12/26 マンション業者が保育園を併設し始める(他市の事例)
待機児童対策に頭を痛めている自治体が多い。朝霞市もそうだった。
土地持ちとマンション業者に甘い市役所が、安全と構造以外はほとんど無審査に近い状態で建築許可を乱発し、急激に新婚・子持ち世帯が膨張してしまったからだ。
今、6~12歳ぐらいの子どもをもっているお母さんに、保育園事情で仕事を断念し、くやしい思いをしながらいる人がたくさんいる。95年からのマンションブームで朝霞に家を買い求めて住んだ人たちだ。
この問題を取り上げると、市職員も市議も、財政がねぇ、と口を濁す(たまに3億円もかかるんですよ、と血相を変えて反論する人もいる)。でもよくよく調べると、財源もさることながら自治体による土地取得については、地権者の打算がありすぎて、行政がどうしても必要だというと考えられないような価格をふっかけられるし、いらない土地があって現金が必要であれば、何だかんだと売りつけられる。悩ましい問題がある。結局、新しく建てたり、立て直したマンションは、住宅地から遠いところばかりで、マイカー通勤でなければ通うにたえないところばかりだ(余談だが、駅に近い都心部の保育園にマイカー送迎している保護者がいて、何とか入所の優先順位を変えてほしいと思う)。
保育園の難題は、財源もさることながら用地確保にあるようで、ここの部分は開発者利益というのか、マンション販売者に用地確保をさせるか、協力させることが重要なのではないかと思う。マンションが増えたら儲かるのが不動産屋で困るのが自治体である。
したがって、大規模なマンションやニュータウンを販売した場合、保育所税を課すか、保育所用地の提供を要求することが自治体として必要なのではないかと思ってきた。
ところがようやくマンション販売業者が自発的に保育所を用意して運営するようになってきた。2001年に神戸市で初めての試みだが、首都圏でも少しずつ始まったことは歓迎したい。
必死な思いをして住宅を買ってみたら、保育所は入れないわ、介護施設はないわ、病院は遠いわ、ということは珍しくない。マンション買った人が最初にぶちあたる壁が保育所不足である。
実は深刻な待機児童問題を経験した朝霞市の地域福祉計画にも、不動産業者の開発を行う場合、福祉施設を用意するよう行政が指導せよと書いているが、民間業者には何もしていない。昔ながら旧住宅公団の用地を高く間借りするかたちのものしかない。民間にやれと言って、自発的にやってくれるならこんなにいいことはない。業者も付加価値でマンションに保育園をつける動きが出てきた今がチャンスだと思う。
「マンション保育所」急増中 高層建設ラッシュの首都圏
2007年12月24日07時40分
高層マンションの建設ラッシュが続く首都圏で、保育所を併設するマンションが増えている。マンション購入層の多くを占める子育て世代にとっては大きな付加価値となる。保育所新設が伸び悩む中、待機児童対策として「マンション保育所」の財政支援に乗り出す自治体も出てきた。
湾岸エリアの中でも人気が高い東京都江東区の豊洲地区。2月に完成した分譲マンション「スターコート豊洲」(740戸)の敷地に4月、認可保育所「ひまわりキッズガーデン豊洲」がオープンした。
2歳の長男を預ける会社員女性(35)は「とにかく近いのが魅力。送迎の時間が省け、危険な道路を通わずにもすむ。購入を決めた要因の一つ」という。定員90人で、3分の1がスターコートの子どもたちだが、近隣のマンションなどからも集まってくる。
住友不動産は4月、港区の41階建てマンションの2階に定員60人の認可保育所を設置。三井不動産も横浜市、川崎市などで09年までに新設するマンション5棟に併設する。東京電力は千葉県市川市のマンションに設置し、京王電鉄は東京都日野市の高幡不動駅前に保育所付きマンションを建設中だ。いずれも主に低層階や別棟の形でスペースを確保し、民間事業者や社会福祉法人に運営をゆだねる形という。
東京都によると、都内で保育所への入所を希望する「待機児童」は4月現在で約4600人。マンションラッシュで人口流入が続く都心部はさらに深刻で、江東区では4月時点の待機児童が352人と前年より97人増、港区でも139人と51人増えた。引っ越してくる住民にとって、保育所探しは大きな問題だ。
開発業者によると、こうした中「保育所付き」がマンション販売で一つの売りになっているという。送迎の手間もかからない。三井不動産広報部は「購買層の4割を占める20代後半~30代は子育て世代で、共働きも多い。保育所は街づくりのなかで必要な施設になってきた」と話す。
地価が高い首都圏で保育所新設のための用地取得が難しい中、待機児童対策として「マンション保育所」の普及を目指す自治体も出てきた。東京都は来年度、民間事業者が既存のマンションに認可保育所を新たにつくる際、区市町村とともに改修費の半額を補助する方針だ。コンビニなど店舗が撤退してできた空きスペースや空き部屋の活用を想定。定員30人程度の施設7カ所の開設を見込んでいる。
川崎市も来年度、タワーマンション建設が相次ぐ武蔵小杉駅や武蔵溝ノ口駅など9駅周辺の10カ所で、改修費の4分の3を2250万円を上限に助成する。また、300戸以上のマンション建設には住民用の認可外保育所の設置を勧め、09年度からは運営費を補助する方針だという。
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