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2008.04.03

4/3 朝霞市は公共施設の耐震化に98億円も使う

朝霞市が公共施設の耐震化計画をまとめているようだ。基地跡地利用市民連絡会のHPでその内容が紹介されている。

本来2.5億円程度で済む市役所の耐震化工事が、基地跡地への移転建て替えで11倍の28億円もの経費がかかり、対象の4施設合計で5億円弱で済む耐震化工事も、基地跡地の移転で98億円かかる話になっている。市民1人あたり9万円である。生産人口で割れば、12万円ぐらいの話である。

地震が危険だから公共施設を建て替える、というのは半ば脅迫観念である。昨日お会いした島本慈子さんの「住宅喪失」(ちくま新書)や、山岡淳一郎さんの「あなたのマンションが廃墟になる日――建て替えにひそむ危険な落とし穴」(草思社)などを読むと、耐震化や震災対策という名のもとに、あるいは建築物が30年程度しかもたないような印象を与え、まだまだ使えるコンクリート建築をわざわざ壊して建て替えさせる(もちろんそれは住宅ローンが終わったひとにさらに住宅ローンを重ねさせて、女郎屋のようにサラリーマン階層を一生借金漬けにするやり方)、国土交通省や建設業者のビジネスモデルがあることがわかる。もちろんそれはマンションに限らず、公共建築でもありうるのが、今回の朝霞市の耐震化計画である。

余談だが、現在のその公共施設の跡地には、あるマンション業者が土地を格安に仕入れてマンション開発するという話もあるから、建設業者は二重取りの話でもある。

以前、耐震免震の大家である建築家の多田英之さんの話を聞く機会があった。
地震なんて何が何だか科学的にはわからないことが多い。それから耐震化基準など、科学的に証明もされていないものの上に、基準が求めているのは、最低限その建物によって死者が発生しない程度のものしか求められていない。丈夫な建物だから未来永劫使えるとも言えないし、逆に、こんなのだから壊れてしまうとも、よほど耐震強度が低いもの以外は言えない。そういうものだという。

膨大な経費を使って耐震化して市役所が壊れるのが早いか、そのことに過剰に恐れおののいてその経費を使うことで朝霞市の財政が壊れるのが早いか、そういう問題ではないかと思う。もっと言うと、東京通勤者が市民の4割を占め、日中は高齢者や子どもなど社会的弱者ばかりが遺されている中で、大地震がきて、市役所の建物が維持されたところで、防災としてどうなのだろうか。災害の後、市民が帰ってこない、一家離散になるという課題がある。防災について町内会に結集せよという方針しかない市役所は、そうしたこの街の特性について防災上の観点から何の回答も持っていない。

江戸が繰り返し地震にみまわれながらも、簡易な木造建築を300年以上続けたのは、地震によって街を壊しても、解体撤去が容易なまちづくりをしたことで、社会を壊さない工夫だったのではないかと思うこともある。

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