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2008.08.20

8/19 キレる人間の脳を細工するのか文部科学省

文部科学省がキレる人間の構造を脳科学にからめて研究、と。イヤな感じ。

旧ソ連が、怒りっぽい人に注射をして黙らせたり、電極を射したりしていたことを思い出す。生活や文化の問題を自然科学として理解しようとするところが近代のイヤなところだ。人間のしくみを理化学的に解明し治療しようというのに、厚生労働省の医療関係ではなく、文部科学省が担当することがうさんくさい。教育ファッショの理屈か、それとも原発や宇宙開発と同じ次元なのか、いずれにしてもうさんくさい。

多様な人間の多様なコミュニケーションの中からキレる現象は起きてくるし、キレないために社会はいろいろ工夫するところもあって、脳科学だけで、化学式のように割り切ろうとすることが未熟な思考だ。
こういう科学的欲求が、安直な回答を与えてくれる新興宗教や戸塚ヨットスクールみたいな「教育施設」を儲けさせる社会構造なんだ、ということをもっと文部科学省は認識すべきだ。

文科省:「キレる」構造を研究 対人関係、脳の仕組みは?--来年度から
 引きこもりや「キレる若者」など対人関係の不適応が問題化していることを受け、文部科学省は来年度から、人間の社会行動やコミュニケーションに関係する脳の機能や構造を特定する研究に乗り出す方針を固めた。脳のある部位の変化や個人的特徴が、行動などにどのような影響を与えるかを示す指標を作り、問題行動や社会性障害の予防や治療につなげることを目指す。

 文科省や専門家によると、脳の生物学的な特徴と社会行動との関係は、動物では比較的解明が進んでいる。マウスでは、ある種の脳内物質を欠くと自閉的行動を示したり、攻撃性が高まることが分かってきたという。

 人間については、脳の計測の難しさなどから心理学的な手法での研究が主だった。今回、文科省は動物での知見を網羅的に結集し、計測技術の開発も進め、人間の社会性を生み出す脳内メカニズムの解明を目指す。文科省がテーマを設定し公募で研究者を選ぶ。さらに、不眠症や摂食障害、うつの増加を踏まえ、ストレス耐性や睡眠リズムをつかさどる脳幹研究も強化する。

 文科省ライフサイエンス課は「問題行動や社会性障害の生物学的なリスク要因がある程度明らかになれば、予防や治療に結びつく可能性がある」と期待する。

 東北大で「脳神経科学を社会に還流する教育研究拠点」のリーダーを務める大隅典子教授は「早い段階でリスクが分かれば、育児や教育でケアできる可能性がある。こうした指標が差別につながらないよう、経験や環境によって脳が生物学的に変化することなども社会に説明しながら研究を進める必要がある」と指摘する。【西川拓】

毎日新聞 2008年8月19日 東京朝刊

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コメント

これは、発達障害の研究の一環だと思われます。とても重要なので、文科省にはさらに進めてもらいたいと願っています。失礼ながら、発達障害に関する知識が無い方のコメントではないでしょうか?

投稿: くえる | 2008.09.17 15:05

ちょっと見過ごせないコメントではないかと思います。
ひきこもりと「キレる若者」という問題と、発達障害のことは全然違う次元の話ではないでしょうか。
また文部科学省がそういう研究の延長にあるという定義でもされているのでしょうか。いくらなんでもそれならやりすぎではないでしょうか。この研究が発達障害の研究の一環であれば、病理としての発達障害ならそもそも厚生労働省が行うべきです。

社会的不適応と病気との境界線は難しいところにありますが、ひきこもりや「キレる若者」のほとんど、障害ではなく、性格やとりまく人間関係でそうなっているのではないでしょうか。
逆に、発達障害の研究を深めても、ひきこもりや「キレる」問題を解決できるという展望が理解できません。

かつて、ナチスやスターリン主義は、人の社会的な側面を、医療や自然科学の問題として捉え、社会的に問題のある人を病気とみなし、精神病院や収容所に送ったものです。

障害者差別というのは、問題のある人を何らかの病理や障害と捉える混同から始まります。

投稿: 管理人 | 2008.09.23 06:43

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