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2008.05.04

5/4 情報公開しない市議会で市の幹部が説明したこと

国に報告する基地跡地の開発計画を、密室で審議した朝霞市議会の様子が、基地跡地市民連絡会のHPで紹介されている。

基地跡地市民連絡会のHP

そこでは、パブリックコメントで寄せられた600以上の意見を14項目40件に整理して紹介している。このまとめ方が粗雑でびっくりするが、1つの市役所の見解を見ることができる。以下は私の感想。

①100人委員会の最終報告書と整合性がないのではないか、という意見に対して、これまで市は整合性があると強弁したが、「財政的見地から抜本的に見直した」と答弁し、暗に整合性がないと認めている。
②財政および財源について、おそらく市民からはそもそもの整備計画のコスト負担について意見が出ているはずにもかかわらず、市民団体が指摘してきた、住民税は思ったほど入らない、という批判への反論に終始して論点を誤魔化している。シビックコア・シンボルロード事業が国土交通省を中心とした国の役所が補助金・交付金を押し込んで、公共事業の押し売りをしていることを隠している。
③整備費用は未定と言って、白紙委任を市議会に要求している。
④公園緑地の確保を求める意見に対しては、ゾーニングの「みどりの拠点」で確保されたものとしている。しかし人工芝だらけの砂漠のような緑地でも「みどりの拠点」となるし、整備計画では「防災公園」としていることから、自生している林を残すようなことにはならず、「緑地を残す」という言葉の意味にずれが起きていることを、市役所は意図的に隠して回答している。
⑤公務員宿舎の受け入れの理由は、財政的見地。しかし、官舎そのものに財政的メリットは無く、むしろ土地取得の交換条件として有利だというのが本質的な話であるし、説明責任として言うべきことではないか。それは財政的見地とは全然違う話で、ウソ答弁と言ってよい。また賛否両論のある中で苦渋の選択という言葉を使っているが何をもって賛否両論で、どのような過程をもって誰が苦渋の決断なのか、まったくわからない。こういう政策決定過程を不透明にしたまま、市役所の幹部職員が勝手に「苦渋」の決断をしてしまうことが問題という認識がない。
⑥複合施設について、「施設の耐震性、老朽化、環境側面、施設のライフサイクルコスト等総合的視点に立って検討する必要がある」などと言っているが、建て替え候補の建物が、どれもその要件を満たしていないという市民連絡会の指摘に一切回答がない。耐震性であれば代替の耐震工事との財源比較、老朽化であれば減価償却の耐用年数とのかねあいがありこれまでの建築物がそれを満たしていないのであれば設計または施工業者の手抜きであり当時の業者に損害賠償を求めるべきだろう。環境側面などというのは詭弁。建物を壊して作り直すことが一番の環境負荷である。施設のライフサイクルコストということは全く役人の趣味的かつ主観的な価値である。市立保育所なんか97年の児童福祉法改正で求められているゼロ歳児保育や病児保育などに応えられない施設がごまんとあって、つまり建物のライフサイクルに合わない施設があるけども、建て替えどころか改修すらおぼつかないでいる。
⑦シンボルロードが広すぎる件について、道路は拡幅しないと回答。とするなら道路特定財源を流用した公園建設である。また、人通りが少なく、大公園に接した広すぎる歩道は暴走族のたまり場になるのは時間の問題である。
⑧市民参加について、パブリックコメントの回答については市議会と調整ということで、市議会議員を通じた要望は回答するという答えである。これはパブリックコメントの手法から逸脱するものである。権力的なルートからでは拾い上げられない問題点を浮かび上がらせて政策の磨きをかけるのがパブリックコメントの役割なのだから、利害にずぶずぶに染まっていて、さらに政治的にも十分発言力のある市議会とだけ調整してよしとするのはおかしいのではないか。最終段階でもパブリックコメントをやるというが、「要望を生かし」ということなので、要求の追加なら応じられるが、そもそも事業を縮小せよ、事業から撤退せよという意見は耳を貸さないということである。パブリックコメントはあくまでも補完的なものであり、行政権が市民を声を聞く最後のチャンスを残しているだけのものであり、本質的には説明会が開かれるべきだが、それはしないと回答している。迷惑施設になる可能性が高いのにである。
⑨資料等での建物のの高さイメージを11階も低く見せてちょろまかした経緯について、「あくまでイメージ」などとふざけた回答をしている。市役所は詐欺まがいのことをしている。
⑩日影や電波障害について、国だと責任回避。シビックコアの日影や電波障害についてはどう考えているのだろうか。
⑪導入施設の回答については意味深い。医療福祉施設の誘致を求める意見には、「参考にさせていただきます」と回答しながら、商店街の活性化(ほんとうは大型商業施設の誘致で不動産価格の上昇=土地バブルをという意見)には、「地元商店街や商工会と連携を密にしながら協議」と具体的である。市民が公に求める本来の機能より、市長の支持団体の商店街や商工会の意見だけ聞き、そこでは一定の約束をもとに計画を推進すると言っている。
⑫土壌汚染の除去費用について明示はされなかった。個人的には、私は土壌汚染などまゆつばではないかと思っている。これが市役所の支出を増やすちちんぷいに使われる可能性もあり、大した科学的根拠もないのに共産党や市民ネットまで含めて賛成したのは、市長に財政支出の口実を作ったものと言え、どうかと思っている。
⑬地元業者を使えという要望に、そうすると回答。地元業者を使うのもいいが、それが指名競争入札や、随意契約なら問題ではないか。PFIを使ってトンネル化して、全て随意契約にするという話もある。大してニーズもなく不明確なシビックコアを強烈に推進するのは、地元業者に対する実質的な生活保護のためだろう。税金はたかられむしられている。半年前にインタビューで出会ったような7万円で何とか暮らしているおばあちゃんたちは生活保護の申請もさせてもらえていない。そういう人を無視して、特定の業者だけ甘やかすのはどうだろうか。
⑭商業施設など業務系施設について、「市が購入することは考えていません。土地利用については必要なものであると考えている」などと意味不明な回答をしている。シビックコアなども業務系用地だとすると、市が購入しないということはどういうことだろうか。民間に払い下げるという意味になる。そうすると明政会の議員たちが「ここで市が購入しないと民間に払い下げられるんですよ」と市民を説得している論理がインチキであるということがわかる。また後段の「土地利用について必要である」ということは、市は買わないけども商業施設は必要だと回答したとも取れる。この⑭の回答については、十分真意を確かめていく必要があるだろう。

全体的に意味不明な回答が多く、普通の政策決定過程であれば当然行われるべき説明や合意がところどころ無視されていることは、この基地跡地開発の計画の後ろには、なにか説明できない何かがあると思ってよい。沈没する自治体の意思決定システムそのものである。

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