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2008.02.17

2/17 道路利権よりの報道特集

報道特集で道路特定財源の報道。

道路特定財源を維持しようとする側は、全国各地でたくさんの集会をやっている。参加者の交通費、会場代、よく出てくるなぁ、と思う。自発的に払っているとしても、その人たちが自腹を切る根拠って何だろうか。マスコミにも対策費がいきわたっているようで、道路特定財源維持の側に形勢がよい。道路特定財源という財政を歪める制度を維持することに勢いがついて、まったく嘆かわしい。

民主党は、本筋の主張であった道路特定財源の一般財源化や地方財源化に加えて、マイカー族の票をカネで買うがごときのガソリン税を値下げする、イナカ選出議員の支持土建屋を不安にさせないがための必要な道路を造る、という主張をまぜこんで、自民党の伊吹氏に「連立方程式は解けない」と言われてしまって、ガソリン値下げを核とする国民へのアピールは長期戦に持たないだろう。

報道特集では、宮崎の高速道路建設、福岡八女の朧大橋、横浜市の踏切をめぐる地域事情を取り上げながら問題提起していたが、道路利権には批判がなく、民主党批判に終始したように思う。稚拙な民主党も民主党だけども、道路利権に批判がなくて、この議論のバランスは悪すぎる。

宮崎の高速道路建設の話がいまいちわからない。話が変である。道路特定財源で建設されることが前提で、地方重視か地方軽視かみたいな議論設定されているが、高速道路はそもそも通行料で建設されるものではなかったのか。猪瀬直樹や大宅映子が自民党応援団になってやった道路公団を民営化はそういう目的ではなかったのか。税金で建設したもので民間企業が収益を上げることが認められているのなら、あの改革は税金の節約には全く役にたっていなかったということなのか。わからない。

都市部でも、ということで横浜市の踏切が開かないと麻生太郎氏が演説する姿を映し、都会の人にも道路特定財源が必要であるかのような見せ方をしていた。
しかし本質はそこにない。横浜市は富裕自治体で、道路特定財源でばらまく道路工事にひっついてくる地方負担分を自腹でやらなくてはならない。工事用の周辺用地の確保も地価が高くて難しい。これも工事後の空き地を鉄道沿線の道路整備として道路特定財源で手当されるようだが、それも地方負担分がある。道路特定財源を維持すればするほど富裕自治体の開かずの踏切は解消しない。

こうして道路利権側に近寄った報道を見ると、TBSに何らかの工作があったことは容易に読みとれる。ドジな菅直人氏を揶揄するような報道の仕方も、そういうことなのだろう。

また、道路がなくって不便だというのは絵にしやすいけど、地方財政とか、道路以外の地域振興とか道路建設の犠牲になっている人たちの課題は、直接的なイメージをつなげる映像になりにくい。そこが道路利権には追い風になっている。これは公共工事に関する議論すべてそうである。この構図は道路や橋や新幹線ばかりではない。
児童館を建設すると子どものたになっているように見えるけど、子どもたちにどんな遊びをしてもらいたい、という議論から行政施策を議論することは、ほとんどみられないのと同じだ。

●朝霞市の作ろうとしているよさこいダンスの披露の場となることが予定されるシンボルロードも、国負担分は道路特定財源である。全国のドライバーのみなさん、ごめんなさい。あのひとけのないところに幅50メートルの遊歩道を造ったら、暴走族や非行少年の集会場になることは時間の問題だろう。貴重な税金を使って治安を悪化させることの意味を問わなくてはならない。

●道路のことばっかり政治は議論しているが、交通問題はそれだけか。私は毎日満員電車で仕事に通い、国に税金を納め、それが全国にばらまかれている。私の住む自治体は「富裕自治体」だから、国税の恩恵なんか全くない。その上、数年後には大量の国家公務員が流れ込んできて、その家族のおかげで自然環境、景観、教育事情や保育事情、医療事情はまた悪化する。無認可保育所で持ち出しの税金を払うのが続く。
イナカモンは、道路がなければにぎわいがなくなるとか、趣味みたいなことばかり言っているが、私たち都会人は働くために体を犠牲にして満員の通勤電車にほとんど毎日乗っても、その輸送力増強は遅々として進まない。まして税金が使われるのは極めて限定的で、国で面倒みてくれるのは建設費の利息の一部だけである。それ以外は私たちの運賃で賄っている。もっと快適な通勤電車があれば、毎週月曜日に満員電車の中で体調を崩す人もいなくなるだろうし、そのことでの遅刻もなくなる。サラリーマンに蓄積されていく健康障害もだいぶ軽減される。車内のトラブルだって痴漢だって際だって減る。生産のために使う公共財なのに、税金が使われていない。道路特定財源で地域振興だ、格差是正だなどと言っているバカは、いいご身分だと思う。
道路建設で正当化される地域振興は、地方独自財源や地方交付税の充実で、自治体が自由な判断で、道路以外の方法とも比較検討しながら主体的にやるべきで、国にお願いして箇所付け含めてうやうやしくお伺いを立ててそのまちに必要なことをやってもらうようなことでいいのかと思う。

●道路特定財源に批判的な友人が、ネット上で東国原知事を批判したら、たくさんの批判攻撃にあう。道路を造って欲しいなら、一般財源で他の予算と優先順位を議論して造ってもらえばいいんであって、特定財源などという戦争中の軍事予算みたいな扱いをしろという道路特定財源維持派の議論が歪んでいる。国交省のどこに、戦前の軍隊の統帥権ような議会や内閣に独立した権力を与えられているのか。
相手が東国原だからやられたという面も考えたい。テレビに出ている人がいい人で、出ていない人が悪い人、という有権者の無意識の選別が政治の質を大きく落としているように思う。話は広がるが「せんたく」新党もだが、芸能人知事の横行に政治的危機を感じざるを得ない。あれは大政翼賛会の予兆か、できの悪い民主党の二番煎じみたいな政党ができるだけである。

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