出てきて、激烈なやり方をしている自治体は少数派で終わった。もちろんそれは保育所の民営化が、自治体の主体性の問題というより、保育所経営が人件費をピンハネしないと丸儲けできないうまみの少ない事業であることがわかり始めた、ということもあるし、良質な保育所長を確保するのに苦労するという現実もあるからだ。

しかし、やはり残されたのは、保育所にいる大量の臨時・非常勤職員と、その待遇の悪さである。子どもという人命を預かる仕事が、時給800円程度、年収で120万円程度であっていいのか、いつでも首切りできるかたちで働いていることがいいのか、もっともっと社会全体で考えてもらうように働きかけて行かなくてはならない。

|

« 7/31 伊丹空港廃港論 | トップページ | 8/8 夏休みと原爆被害者追悼 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 7/31 伊丹空港廃港論 | トップページ | 8/8 夏休みと原爆被害者追悼 »