4/2 ムラ社会のオキテ
横浜市大病院で、医学博士号を取得すると指導教授に謝礼金を払っていた問題で、准教授11人が
「医局に在籍するものが医局内の出来事を悪意によって歪曲(わいきょく)し伝えなければ作り上げられない内容」と批判。「一緒に研究してきた仲間を犯罪者に引きずり降ろそうとする人間と職場をともにすることに恐怖感と強い嫌悪を抱く」としている。
そのうえで、理事長らに「早急に本事件の発端となった人間(投書をした者)の厳しい責任の追及と猛省をお願いしたい」
という内容の申入書を、大学側に提出していたことが報じられている。
多分、内部告発をした人は横浜市大病院にとって「KY」なのだろう。しかし博士号取得に現金授受がまとわりついていることが、慣習化している内部の人間たちにとっては形式に過ぎず実質的な問題はないとしても、周囲からは厳正に博士号を与えたかどうか疑念を呼んでしまうことは避けられない。レベルが違うとか言われそうだが、教習所の教官に運転免許を取った者が謝礼を渡していたらどうか、ということである。
それに対して、制裁まで要求する非常識な申し入れを堂々とできるとは、ひどいムラ社会である。普通の社会では、現金を受け取った教授にもそれ相応の事情があったので斟酌してやってくれ、というのが申し入れの内容の限界だろう。
●最近、不正行為ではないが、別のところで似たような経験をした。
私が濃密にお世話になっているある業者の職員には、守秘義務だの個人情報保護だのコンプライアンスという口実で、社内でおきていることをもらしてはならない、という規則がかなり厳しく求められているらしい。私の担当の人が先週末、突然、退職してしまった。退職することについて箝口されていたらしい。本人が最終日に、箝口令を破って私に告白してくれたから退職する事実を知ったものの、退職に当たって取引先にあいさつもさせないとはひどい扱いである。その経営者は日頃、あいさつがどう、忍耐がどう、職員に伝統的な価値観を教育しているということを誇らしく自慢しているにもかかわらずである。まぁ、そうした守秘義務というのが、労働者が反発しようとしたときに、つまらないことで労働者をひっかけるための罠として用意していることは想像に難くない。
●NHKがまた安倍晋三の亡霊にとりつかれている。まぁ、経営委員長が生き霊で、現会長がその人のたってのご指名で選ばれたから、仕方がないのかも知れない。安倍政権時代、菅義偉前総務相がNHKに対して、政府による国益にかなう命令放送を執拗に求めたことがあったが、今日、増田寛也総務相の要求を、NHKはあっさり受け入れてしまった。しきりに放送の編集権の独立を強調していたが、北朝鮮が何だか知らないが、一度政治に表玄関から入り込まれる口実を作れば、次々に破られるのは時間の問題である。また、どうでもいい北朝鮮批判報道も連日流されるようになった。一方でニュースのトップはガソリン税暫定税率がなくなったことについて、わざわざテレビを見なくてもわかるような実感ベースのニュースの垂れ流しを長時間にわたって流れていたことも、質の低下を感じた。
余談だが、21時のニュースの青山キャスター、キンキンした声がうるさい。ニュースステーションの古館みたいな煽り方も気に入らない。これに堀潤のルポが重なるとほんとうにうざい。民放の煽り調子のニュース・報道番組が嫌でNHKを見ている人も多い。NHKはもっと淡々と放送すべきだ。
●映画「靖国」の上映が自主的に中止された。右翼の圧力だという。プリンスホテルの件以来こういうことが重なることはどうかと思う。今回は、火を焚きつけた稲田朋美とかいう議員にも問題がありそうだ。本人は上映すべきなどと釈明しているが、国会議員が文化行政にあまり首を突っ込むべきではないだろう。無粋である。
「通報者の責任追及を」申入書 横浜市大謝礼金問題2008年04月01日10時50分読売
横浜市立大学医学部の医学博士号をめぐる謝礼金問題で、金銭授受をしていた前医学部長が主任を務める教室の医局員たちが、問題が発覚する端緒となった内部通報者の責任追及を大学側に求める申入書を出していたことが分かった。同大のコンプライアンス推進規程は「通報者の保護」を定めているが、申入書は「厳しい責任の追及と猛省」を要請。大学側は「申し入れは内部通報制度の趣旨にそぐわない」と指摘している。
申入書は2月12日付で、前医学部長の嶋田紘教授が主任を務める消化器病態外科(旧第二外科)に所属する准教授(講師)ら11人が署名し、理事長、学長あてに出された。
申入書は、同大コンプライアンス推進委員会の調査を踏まえ「医局に在籍するものが医局内の出来事を悪意によって歪曲(わいきょく)し伝えなければ作り上げられない内容」と批判。「一緒に研究してきた仲間を犯罪者に引きずり降ろそうとする人間と職場をともにすることに恐怖感と強い嫌悪を抱く」としている。
そのうえで、理事長らに「早急に本事件の発端となった人間(投書をした者)の厳しい責任の追及と猛省をお願いしたい」と訴えている。
同大のコンプライアンス推進規程は、所属長や職員が通報内容の調査に協力して秘密を漏らさないことや、理事長や学長らが通報者の保護に努めることなどを定めている。
謝礼金問題について、同大は昨年11月に通報を受けてコンプラ委で調査。3月に「謝礼が一部存在していた」などとする報告書をまとめた。
同大総務・財務課は「通報者の責任追及と猛省を求めたくだりは内部通報制度の趣旨にそぐわない。通報者の保護など制度の理解を深めていく必要がある」と話している。
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