6/15 バグだらけの地下鉄副都心線にあなたは乗れるか
地下鉄副都心線が開通して、一部区間で線路を共用する有楽町線、乗り入れ先の東上線、西武線のダイヤが毎日ぐちゃぐちゃになっている。
今日、飯田橋に用事があったので有楽町線で帰宅したが、飯田橋駅で有楽町線が3分の遅れ。前はしばらく来ていないのに、いつもよりゆっくりゆっくり走って、池袋に着いたのは4分遅れ。要町、千川を通過する電車だったので、池袋駅で乗り降りの混乱があって、遅れ。西武線直通電車だったので、小竹向原駅で7分待。その電車はそもそも10分遅れている。和光市駅にやっと着く。乗った電車はそこで終点。ちんたら走って、目の前で急行が先に行ってしまう。
仕方がないので、次の電車を待つと、何と、次の有楽町線からの直通電車。しかし、私が和光市まで乗った電車がなかなか車庫に入らず、次の電車が和光市駅の手前で待機。それで5分遅れ。
結局、自宅に帰るのに、3分、7分、5分の合計17分も余計にかかった。何が便利な副都心線だろうか。240円追加運賃払わなければならない東上線に、池袋から乗った方がよかったかも。少なくとも私は(というより最低賃金は)分給10円以上だから。しかし、割り切れない気持ちだ。
●今回の副都心線の開通にともなう遅れの問題点として考えられること
① 自動運転装置による混乱
副都心線の駅での停車がうまくいかないらしい。どうも自動運転システムが、正確な位置で停車できず、ホームドアに合わせて電車を止められないという。
② 使い慣れないホームドア
ホームドアは必要である。しかし、東京メトロ以外の各社の導入状況に比べると、東京メトロは導入後の遅延が目立つ。使い方の研修をやっていないのだろうか。
③ 東上・西武池袋・有楽町・副都心の4線でのダイヤのサイクル(パターンの)不統一
3社以上の相互乗り入れを行う場合、ダイヤのパターンを組む時間を統一するが、6分間隔の有楽町線、7.5分間隔の副都心線、15分パターンだった東上線、パターンを崩していた西武池袋線で、ダイヤが合うわけがないのに、無理矢理ダイヤを組んだこと。東上線が、自社の系列不動産屋が開発した遠隔地の土地を高く売るために、無理して急行を増発して、ダイヤのパターンを崩したこと。
他線を見ると、田園都市、半蔵門、東武伊勢崎の3社の場合、15分パターン、5分間隔、10分パターンで、5分を基本に2倍、3倍の時間でパターンを組んでいる。最も複雑な京急、都営浅草、京成・北総の乗り入れの場合も、10分パターン、5分間隔、20分パターンで、5分を基本に2倍、4倍のパターンでダイヤを組んでいる。
ところが、そもそも6分間隔の有楽町線に15分パターンの東上線が無理矢理ダイヤを合わせ、さらに西武もそれに無理に合わせてきた。今回そこに、副都心線が7.5分間隔を基本にしたダイヤで入り込めば、1本1本の電車のダイヤは場当たり的な組み方をせざるを得ない。これに遅延が加われば、収拾不可能になる。
有楽町線の6分間隔のダイヤを5分間隔にすることが必要ではないかと思う。大阪も名古屋も5分を超える運転間隔の地下鉄なんかない。
④ 和光市駅の管轄の問題
始発駅で東京メトロの大きな車庫もある和光市駅が終点というのは、ダイヤの混乱を収拾するのに非常に好都合な状況である。しかし、その和光市駅の管轄がコスト上の都合で東武鉄道となっており(人件費が安いからだろう)、折り返し電車の状況を実際に把握できる駅員が、東京メトロの運行に何の関与もできないこと問題があるのではないか。東武からの直通電車が遅れているから次の始発電車を先に出そうとか、折り返し線が詰まってしまったから、折り返し線にある電車を出してしまおうとか、そういうことが目の前でわかっても、東武の駅員は他社の運行管理に何もできないだろう。
有楽町線・副都心線の運行管理の担当者の質が悪いみたいで、ダイヤが混乱始めると、始発用電車が折り返し線を埋め尽くしているのに、始発電車をいつまでも出さずに、混雑も遅れもさらには和光市終点の電車の糞詰まりも引き起こしているこどか多い。和光市駅の状況を運行管理にきちんと伝えられる体制が必要じゃないかと思う。
⑤ 必要な立体交差を整備していない・電車と電車の衝突の危険が
小竹向原駅から千川駅の間で、東上線直通&和光市始発・終点電車と西武線直通電車を、副都心線と有楽町線に振り分けている。ところが、ここに必要な電車と電車を立体交差させる設備がないので、和光市方向から有楽町線、西武線方向から副都心線の電車がぶつかる危険性がある。
もちろんいろいろな保安設備でそういうことはないようになっているが、万一のときに何が起こるかわからない。さらには、日常的に、そうした和光市方向から有楽町線、西武線方向から副都心線の電車が同時間に発着する場合、どちらかは信号待ちを求められる。先に出ていく側の電車が遅延すると、信号待ちする電車はさらに遅れ、間隔が前に空き、混雑が累加していくことになる。
