5/25 学習会「自治体の財政破綻を知る」を開く
今後の朝霞市を考える会で「自治体の財政破綻を知る」と題して、自治体の財政問題に詳しい和光市議の松本武洋さんに講演をしていただいた。
総務省が、全自治体を対象に共通の指標でまとめて公表している、市町村財政比較分析表、歳出比較分析表、決算カード、財政状況一覧表を見ながら、財政をチェックする視点を教えていただく。最後に自治体財政健全化法について説明を受ける。
朝霞市の財政は、①公務員数、賃金水準ともに優秀(財政的見地で)、②財政構造も自由度が高く柔軟である、③借金が少ない、という点で問題がないし、むしろ優良な結果となっている。
一方、問題点では、①他の自治体が徐々に改善している繰越金や借入金の動きを除いた「実質単年度収支」が年々悪化し、2005年度から赤字に転落していること、②支出のうち、外注費である物件費、補助金等の補助費が高いこと、③借金が少ないものの借金を返している金額がもっと少ない(借金が他の自治体より増えている)、④国保への繰り入れが大きい、という3点。悪化しているタイミングがわかりやすい。
破綻するとかそういうことではないが、確実にここ数年で財政が悪化に転じた傾向が見られる。支出の中には全国平均より補助金が多い問題もある。役所の政策メニューを見ると、補助金を出したり利用料の無料化をしているものが目立つ。ちまちま細分化されている補助金を配るやり方がどうなのか検証されるべきだろう。
現在の地方債残高はかなり良い水準だということだが、新たに200億円積み上がったら平均水準以下に簡単に転落するという話も印象的。ちょうど基地跡地のハコモノの建設費がそのぐらいでなかったか。
また国保財政の悪化も課題と指摘される。医療モールが乱立したため、開業医過多になり、医療費支出が多い街であるという話を裏付けている。医療費がかかっているからと医療の質が高いわけではなく、医療受診に関わるさまざまな無料化政策と合わせてコンビニ診療が蔓延しているのではないかとも。
一方で松本さんは「福祉で破綻した自治体は無く、財政がおかしくなった自治体はほとんどハコモノの借金でやられている」と言います。よく考えるとそうだ。
行政が身の丈に合わない投資したからって、税金が増えて返ってくるなんてことはあまり考えられないといいます。
自治体財政健全化法について、朝霞市は問題なしという話だが、イエローカード自治体に求められる財政関連資料の公開や外部監査制度の導入については、そうでない自治体にとっても取り組む課題ではないかと言う。ただし自治体財政を見ることができる公認会計士が少ない問題もあるという。
会場に早川自民党代議士が飛び込み参加しびっくり。松本さんのHPを見てという。少人数の会合にきちんとつきあっていただいて感謝。
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コメント
「福祉で破綻した自治体は無く、財政がおかしくなった自治体はほとんどハコモノの借金でやられている」
目からウロコ、言われてみれば本当にそうですね。ハコモノは作るだけでは終わらず、そのメンテナンス、運営、借入金の返済と金利負担が必ず後々まで続きますからね。
夕張市しかり。関空がらみの開発でコケている大阪府もしかり。
内輪の話で恐縮ですが、私の身内が勤めている東京の某N区は、かつて前区長のときに山梨県上野原に運動施設を作ろうとして失敗。多額の負債があるにもかかわらず、今度は現区長が独立行政法人 雇用・能力開発機構からサンプラザを購入し、その価格と購入の手続きをめぐって、今いろいろといわれています。後々の財政に大きな傷跡を残さなければいいのですが・・・。
投稿: iulius | 2008.05.26 12:38
緊縮財政派の松本さんがおっしゃるので過去の傾向はそうなのだろうと思います。将来はどうだかわかりません。というのも、これまでの福祉の至らぬところは家庭か企業が包み込んできたのでしょうが、これからの社会はそれができないので、どこまで行政にはねかえってくるのかわかりません。
それと、23区の場合は、足立区や板橋区も財政がもっているのですから、あまり心配がないのでしょうか。
一方で、首都圏の自治体は財政事情が良かったせいか、費用に対する効果が不明確な、現金給付型の福祉や、利用料割引型の福祉が目立ち、後発の福祉ニーズに対して公正さが欠ける対応をしているように感じますが、どうなんでしょうかねぇ。
投稿: 管理人 | 2008.05.27 00:43