7/26 議会改革を議論する集会に参加
2ヵ所の出張から戻り、そのまま市民と議員の条例づくり交流会議に出席。今回は「議会改革」がメインテーマ。
朝霞市は、市役所が勝手に国と約束した基地跡地利用計画を、市長が議会に諮らないと、議会を平気で無視する発言を繰り返してきた。無視された議会は怒るどころかという状況。しかもどういう意図か議論せさないはずの市長が基地跡地の利用計画を議会に諮るという条例案を出したのに対して与党議員が即日反対し否決する、どうしようもない状況にある。また住民投票の請求もあっさり否決し、民意をくみ上げ市長に対抗するという関係がまったくできない状態にある。
市民運動をやっている人の中に、政党がらみでない人は、これまで行政とうまくやっていればよかった、かえって政治はややこしくする、という感覚が強かった。しかし基地跡地の問題などで浮かび上がったのは、朝霞市は市長・副市長・審議監のラインが強く、個々の職員の努力ではどうにもならない状況に来ているんだということと、一方でそれをチェックし、牽制すべき議会が議論をしない、まともな判断ができないということと、それにあわせてこれまでの自治体の議会のあり方、そこから出てくるさまざまな議会の議会規則・前例・慣習を変えなくてはならないということである。
私自身は基地跡地の問題があろうがなかろうが自治体議会は何とかしなくては、というもともとの考えがあるが、とりわけ今は、朝霞のタイムリーな問題だ、議会について議論している一流の先生たちが話すのだから聞きたい、そんな思いを抱えて、出席した。
●第一部は、朝日新聞とこの交流会議が調査した、自治体議会調査2008の結果の評価。報告した跡見女子大の長野さんから、議会改革は44%の自治体ではじまっているという数字。朝霞市は取り残されている。
改革の内容では、①一問一答方式を導入している自治体は46%の自治体で導入している(実施数はこれより落ちる)。質問回数を制限して、回数-1回はどうでもいい内容の答弁をして乗り切る朝霞市議会は本当に時代遅れである。②議員どうしの議事録に残る討論ということでは8割が未実施。低調である。③執行部の反問権の保障は4%。自治体議員が俗論しか語らないのは、言いっぱなしだからだろう。④この1年に議員提出条例があるのは7%。国会では議員立法が定着しているが自治体ではまだまだ。⑤議会への市民は総じて×。⑥議員の賛否の公開や議会の動画記録配信などは広がりつつあるが、それでも低調、という報告。
この調査をタイアップしてやった朝日新聞の菅沼栄一郎氏が議会改革が盛り上がらないこととして、行政機関の改革の話と違い、マスコミが自治体議会のことを報じない体質について話す。どうしても政務調査費と議員報酬の水準ばかりが話題になる、と嘆く。同感である。
●第二部は、市民自治体づくりと議会改革、というテーマで、島根県邑南町議会の長谷川議員、三重県議会の三谷議員、地方分権から自治体議会の改革が必要だと提言されている大森彌さん、元我孫子市長の福島さん、須田春海さんでのパネルディスカッション。
長谷川さんは、市町村合併での議会の習慣を整理するなかで議会基本条例が作られ、議会による住民説明会をするようになったことが報告された。住民説明会では、開催する地区の地元議員が出られないというのが面白い。
三谷さんは、年230日開催を決めた三重県議会の改革について説明。議会が補助機関を設置し、さまざまな課題について市民参加で議論してもらっている、ということ、ふだんの議会でも参考人を呼びやすくして、関係する市民や有識者の方々に議論に参加してもらっていると報告された。住民から遠い県議会でもやれることはあるようだ。質の高い議会である。
大森さんは、議員が「公選職」であると定義すべきと発言。地方自治法で行政職員と同じ報酬体系において、辞令で仕事を定義される行政職員と区別していないのは、議員の期待されている働き方と裁量性からしておかしい、と指摘。日当制に移行してマスコミにちやほやされている福島県矢祭町について、財政事情から仕方ない事情もあるとした上で、日当制に移行することで、首長に対する議員の力はさらに弱まると批判。私も同感である。
福島さんは、議会に無関心な市民について発言。市民が地域社会に関心を持つのは、問題があるときだけで、そのときに受け止めて、発言する場、一緒に考える場を作っていけば無関心は克服されるが、どうも議員や市長は無関心はいけない、地域に関心持ってくれと説教ばかりしている。市民の不満や関心で議論したがっていることによりそう行動をしていない、と指摘。朝霞の課題にどんぴしゃりな発言をしていただける。
須田さんは、市民活動家としての人生の歩みから、市民運動が議会や行政に対してどのように関わってきたのか歴史を語り、議会改革というところに意義があるかをお話される。
●参加者は議員が中心であった。議会事務局のスタッフをどう確保したらよいか、少数会派の発言を封じられているのをどうしたらよいか、などの質問。私は、議会改革に後ろ向きな自治体を、市民の立場からどのように変えたらよいか、基地跡地の問題に対する議会の対応などを紹介しながら質問した。福島さんがとにかく議会で少数派でも市民の多数派を形成すれば、事は進むとおこたえいただく。がんばろう。
●一般的に、自治体議会は、自治体職員政策について改革しろ改革しろ、人を減らせ、給料を下げろ、とやかましいが、自治体議会の改革が、この社会の改革で最も遅れていると思う。そして小泉構造改革なんかと違って、改革にともなう痛みは、働かない議員だけに向くものだから、改革を止める理由もない。どうしたものかと思う。
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