これを解消するためには、東上線・和光市方向からは副都心線、西武線からは有楽町線への乗り入れに絞るか、小竹向原~千川駅間にきちんとした立体交差を作るべきである。もちろん手っ取り早いのは前者だが、東上線沿線や、小竹向原~和光市の間の沿線で、有楽町線まで1本とかいう宣伝で土地を買った人もおり、そういうふざけたことができるかどうか微妙である。
●あす、月曜日からは、過密な朝のラッシュ時間から大混乱が始まると思う。10時ぐらいまで累加的に遅れが増えていくだろう。丸の内線のホームドア導入の混乱も1ヵ月以上解決に時間がかかっており、最低でも1週間は長引くと思われる。混雑している電車が、行き先変更を繰り返したりたり、意味不明の時間調整で長時間停車するのだろう。想像するだけでげんなりである。
●思い切って、副都心線を運転休止にして、再び、有楽町線とだけの乗り入れに戻すべきではないだろうか。地下鉄副都心線は、バグだらけのシステムの上に乗っかった地下鉄、という感じが否めない。
派手な宣伝と裏腹に。そんな地下鉄に乗るのは恐い。だって、一日に何度もドア点検だの車両点検だのがあり、駅のテロップで流れている遅延情報では、停車位置のミスが繰り返し報告され、自動運転以前の基本すらなっていない、危なっかしい状況だ。
開業当初の混乱というものを超えている、このトラブル続きを報道は無視している(地震の報道のせいもあるだろうが)。東京メトロのHPでも遅れを「一部遅延」などと過少報告している。
副都心線も、東武のタワーも50090系TJライナーも、広告代理店にお金ばらまくと、デパート戦争がどうの、何が便利だの、おめでたい提灯記事しか出ない。鉄道会社の本社の連中は呑気なものだ。
| 固定リンク
コメント
お久しぶりです。こんにちは。
最近成増から有楽町線移動が多く、この土曜日曜と悪影響もろかぶりでした。
意味不明なダイヤ改悪といった今回の副都心線にまつわるゴタゴタには本当に腹が立ちます。
投稿: 瑠璃子 | 2008.06.16 11:02
本日東京へ行ってみましたけど、行きも帰りも電光掲示板に副都心線(+有楽町線)の遅延のお知らせが流れてましたね。しかも「お客様の混雑のため」・・・・・黒川氏の懸念ドンピシャですな。
矢鱈システムが追いついていないのに要求仕様をこれでもか、って追加した挙句の混乱。これってシステム開発の現場と似ている気がします。
投稿: 杉山真大 | 2008.06.16 23:07
>>お久しぶりです。瑠璃子さま
週末、難儀でした。成増に寄られることがあるのですか?
>>杉山さま
システム開発の混乱とよく似ています。多分、数ヶ月は収拾できないんじゃないかと思います。
きょうも、渋谷と池袋で折り返すなどというバカな手段で対応しましたが、その後もひどい混乱で、乗っている電車が急に急行になったり、行き先が小手指に変更になったり、たいがいにしてくれ、という感じでした。しかもトンネル内で長時間停車。ストレス溜まりまくり。
投稿: 管理人 | 2008.06.17 00:19
その和光市駅の管轄がコスト上の都合で東武鉄道となっており(人件費が安いからだろう)
これは違うと思いますよ。
単に先に開業していたのが東武だということですね。小田急などど同様ですね。渋谷駅の移管はかなりの異例で、めったにないことですね。
綾瀬も移管されていますが、常磐各駅停車系統でみれば、駅管理に連続性がありますが、東上線の和光市をメトロ管理にすると、和光市だけメトロ管理という逆に不自然なかたちです。
あと、立体化は無理でしょう。立体化しなくてもうまいこと裁いている路線はいくらでもあるわけで、そんなことは理由にならないでしょう。やはり、(直通路線が多いのも、名鉄名古屋付近や現行の尼崎付近などをみると、そんなに茶飯事遅れていない。)複雑なダイヤ、TASCの不具、10両のワンマンは無理があるのではと思います。
投稿: tixi | 2008.06.17 23:32
確かに有楽町線の5分間隔化は必要だと思います。
ちなみに>>大阪も名古屋も5分を超える運転間隔の地下鉄なんかない。
と有りますが、
桜通線は
平日朝のみ4分間隔ですが、
平日日中は7.5分間隔(毎時8本)、平日夕ラッシュでも6分間隔です。
土日の日中なんか10分間隔(毎時6本)ですよ!
名城線も(名港線から乗り入れる金山-大曽根を除き)南北線位の本数だった気がします。
でも、自分も利用しますが、副都心線、やはり便利です。埼京線や湘南新宿ラインよりは断然便利ですし、所要時間の事を考えると山手線よりも副都心線(急行)を利用してしまいます。なによりも、小竹向原・和光市・西武線・東上線方面に行くのが便利です。
将来東横線に乗り入れますが、初期は混乱による遅延等が有るでしょうが、暫くすれば現在のように沈静化するでしょう。
ただ、一つ不便になったのは、運転系統が複雑になったため、(遅延が広がるのを防ぐためには当たり前のことだが)小竹向原での接続待ちを行なわなくなったこと。有楽町線だけのときは和光市・東上線/西武有楽町線・西武池袋線-新線池袋/新木場だけだったので接続待ちをしてましたからね。
投稿: 無名人 | 2009.10.16 22:00