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2008.01.06

1/6 補助金受給団体の政治や選挙への関わり方

11月に行われた朝霞市議選の中で、市役所から補助金やさまざまな加入誘導策が取られている町内会・自治会が自民党系市議の選挙応援をしている、ということに問題提起をした。

そのときの市役所の返答が、①公選法上問題ない、②町内会・自治会は加入の任意性があり道義上も問題ない、という回答だった。①は確かに違法性はないが、②については一戸建て住民は事実上の強制加入であり、マンション住民が6割超えた中でもまだ、町内会・自治会だけを中心に意見吸収や防災対策を行っている以上、問題ではないかと私は納切り返し、議論は平行線で終わった。

朝日新聞が、マンション開発とかCO2対策などを理由に補助金を受給している企業が、自民党に献金したことを問題にしている。市議選での町内会の問題は、選挙を応援するかしないかという問題にとどまっており、献金ではないため、政治資金規正法の枠外だが、行政の意に沿って補助金を受給をしている団体が、相当程度の必要性(震災復興など)が無く、住民の総意を確認できる手段がないままに、特定候補の応援をすることの道義的問題はある、という論点は、補助金を受け取っている民間企業も、町内会・自治会も同じだと思う。

そうした中間団体が行政の庇護を受けていることについて、いろいろ考えることがある。例えば、生活協同組合、労働組合、NPO法人といったものに、基礎自治体が庇護を与えているだろうか。また彼らが政治参加したときに、どういう反応を示すだろうか。生活協同組合に関しては、かなり厳しい指導で、政治活動を禁止されている。共済生協も、購買生協も、保険屋やスーパーと同列の規制、同列の競争に晒されながら、保険屋やスーパーがパーティー券の購入や政党献金、企業ぐるみ選挙をやり放題なのに対して、生協は、従業員や組合員に対する投票依頼すら禁止されている。町内会や自治会などに比べたらずっと加入の任意性が高い団体だし、近畿を除けば同一地域に複数の生協の存在が当たり前になって、消費者は自由に生協を選べる時代であるにもかかわらずである。

労働組合、NPO法人も、生協ほど厳格ではないにしても、政治活動について、町内会・自治会のような野放し状態ではない。法律によって、労働組合やNPO法人の存在の目的にかなう範囲での政治活動でなければならないことを要請されている。もちろん町内会・自治会も、第一義的に自民党の選挙運動の下部組織になっているところは皆無に等しいので実質的に同義だが、労働組合が選挙運動をするときほど、自治会や町内会が、メンバー内の違う党派や候補者を支持する人たちと議論を踏んで行われているとは思えない。

また、町内会や自治会の意義は認めながらも、市民にとって中間団体で身を守る分野はそれだけではないのではないかと思う。朝霞市民の大半は月給取りとその家族である。彼らにとって最も重要な価値がある職場においての中間団体といえば労働組合だし、実際、市民の少なくない人が職場にさまざまな問題を抱えているであろうことは容易に想像付くが、朝霞市役所は月給取りの市民に、生活を守り、向上させるために、労働組合の結成や労働組合への加入を、勧めているのだろうか。そんな話は聴いたことがない。そういうことをきちんとやっていれば、市民所得が上がったり、職場にひどい目にあわされて失業したりする市民は減るかも知れない(もっとも官製労働運動でいいのかという次の問題も起きてくるが)。中間団体が役に立つ実感を得ていない市民が、町内会・自治会を入れと言われても、お任せ主義で運営させてしまうことは無理からぬ話ではないか。

また、労働組合に対する朝霞市職員の受け止めはどうだろうか。市民の権利を守る重要な機能があるという言葉をいただいたことはまずないし、そういうセクションもない。本来は危機管理や福祉に類するセクションが担当すべきだと思うが、多分、ごくまれに労働問題で市役所に相談に来る人がいれば、労基署に行けと追い返すか、話を聴くだけならと商工関係の課が聴くことになるだろう。そこは経営側の要望を相手するセクションと同じである。

