4/23 またまた規制緩和ちちんぷい
経済財政諮問会議が正社員化の数値目標を立てるという。
数値目標、という言葉になんとなく嘲笑したくなる気持ちが。根拠のない数値目標って、国家統制みたいな感じがあるし、米袋に石ころたくさん入れる社会主義国のノルマ制の滑稽さを思い出す。
さておき、内容も笑ってしまう。相変わらず職業訓練だとか、ジョブカードという教化所的なもののオンパレード。それからいつも出てくる保育所制度の規制緩和。もう規制なんかほとんどないのに、これ以上引き下げて、何がしたいのだろうか。劣悪業者に公費をばらまく話になるだけではないか。
保育の規制緩和で雇用拡大は実現できないと思う。
規制緩和で保育所が増える、保育所の保育時間が拡大できる、そんな保障はどこにあるのだろうか。保育所を増やすのにネックになっているのはカネと土地確保であり、規制を緩めてもカネや土地が天国から降ってくるわけがない。保育時間の拡大は、保育スタッフへの報酬増につながるが、そこもまともに手当てがされていない。
今日、保育所に入れない人が多いのも、保育所が時間延長をできないのも、規制緩和で保育コストを削ることばかりやってきたからだ。公費をきちんと盛ることなしに、保育園が良くなるわけがない。
あと、入所に地方議員の口利きや申請書類の偽装などが横行し、しかもその偽造や口利きをして入所した子どもの方が保護者が早くお迎えに来たりして、保育園側も歓迎していたりするから、なかなか本当に必要な人に順番が回ってこないという事情もある。
これまでデフレ経済で、人が余っていて人件費を買いたたけたから保育コストを削っても問題は起きなかったし保育事業への参入も楽だった。しかしこの間保育コストを削り続け、規制緩和で質の低い保育所を認めてきたその上で、景気が回復して他産業の人件費が上がれば、保育の担い手が逃散し、ますます保育所が不足する。また、保育士のうち保育をする人も減ることから、現場での人員不足が起き、無資格者や無経験者の保育スタッフが増え、おそらく事故も増えると思う。実際、すでに東京都の認証保育所でそういう問題が起き、認証を取り消された事例もある。
それから今日、保育所が時代に合わないのは、保育の規制にあるのではなく、保守の人間たちが母親に過剰な期待をするイデオロギーをまきちらしていることにあるのではないか。保育所が過剰に保護者に課題を持ち込む、例えば、生きる力だ、親育てだ、食育だという言葉のために、仕事で疲弊している保護者に専業主婦でも要求されない水準のことを要求される。働いて税金納めて、生き方まで保育所に説教されたら、バカバカしくなるものだ。
待機児童問題、保育所のサービスのミスマッチ、保育スタッフ不足、それぞれきちんとした真因分析が必要なのだが、子育てもしたことのない経済財政諮問会議の連中は、思いつきばかりで制度いじりをしたがる。
お金の出所も、サービスの担い手も考えない規制緩和ちちんぷい神話、いつまで続くんでしょうかね。
経済財政諮問会議、フリーターの正社員化などで数値目標
政府の経済財政諮問会議(議長・福田首相)が23日開かれ、成長戦略の一環として策定を進めている「新雇用戦略」について、舛添厚生労働相は、〈1〉100万人のフリーターを正社員化する〈2〉働きながら子育てできる環境を整え、女性の就業者を20万人増やす――など、今後3年間で政府が取り組む数値目標を示した。
新雇用戦略は、若者や女性、高齢者、障害者などを対象に、働く意欲のある人の就労支援を加速させて、1人あたり国内総生産(GDP)の増加につなげる狙いがある。6月に取りまとめる「経済財政改革の基本方針」(骨太の方針)に盛り込まれる。
具体的には、フリーターや母子家庭の母親らに職業訓練の機会を提供する「ジョブカード制度」の整備・拡大、利用者の立場に立った保育サービスの規制緩和などを進める。
(2008年4月23日22時06分 読売新聞)
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