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2007.10.05

10/5 公園に子どもの声がすると公害?

くそばか判断がまた出た。公園で噴水遊びする子どもの声がうるさいからと、不眠症の人が噴水を止めさせる仮処分申請をしたところ、東京地裁八王子支部が通してしまった。裁判官が、妻に子育て任せきりで、静かな環境で神経質に文書書いている仕事なんだということが裏付けられる判決である(この他、離婚裁判での親権とか、とかく裁判官の感覚にジェンダーが克服されていない姿勢が多くみられてうんざりする)。

仮処分なので、正しい結論というよりは、当面の不眠症による被害の拡大を止めるという点が留意された判断だと思うが、子どもの遊び声が公権力によって止めるべき騒音なのだろうか疑問に残る。

少子化だとか、年金問題だとか、子どもがもっとほしいという世論は強いのに、実際には、子どもや子どもを抱えている人を迷惑がる社会風土は根強い。これは明治維新による欧化、近代化によってもたらされたものらしい。
子ども嫌い、子どもの声が嫌いという人もいるだろうけど、同じくらい加齢臭や年よりの口臭その他もろもろ、属性に起因するさまざまなことにそれぞれ嫌いという人がいる、その中で折り合わざるを得ないと思う。
宗教的な言い方になるが、こうした生き死ににまつわる本質的な迷惑については、この世の中に迷惑かけずに生きられる人がいるのだろうか、という諦めから考えていく必要があると思う。

騒音の受忍限度ということでいえば、今回、都の条例が50dbで規制しているということが理由になっているが、閑静な住宅地で45db、幹線道路で80db、電車の線路脇が75dbということだから、都会の大半のところが50dbを上回る。こんなバカな条例はないと思う。

こうしたかたちで裁判で社会規範が作られると、弁護士にお金を払える人か、弁護士に友達のいる人しか社会規範を作れない。プチブルにあわせて街作りが行われ、住居コストがますます上がる。それが人間の幸せなのだろうか。それでいいのか、と思う。
保育園の待機児童問題が発生したときに、保育園の設置が進まないのは、子どもの存在が騒音公害だという認識があって、反対運動や、せっかく建設してもクレーマー住民のために満足な保育ができないという問題があるということを知った。昼間から家にいるクレーマー住民の年金は誰が払うんだと言いたくなるような話だった。

今後は、仮処分の後の、本質的な問題について、関係者がどのような判断をするのか注目したい。
また子どもの権利業界の人々が立ち上がらないものなのか、もどかしい気持ちもある。西東京市を激励したい気持ちである。

●東京都知事選挙に立候補した外山恒一氏が、交通違反で求刑の8倍の罰金刑の判決。ろくでもない人物なのだろうし、おそらく政治的主張からは確信犯的に捜査や裁判に非協力的だったのだろうけど、それを理由に反省したかしないか判断して罰則を重くするというのは、憲法や刑事訴訟法の精神からして問題だと感じる。捜査に協力的であれば、どんな悪人でも減刑する理由になるし、捜査に非協力的であれば、えん罪でも重罪をかけられる。こうした裁判の判決を見ていると、刑事裁判において主役は検察であり、裁判所はそれを追認する機関だということになってしまってまずいと思う。

公園の噴水遊びは「騒音」 訴え認める 東京地裁支部2007年10月05日12時27分朝日

 東京都西東京市緑町3丁目の「西東京いこいの森公園」にある噴水で遊ぶ子どもの声やスケートボードの音がうるさいとして、近くに住む女性が市に対して噴水の使用とスケートボードで遊ばせることをやめるよう求める仮処分を申請し、東京地裁八王子支部がこれを認める決定を出していたことが分かった。決定は1日付で、市は2日から両施設の使用を中止している。

 市によると、噴水は地面に埋め込まれた噴水口から水が断続的に噴き出し、水の間を縫って遊べる構造になっている。女性の家は公園に隣接し、噴水からは数十メートルの距離にある。都条例で同地域の騒音規制基準は日中で50デシベルと定められているが、市が女性宅付近で測定したところ、噴水で遊ぶ子どもの声が60デシベル、スケートボードの音が58デシベルと、ともに基準値を上回っていたという。

 女性は、不眠などの症状があり、噴水で遊ぶ子どもの声などが精神的苦痛をもたらすと主張。これに対し、市は、子どもの声は騒音とはいえず、他の住民からは苦情が無いとして基準値を超えても受忍限度を超える騒音にはあたらないと主張していた。

 市は「決定に従って使用を中止したが、今後については弁護士と協議して、対応を検討していく」としている。

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コメント

こんにちは、お久しぶりです。
私の購読している東京新聞の記事では、
・女性から八王子支部に申し立てがあったのは昨年7月
・噴水が運転されるのは4月〜10月の気温の高い日中
とあったので、八王子支部は、昨年はうっちゃっておき、二年目の、しかも噴水のシーズンがほとんど終わるの待って、決定を下したのだと思っておりました。
条例がある以上、裁判所もルールに従って判断を下さねばなりません。
今回のエントリー、管理人さんにしては珍しく激しい言葉が使われています。
管理人さんが不条理と思われる気持ちはよく理解できます。しかし管理人さんの文章はそのような言葉がなくとも十分説得力があります。

投稿: はちきん | 2007.10.07 14:47

いろいろ考えさせられる判決です。

こうした誰の人権を重視するのか難しい判例では、法益保護と、自由の両面から考えなくてはならないと思います。
また、子どもの遊ぶ権利をどこまで尊重するのか、そうしたことも問題になります。