そんなことを考えながら、不公平な価値観がまかり通っていると感じているのである。
話が広がりすぎた・・・。

甘い規制、税金還流 補助金受給企業・団体、自民へ献金
2008年01月06日10時01分

 日本を代表する100以上の企業・団体が、国から補助金を受給する一方で、自民党の政治団体に多額の献金をしていた。企業の多くは、利益を伴わない補助金だとして適法を強調するが、マンション開発やベンチャー支援で交付を受けた企業もあった。総務省の担当者は「違法かどうかの解釈は難しい」と打ち明けた。

 「駅前の新しいランドマーク」。こんなキャッチフレーズで売り出された首都圏の超高層マンションを含む2件の開発事業が、国土交通省の「住宅市街地総合整備事業費補助金」の対象になった。これらの開発を他社と共同で進めた三井不動産は06年4月、事業全体で計7億円近くの交付決定を受け、同年12月、800万円を国民政治協会に献金していた。

 受給には、地域の整備計画に従い、防災や緑化などの公共的な条件を満たす必要がある。同社は「優良な住環境の整備等の社会基盤整備に対する補助金で、『利益を伴わないもの』に該当する」と説明した。一方、同じ枠組みで5億円近くの交付決定を受けた鹿島は「コメントを控えたい」と答えるにとどまった。

 トヨタ自動車は、工場内の電力と熱を同時に供給し、二酸化炭素排出を抑制するシステムの設備投資に経済産業省から1億円余りの交付決定を受けた。企業にとっては実際の省エネ効果に加え、環境への取り組みをアピールできるメリットもある。しかし、同社は「環境負荷抑制という公益性のある設備投資の一部を助成する補助金で、利益を伴わない」と答えた。

 松下電器産業も、環境負荷が少ない物流システムを開発する他社との連携事業に経産省から約7500万円の交付決定を受けたが、「二酸化炭素排出削減に寄与するモデル事業で、規正法の適用除外に当たる」とした。

 そのほか、地球温暖化対策をうたった製品開発事業に対する補助金や、ベンチャー支援目的の補助金を受けた企業も献金していた。

 朝日新聞が、補助金の交付決定から1年以内に献金した主な24企業・団体に見解を尋ねたところ、献金額上位9企業・団体を含む21企業・団体が具体的な回答を寄せ、「利益を伴わない補助金」などとして「適法」と主張した。

 ■「例外の解釈難しい」 総務省

 どの補助金が例外に当たるのか。総務省政治資金課の担当者は「規正法の中でも最も解釈が難しい」と打ち明ける。

 同課には時折、寄付前の企業から違法かどうか見解を尋ねる電話が入る。だが、「補助金の要綱の検討や、交付官庁や法務省への問い合わせなどで判断に2カ月ほどかかる」と告げると、結論を待たない企業がほとんどだという。

 補助金受給法人による政治献金の規制は、もとは造船疑獄事件(54年)などをきっかけに公職選挙法に設けられた。その後も政界で汚職事件や不祥事が相次いだことを受けて75年に政治資金規正法が大きく改正され、この規制が盛り込まれた。

 違反すると3年以下の禁固または50万円以下の罰金が科せられる。しかし、改正から30年余りたっても「この罰則が適用された例は聞いたことがない」と総務省や専門家らは口をそろえる。

 抜け道はまだある。政治資金パーティー券の購入には、この規制は適用されない。

 国から補助金を受けるJA全中とJA全農が06年、JA関連政治団体のパーティー券計3300万円分を購入。その資金が07年の参院選で初当選した全中出身の自民議員の党支部に全額寄付されていた。朝日新聞の取材に関係者は「全中は寄付できないからパーティー券を買った」と答えた。

 政治資金に詳しい岩井奉信・日本大学教授(政治学)は「法律自体があいまいで形式的なものにすぎないために、税金が補助金を通して、結果的に政治家に還流される仕組みが、法の趣旨に反して維持されていると言える。強制力を持つ法整備やチェック機関の設置が必要だ」と指摘する。

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