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2008.04.13

4/13 西川京子の酒飲み談義につきあってられない

報道2001という政治討論番組で、珍しく介護労働の厳しい実態について議論されていた。
題材も専門家(服部万里子さん)も良かったが、西川京子副大臣のバカなコメントに呆れるばかり。
「介護予防に力を入れます」とか本質的な議論は何もできない。民主党が提案した、介護労働者に標準以上の給料を払っている事業所に割り増し報酬を払う法案について「大企業の介護業者を儲けさせるだけ」などととんちんかんな反論までしている。たかだかの金額の法案だよこれは。
介護労働者の待遇改善なんか何も提案してないで、人材派遣業者任せにしてきた、これまでの与党の介護保険の見直しの経緯への自己批判はどこにもない。
呆れた服部先生が「介護保険料の見直しが行われるたびに介護労働者の賃金が下がり続ける。そんな職場にだれが将来を感じますか」と怒っていた。

最後に、政治評論家の三宅久之が、介護財源の確保を指摘したところまでは良かったが、それを40未満の人にまで拡げることと、徴兵制ではないがボランティア強制をしたらどうか、などと思いつきを披露。
それに対して、呆れることに西川副大臣は、「そういうことを私が言うと行政の責任放棄などと言われますから、まことにありがたい話で、そういうことも含めて介護を見直したいと思います」とまくしたてて、番組の時間切れで服部先生に反論する機会も与えず番組は終わった。

無用に元気な人ばかり相手にする政治討論番組で、福祉や医療を議論する無意味さを今回も感じた。福祉や医療のことについて国会がダメなのではなくて、こういう責任逃れをする為政者が流す、インチキな議論を横行させている民放の政治討論番組に問題があるんじゃないかと思っている。何せびっくりするぐらい政治関係者はこうした番組に誰が何を喋ったか気にしてばかりいるし、自分も出たがっている。

西川副大臣の最後の反応については、若者から金だけ巻き上げるだけではなくて、時間まで巻き上げるのかと思う。
介護が高校生のボランティアでもできる仕事という誤解があるから、介護労働者の報酬は上がらないし、いつまで立っても介護労働者の賃金改善ではなくて、政府や人買い人夫に連れてこられたフィリピン人看護士や、高校生ボランティアの低賃金労働でお茶を濁そうとする。

それが日本の介護を絶望的にするのだ。年収150万しか払えない介護保険制度で、いったい何を期待しろというのかわからない。制度見直しのたびに、介護ヘルパーに芝刈りさせたとか(芝生なんか持っている金持ちなんて社会のわずかだろ)、あたかも介護の利用者や介護労働者のモラルハザードがそこらじゅうにあるかのような、マスコミが喜びそうな情報を厚生労働省は陰から流して、介護労働者の報酬を切ってきた(こういうやりくちは保育園や学校給食でも行われている)。
そして、本質的な介護を空洞化させる一方で、介護予防と称して、食べ過ぎのなまった体をスポーツジムでエネルギー浪費する元気な中高年に使うというとんちんかんな施策が横行している。
介護保険の適正化のための包括支援センターも本来は行政が事業者をチェックするために行われるのに、朝霞市もそうだが、多くの自治体では、高齢者のトータルの生活を捉えた市の介護計画もなく、包括支援センターを介護事業者に丸投げして、苦情を持ち込むことすらできないムダな事業になっている。

そんなことをいろいろ考えながら、西川副大臣の飲み屋談義レベルの政策開陳を朝から聞かされて、ほんとうに将来が嫌になった。

変に社会保障を張り巡らせるより、65歳自殺奨励金でも配った方が本人のためになるんじゃないか。この国は。

●利用者にモラルハザードがあるからと規律ばかり要求すると、こういうダメ事業者が蔓延するのも福祉の現実である。利用者のモラルハザードによるコストの漏れと、ダメ事業者を蔓延させて社会を滅ぼすデメリットと良く比較して議論した方がいい。
東村山魑魅魍魎ブログ 保育園での子どもの窒息事故を、親が過去の子どもの事件を保育園に報告しなかったとして、園が謝罪するどころか、親が謝罪させられているという事件の報告です。
1955年に起きたヒ素ミルク事件でも、そういうものを販売した企業以上に、親が責任を感じ、長いこと被害者として声を挙げなかったことが、弁護士だった中坊公平氏などによって紹介されている。

早川忠孝代議士が、NHKの朝の討論番組について、野党の取るにたりない政権批判をNHKが流させているのは政治不信を定着させている、などとけちをつけている。こういう批判は卑怯である。早川氏の立場に立てば、取るにたりない政権批判をしている野党が問題なだけであるし、そのことが政治不信を煽るというのなら、そのことを鳩山なり小沢なりに問いただすべきだろう。NHKは民主党の政策を変更させる責任があるのだろうか。政権与党の政治家が放送局にけちをつけるのは控えるべきだろう。自民党清和会の政治家は検閲チックなノリが好きなようだ。

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コメント

最初のVTRだけ見て仕事にいきました。
確か2000年の総選挙前にある場で議員に私が看護師・介護士になっていく友人に触れて労働条件について質問した時、くろちゃんさんに話し掛けられて飲みに行った事を覚えています。

最近、過酷な労働条件について報道されるようになってきましたが、なかなか改善される兆しもないですし、介護からの人離れを加速することになるかもしれないジレンマもあるかもしれません。
福祉関連の労働条件の改善(増員)を可能にするための予算って
道路に16兆もかけてる国が出せないわけがないと思うのですが。
田舎に住んでいると地元に残る若い人の雇用先として保育や介護
の現場が結構大きいなと感じます。そこへの保障を手厚くすることは経済的にもプラスに働くと思います。

投稿: wacky | 2008.04.13 22:39

どうも。
コムスン(廃業)、ワタミ、ニチイ学館などなど介護事業者はどいつもこいつもブラック企業ばかり。新自由主義者はしばしば国民のモラルハザードを声高に唱え、民間企業こそがもっとも不正の少ない形態であることを主張していますが、うそをつくのも大概にしろよと腹立たしい限りです。

日本経団連への非難をもっと強め、小泉的なものを全て排斥しない限り、事態の改善は望めないのですが、高齢者はダボハゼのように自民党に票を投じるばかり。高齢者から選挙権を取り上げるべきではないでしょうか。

投稿: Lenazo | 2008.04.13 23:24

wackyさま
あの頃は、まだ不況がひどくて、低賃金でも人が集まったのですが、今では絶対額でも賃金が下がり、相対額(他のアルバイトと比較した場合)では目も当てられない低賃金になっています。何とかしないと、また少ないサービスをめぐって役所が采配する昔に逆戻りです。

lenazoさま
まぁ、最近の高齢者は若者より自民党に投票していないという調査もありますので、選挙権については抑えて抑えて。
かつては大手介護事業者が官僚とつるんでやりたい放題やっていたという感がありましたが、どうもコムスンの摘発以来、官僚はそことすらも手を切り始めているという感じがします。なんとなく繰り返し行われる介護保険の制度改定のお粗末さを見ていると、投げやりな感じもしています。

投稿: 管理人 | 2008.04.14 00:19

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