6/2 社会保障国民会議も結局中途半端な年金改革しか提示できず
やっぱりこの国は、年金保険料を払っていない貧乏人に、年金なんか出せるか、という感情論に流されるんだな、という話で、政府の社会保障国民会議で、結局今の年金制度の適用拡大だけで話が終わりそう。
民主・長妻、社民・保坂がわあわあ騒いだ年金記録問題というのは、結局年金守旧派の陰謀だったと言わざるをえない。この感情の軋轢から、払った分の年金はもらうという感情が満ちあふれ、これからの年金制度自体をどうするかという議論までねじ曲げたように思う。
そういう意味では、年金運用金をありがたくも公共事業に貸し付けて利権にしている官僚たちの思うつぼだったと言わざるを得ない。
で罪滅ぼしのように低所得者の年金保険料を免除してやる、という恩着せがましい対応が繰り出されるわけだが、こうして免除された年金がもらう段になると、月2~3万の年金にしかならず、結果として生活保護に頼り、門前払いを食らうというどうしようもない結末を迎えることになる。
このあたりの若者が辛酸をなめる年金制度について、全く無視して、古典的なドイツ社会保険制度の原論だけを唱えている権丈氏など、本当に問題だと思う。
また、厚生年金保険料の企業負担分が雇用税となっているという批判から、その負担を逃れられるフリーター、偽装請負、派遣労働に企業は人材をシフトさせているという現実もあり、国民のナショナルミニマムとも言うべき基礎年金ぐらい、企業のご機嫌と関係なく権利が発生させられる仕組みが必要だと思う。
いいように若者を低賃金でこき使い、年金権を事実上獲得できないうようにして、今のじいさんばあさんがもらい逃げして後は海となれ山となれという、その程度の国民会議の議論の結末に呆れるばかりだ。
こうした結果は、いくら連合を巻き込んで議論しても、民主党あたりがタメにする批判の材料になってしまう。もっと高次元の対応を取るべきだったのではないか。
●浜口桂一郎氏のブログで、厚生年金基金連合会の専務である矢野朝水氏の持論「ものいう株主」論に対する批判が面白い。前から、矢野氏の持論には、厚生年金基金連合会の加入者にものも言わせないで何言っているんだ、と思うようなところもあったが、浜口氏の批判は、本質をついている。厚生年金基金連合会が、株主配当や企業価値を最大化せよなどと要求すれば当然リストラが始まり、結果としては加入者であるサラリーマンを苦しめる、そのことについて全く鈍感だというもの。また興味深いことは、矢野氏は民間経験なんかほとんどなく、あの厚生労働省の年金族官僚であるということ。いかに年金の運用金を使う権力的快感を知り尽くしているかということを物語る。
非正規労働者に年金拡大を 国民会議が中間報告の素案
2008年6月2日 20時40分
政府の社会保障国民会議の雇用・年金分科会がまとめた中間報告の素案が2日、判明した。焦点の公的年金制度では、厚生年金の非正規労働者への拡大や、低所得者の国民年金保険料を本人の申請がなくても社会保険庁が免除する仕組みの導入を求めている。
政府は厚生年金の加入対象を週20時間以上のパート労働者まで広げる法案を提出しているが、それ以上の拡大を「早急に検討するべきだ」と指摘。素案は4日の分科会で示された上で、月内に首相へ提出する中間報告に盛り込まれる。
基礎年金を全額税で賄う「税方式」と現行の社会保険方式については、それぞれのメリット、デメリットを比較しているが、全体としては社会保険方式の手直しに比重を置いている。
厚生年金の対象拡大が必要な理由としては、(1)企業が社会保険料を負担せずに済むため非正規雇用が増えている(2)非正規労働者の老後保障-などを挙げた。
このほか、全員に一定額の年金を支給する「最低保障年金」の導入や、25年の最低加入期間の短縮についても「具体的に検討を行うべきだ」とした。(共同)
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