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2008.04.11

4/11 暗黒判決「ビラ配りで逮捕できる」

最高裁が、ビラ配布禁止と書かれたマンションでビラを配布した人を逮捕してよいという判決を下した。呆れた判決である。

裁判官など、社会的弱者になったことないから、ビラ配ったり、誰かに何かを訴えたりして生きる必要はなかったのだろう。しかし社会的弱者や、体制に異を唱える人は、そうやってこつこつと人に訴えていかなければならない。北朝鮮の拉致被害者たちだって、マンションこそ配らないものの、世間が迷惑だと思うような該当のビラ配り、演説会を重ねて、今、市民権を得たのである。

これに選挙の事前運動が重なるとほんとうに微妙な世界である。コミュニティー活動促進法案だか何だかで、自民党が培養する町内会を通じて、公金を使って容赦なく自民党系の地方議員の選挙準備が行われている。その他、不動産業界、青年会議所など、政治に頭の上がらない、政治を利用したい団体を通じた選挙準備だけが、どんなに迷惑なやり方をされても合法で野放しなのである。
ところが、ただポストに入れられて、そのまま棄てれば済むようなビラ投函が、住居不法侵入でつかまる。それも罰金10万円の罪で2週間も拘留できる、そんな判決である。ビラ配り禁止を求めた判決と言ってよい。

選挙で情報が必要なマンション住民はどのように情報収集したらよいのだろうか。

ビラ配りするな、という禁止と、ビラ配りしようとする人との関係は私的自治の世界であるべきだろう。またビラ配りを止めたところでマンションの治安が安定するわけがない。治安の安定しているマンションは、各戸がビラをきちんと部屋に持ち帰り、ごみとして処分する人だけが住むマンションである。

もう繰り返しこんなことは書いているが、世論は当たり前だという感覚でびっくりする。憲法が機能しない。

●民主党はこの問題にもっと真剣に怒った方がいい。この判決は、都市部の宣伝戦で勝利を掴む民主党の選挙戦術に対する司法からの介入といってもよい。マンションにビラを投函できなくなったら、町内会や業界団体を十分に掌握し、そこに国や地方自治体からのさまざまな便宜供与によって票田培養している自民党に対抗できるのだろうか。マニュフェストを最初に採用した政党なのだから、文書による言論を妨害するような最高裁の姿勢に断固とした態度を取り、住居不法侵入の過剰な解釈を許すようなことを認めない法改正をすべきだと思う。

ビラ配り有罪確定へ 被告ら「民主主義の危機」2008年04月11日19時50分朝日新聞

 ビラを配っただけで「有罪」となった市民団体のメンバー3人は、最高裁の結論に憤った。75日間も勾留(こうりゅう)されたうえ、4年にわたった裁判の結末に「民主主義の危機だ」と訴えた。

 判決要旨の法廷での読み上げはわずか2分だった。閉廷後に会見した「立川自衛隊監視テント村」の大洞俊之被告(50)は「こんなことのために聞きに来たのか」と憤った。高田幸美被告(34)は「今まで当たり前だったビラ配りがある日突然、犯罪になる。そのことにゴーサインを出した。司法には失望した」。大西章寛被告(34)は「警察や政府が政治的意見を封じるために判決を利用することを恐れる」と語った。

 3人は今も、ビラの配布を続ける。集合住宅や一軒家で年に4、5回。多いときは1回で約2万枚を配る。「再逮捕されては元も子もない」ので、自衛隊官舎には近づかない。管理人のいるマンションの場合は、許可を受けるようにしているが、これまで断られたことはない。

 「テント村」は昨年、事件の舞台となった官舎に70通のアンケートを郵送した。返信は2通。いずれもビラ配りについて「犯罪だと思わない」。自衛官から、活動を支援したいとカンパもあった。「主義主張には全く賛同できないが、これは言論弾圧だ。放置すれば我々も対象になる」と右翼団体からも激励のメールが届いた。

 「憲法で表現の自由が保障されていても、行使する手段が制限されれば何の意味もない」と大洞被告は言う。右翼団体の抗議などを警戒してホテルが日教組の大会会場の予約をキャンセルしたり、映画「靖国」の上映を自主的に取りやめる動きが広がったり。「ビラ配りと根っこは同じだ」と感じているという。(須藤龍也)

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コメント

ビラ貼り云々の前に入らないでというところに入ってはダメなんじゃない?憲法や法律どうこう以前の問題でしょう。これがokなら迷惑メールもOKということ?治安は変わらない?自分勝手なことばっかり・・・。自分の意見をいうために人の平穏をけがしてはダメ。一人違反をすればそれを見てどんどん違反者は増えていく。拉致被害者と一緒にしてはダメ。彼らは被害者でしょ。まあ、どうでもいいけど。見たくもないビラが毎日郵便箱一杯になるような体験をしないとわからないんでしょうね。

投稿: 意味不明 | 2008.06.30 22:03

マンションで入らないでと書いてあるところのどれだけが全部の住民に合意を取っていますか?デリバリーのちらしならいいけど、選挙がらみのビラはダメとか、そういう線引きも議論していますか?それなくやっていれば、一部の管理組合の幹部や、ひどいときには不動産屋の思惑で情報が入ったり入らなかったりするのです。被害者だから拉致被害者はいいけど、と書かれていますが、政治家には何かの被害者で立候補している人もいます。市民運動でも何かに被害を感じてやっている人もいます。そういう人は投函していいんですか?

見たくもないとおっしゃいますが、ごみ箱に入れればいいことでしょう。そのために欲しいと思った情報が入らなくなることの方が問題です(このことのバランスは法律で決着がついています。今回の判決も集合ポストへの投函までは禁じていません。投函そのものより、集合ポストがあるのに、立ち入り禁止を大きく乗り越えて、各戸のポストまで入ったからいけない、というものです。誤解して伝わっているようです。投函禁止ではありません。罪は不法侵入です。あんまり難しいこと言ってもわからなさそうですが)。
一戸建てに住んでいる人は、町内会や投函されるビラを通じて地域の問題を知っています。知らないで実害が出るようになって慌てて、誰も助けてくれないのがビラお断りのマンションに住んでいる人たちなのです。

私のところの集合ポストもどっさりビラが入りますよ。駅から近いし、近くにマンションいっぱいあるし、配りやすいところです。しかし、管理人も管理組合も投函されるものをシャットアウトする権利はないので、各自の処分に委ねています。結果としてその方がマンションのパブリックスペースはきれいになっています。

ビラ配布で治安が悪くなるということも私にはよくわかりません。自分の(に限らず)子が不良になる可能性の高さの方がよっぽどマンションの治安を悪くする可能性を秘めています。住民の不良娘(当時。いまは改心して良いお嬢さんになりました)が呼び込んだ不良に、ヘンゼルとグレーテルのように灯油を垂らされた経験から申します。

投稿: 管理人 | 2008.06.30 23:17

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