5/3 憲法記念日に国会の意思決定システムについて考える
NHK朝10時から、憲法記念日の特集番組で、立法府について、小林節慶大教授、岩井日大教授、田中理沙の3人で討論をしていて、質が高かった。与党議員たちの、「立法府は法律を作るところ、法律を作らせないのなら立法府ではない」という脅迫観念について、小林教授が「法律を新たに作らなくても従前の法律が適用されるのだから行政が停滞することはありえない」と割り切っていたことが良かった。
与党の提案する立法の半分以上が行政府から持ち込まれるものであり、それを止めるということも1つの立法であろう。
戦前の国会は、衆議院で通したものを貴族院が、貴族院が通したものを衆議院が、結構な割合で否決していた。民政党・政友会の二大政党が確立して、公務員の任免や立法での混乱が顕著になるにつれ、政党無用論が蔓延し、新体制運動を経て政党解散・大政翼賛会に流れていった歴史を、もう一度確認すべきである。行政府が送り込んできた法律を、ほとんど大きな修正もせず通すということは、この大政翼賛会時代の国会風習の残骸であると言ってよい。したがって衆議院と参議院との意思が一致せず、法案が成立しないことを大げさにすること自体がナンセンスなのではないかと思う。
NHKが行ったアンケートから、与党から参院不要論がたくさん出てきているが、今さら何を言っているんだという感じである。自由民主党が参議院で多数派を形成し得ていたし、公明党に至っては参議院があるから自民党に発言力を維持してきたのではないだろうか。89年の参院選と、90年の衆院選に、大きなショックを受けてきた私とすれば、ガス抜きとしても安全弁としても参議選があるから自民党が与党にとどまれていると思う。もし参議選でガス抜きができなけれぱ、衆議院でもっと簡単に与野党逆転が起きていたのではないかと思う。
また、小選挙区制中心の衆議院だけになってしまった場合、公明党の出番など今より低下する。そのことがよいことなのかどうなのか、公明党は冷静に考えるべきだと思う。
気になったのは参議院政党無用論や党議拘束の廃止などを訴える若手議員が多いことである。政治マニアではない有権者は政党名でしか選挙の判断材料を持ち得ない。政党内の議論を活発にすることが重要であり、安易な政党無用論で自己保身を図るようなことを言うべきではなく、風通しのよく、しかも政界再編にすぐつながるようなことのない党内議論のスタイルを確立することではないかと思う。
政党無用論がナンセンスなのは自治体議会を見るとよくわかる。結局、議員の所属する政党が本当はあるのに有権者にははっきりしない、そのことが、議員を選ぶ過程の質を大きく落としている。そして行政権の暴走に歯止めがかからない。
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