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2007.12.29

12/28 官公労vs輸出産業労組という陳腐な対抗軸

仕事納めで今年の仕事は終わる。

定型業務中心の共済から、定型業務のない労働組合に戻って、生活のリズムが全く違うペースになったことと、会議に追われて、やり残し感の多い一年だったように思う。

●佐藤優「私とマルクス」を読み終える。

●職場の先輩から、日経の労働組合の連載記事のコピーを渡される。その中に早稲田大学の久米郁夫氏のインタビュー記事が掲載されていた。官公労対輸出産業の労働組合の勧善懲悪物語で陳腐すぎる。

80年代に輸出産業系の労働組合が労資協調になったり、小さな政府への改革を支持したことが日本経済の効率化によい影響をおよぼしたが、90年代の政界再編成の渦で官公労との分断を恐れる労働組合はなかなか構造改革に前向きな姿勢を示さなくなった。官公労と輸出産業を分断し、輸出産業中心の労働界を作れば経済発展がやってくるという論理。前著「労働政治」でも展開されていたストーリー。

しかし、産業構造も、中国やタイの後追いをして輸出を拡大して貿易黒字を追求するのか、イギリスやスウェーデンのように内需を拡大すべきか、そのあたりの路線も未整理なまま、輸出産業の労働組合が労働界を支配すれば改革が進むという断定をするにも無理がある。金融・サービス業従事者が増えていながら、労働組合の組織化か製造業中心でそこに追いつかないことで、社会的影響力を失っている現状を何も捉えていない。そして金融・サービス業というのは、労働集約型産業と体質が良く似ていることから、効率化に対して製造業と違う考え方を持たざるを得ないことがこうした論調には落とし込まれていない。80年代は輸出産業の高賃金がサービス業まで波及したが、今日ではその影響は小さいのではないか。製造業が労働界で及ぼす影響は小さくないが、賃金に関してはサービス業従事者からすると別世界になりつつある。
製造業が組合員数を大きく減らしながら、サービス業関係のUIゼンセン一人勝ちで組合員を増やしている状況は、産業構造や労働力の分布が大きく変化している結果であるし、オートメーション化のもとでの労資協調で合理化に協力し配分に預かるというここ30年ぐらいの労働運動の基調に限界があるということを示しているのではないか。

また、輸出産業の労働組合とて、偽装請負、偽装派遣などを全然チェックできないで今日に至っている。そうした労働組合自身の責任とも言われかねない社会問題を無視して、輸出産業の技術的先端性と国際競争力だけ着目して、労働組合も優れていると断定するのはあまりにも安易である。

改革という視点からも、官公労出身の村山富市元首相が、「改革」の象徴である規制緩和委員会を設置したり、地方分権推進委員会を軌道にのせたりした過去はすべて無視して、一方的な決めつけだけか先走っている。

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コメント

So-net blog:五十嵐仁の転成仁語:12月15日(土)トンデモ論攷のとんでもない主張 [労働]  
http://blog.so-net.ne.jp/igajin/2007-12-15

記事の内容は「久米郁夫」批判です。

投稿: ゴンベイ | 2007.12.30 03:47

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