これまでは、役所が作るものは、法律的な矛盾を解消されてきているものなので、明らかな錯誤や瑕疵がない限り、違法なことはない、という前提で、公共施設のもたらす迷惑と利便性でよほど迷惑が上回らない限り訴えは棄却されてきました。そうしたことで、こうした公共のための迷惑施設は容認されてきたのです。

しかし、最近では、訴えた側の権利性に着目される判決が下るようになっています。これ自体はとてもいいことです。いままではとにかく行政のやること予定調和説だったのですから、異議申し立て権はあるべきでしょう。
しかし、一方で、そのことで権利が制限される子どもたちの側に立ってみると、子どものように裁判をする権利が制限され、その上、遊ぶ権利が国内法では幼稚園や保育園、学童保育などの施策以外の分野では未確立のまま、こうした裁判をやって、本人の権利だけに着目すると著しくバランスの悪い判決が下りるなぁ、という感じがしています。

子どもが遊ぶ権利は、児童の権利に関する条約(いわゆる子どもの権利条約)で公然化していますから、最近、完成されてきた権利の考え方です。

またこの公園が市民参加でデザインされたということですから、その市民合意みたいなものより、法律の正統性が優先されていくと、弁護士を雇って裁判官を動かした側が勝ちということで、市民の納得性のもとで法的には灰色ぐらいの自治体独自施策をやることが増えていますが、それらの大半はやらない方がいいという結論になってしまい、これまた困ったことになります。

投稿: 管理人 | 2007.10.07 15:18

メディアの事実報道に嘘が多く、それにヒステリックな反応をするブログ記事も多いので、こういう時はメディアの事実報道をチェックすることにしています。

>都条例で同地域の騒音規制基準は日中で50デシベルと定められているが、
●騒音に係る環境基準 (H10.9.30環境庁告示第64号、H12.3.31東京都告示第420号)
地域類型A:住居専用地域:一般地域:昼間55デシベル以下、夜間45デシベル以下
ここで、事実報道に関してブッブー?

>スケートボードの音が58デシベルと
●西東京いこいの森公園スケート広場 | 東京都 | COMMOTION スケートパークガイド
http://www.commotionworld.com/areaguide/actionsport/kanto/tokyo/nisitokyo/
●入り口のアプローチゾーンを抜けると左手にスケート用のスラローム、右手に3on3のコートなどがある。特にスケーターには嬉しいのではないだろうか。
特に騒音が気になる板張りのスラロームを持つスケート広場を北側住宅地とは反対側の南側に設置したのは騒音に配慮したのでしょうが、実は小学校に近接していて、小学校への騒音は軽く60dBを上回るでしょう。市はこの点を配慮していません。

●自動車交通騒音調査結果  平成16年度
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/jidousya/endoukankyo/souon/shukei/h16/kushicho_kei.html
西東京市田無町1-1:新宿青梅線(新青梅街道):自動車騒音に係る要請限度b区域(2車線以上近接区域:75dB):等価騒音レベル(Leq)昼間74dB、夜間73dB
昼間75dBを超える地点は同じ新青梅街道や16号線、川越街道が多く、当該近辺を走る青梅街道や武蔵境通りでも記録されています。
今噴水がある辺りには以前は旧東大東大原子核研究所の研究棟がありましたが、今は遮るものが無くなったことになります。黒川さんは交通問題に造詣が深いとのことですが、距離による減衰があっても騒音のベースになるということはありませんでしょうか。

子どもの声はスケートボード騒音と自動車騒音の巻き添えを食った可能性はありませんか。

投稿: ゴンベイ | 2007.10.07 19:59

ご指摘の3つの騒音のなかから、子どもの声が敵視され標的にされたということは考えられやすい話です。自動車と違って感情がからむからでしょうか。

スケードボードの場合、常時いるわけではなくて騒音発生時間が限定されるから訴えなかったのではないでしょうか。騒音を調べる仕事をする人たちも、時間外労働で調査にお金がかかるでしょうし。

余談ですが、環境問題でも騒音問題でも自動車に関しては訴える側も訴えられる側も裁く側も甘い対応に終始しがちですよね。

それと弁護士さん、辣腕弁護士なんですね。原告はそういう人を雇えるお金があるということでしょうか。

投稿: 管理人 | 2007.10.16 06:12

噴水の使用差し止め求めた女性取材に応じる(日本テレビ系) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn/20071024/20071024-00000012-nnn-soci.html

「噴水止めろ」と申し立てた女性が西東京市を批判(テレビ朝日系) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann/20071024/20071024-00000006-ann-soci.html

投稿: ゴンベイ | 2007.10.24 20:28

子供の声が騒音として認定されるべきか否かという点だけが、クローズアップされていますが、事件をよく見ると、市側が防音対策を講じるべきか否か、というのがこの事件の本質のようですよ。
「子供の遊び場を確保する」のと「訴えた住民の人権を確保する」ことは、必ずしも両立しないことではなさそうですよ。
勿論、行政が防音コストを公園を整備する必要コストとして認めなければ、「子供の遊び場を確保する」のと「訴えた住民の人権を確保する」ことは両立しません。
でも、これからの公園行政は、この西東京市のような対応でよいのでしょうかね。
ちなみに、この公園を整備するには、当時100億円以上の費用を要したようです。それに比べれば防音コストなどは、せいぜい数100万円、どんなに高くても数千万円で、防音コストは総事業費の0.01%~0.1%ということになります。そう考えれば防音コストなどは微々たるものでしょう。なぜ、この費用を計上できないのか、西東京市の対応こそがおかしいと感じます。

投稿: アンチ | 2011.07.05 14:10

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