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2007.10.28

10/28 小泉改革で減ったはずの公務員宿舎が増えるマジック

午前中、基地跡地の国家公務員宿舎建設に反対運動をしているグループの集会に出てくる。
朝霞の基地跡地に、地上80メートル26階建ての公務員宿舎が建設される話が進んでいる。これは、2005年12月まで続けられた市民参加による基地跡地の利用計画を全面的に反古にする内容である。そのことに憤った市民が今日まで署名活動や広報活動を重ね、その報告集会である。

グループの作ったパワーポイントを使った解説は、データ、周辺情報も満載で、とても充実した内容であった。また、より詳しい話を聴くことができてよかったと思う。

【①国と勝手な約束をまとめてくるコンサルタント業者の存在】市役所が750万円で下請けさせているコンサルタント業のランドブレインという会社に、市役所はこの間の国との調整を丸投げしているらしいという報告があった。
日本の公共事業に巣くう行政コンサルタントの存在は問い返されなくてはならないと思う。公共事業の多い都道府県の県都市に行くと、真新しい立派なビルの多くが行政コンサルタントの本社である。物を造るわけでも直接サービスをするわけでもない、知恵出ししかしない会社が、どうしてそんなに儲かるのかと疑問に思っていたが、単なるシンクタンクやアイディア出しの仕事をしているわけではないようだ。
地方公務員法で制約のある公務員でもなければ、議員のように選挙で審判されるわけでもなく、当然市民でもない行政コンサルタントが、国との間で、朝霞市の代表のような顔をして、市長や市の幹部職員の意向を汲んで、民法でいう表見代理、無権代理と同じようなことをやっているということが明らかになった。表見代理、無権代理とは契約の有効性だけの概念で、刑法であれば詐欺である。折しも外務省の仕事に関してPCIが問題になるが、行政コンサルタントに投げてやれば、半ば脱法的にどうにでもお金の回しも利権の調整もできるということが明らかになっている。

【②議会軽視の市長・市役所】市長はじめ市役所は、この土地の利用方法について、議会に議決を諮らなくてもよいという態度だという。

【③公務員宿舎は増えていた】小泉政権の骨太の方針2006で国家公務員宿舎を7000戸から4000戸に減らす話がまとめられたが、減らすのが「23区内に」ということである。したがって、都内から3000戸を潰して民間に(格安で)払い下げ、新たに小金井、府中、横浜に2350戸、朝霞に850戸、合計3200戸建設する話も骨太の方針には矛盾しないと財務省が強弁しているという。そんなばかな、と思う。
国家公務員宿舎は何のためにあるのか。1つは旧来型の福利厚生だろう。よい人材を集めるメカニズムだ。でもそういう役割は終わったと思う。もう1つは国家公務員の場合、緊急事態や国会の混乱などで勤務地と居住地があまりにも離れていると問題が起きかねないという要請もあるだろう。そうであれば必要なのは職場に近い公務員住宅で、タクシーで1時間1万円以上経費がかかるような街にその要請が応えられるわけがない。それなら都心のボロ官舎に住み続けてもらいたいと思う。
3200戸に増えている話に戻すと、郵便局の手数料値上げと国庫納付金の留保や、道路公団の肥大化した利権組織の温存など、小泉政権下で、改革と言いながら、改革の被害者面した人たちが焼け太る現象が見られた。今まで使っていた建物を壊して、新しく建てるんだから、税金も余計に使われていることになる。
一方、今年は幹部公務員の賃上げを値切る方向になっている。給料は上げないのに、一部の公務員しか利用できない宿舎ばかり建設するのはなぜか。それは公務員宿舎を建てると、票やキックバックを貰える人たちがいて財務省に感謝してくれる人がいるからである。そのあたりのからくりは政官財が癒着した公共事業の仕組みと同じ。都心の土地の払い下げでデベロッパーが儲け、朝霞や小金井の宿舎の建設で建設業が儲け、政治家が票と献金をもらい、財務省官僚が利権構造の差配の権限を持つのである。
また、新たな建設地として小金井と府中という名を聞いて、先日の民主党の働きかけがかんばしくなかった理由がわかった。

【④シビックコアという指定で基地跡地は使いたい放題】シビックコアという役所の建物を集中建設するまちづくりを行うとなっているが、基地跡地全体にかかる事業になるらしい。したがって、際限なく公共施設が広がる話になるようだ。

【⑤財政に関するデータを公開しない市役所】朝霞市役所が勝手に国家公務員宿舎建設を受け入れた理由とした根拠となる財政データは何も示していない。自治体財政に注意を払えというのは自治体関係者の常識になってきたが、それは情報が公開されていることが前提である。朝霞市のように財政に関するデータ(予算・決算書だけではなく、今回の跡地利用に関するさまざまなシミュレーションでの試算なども含めて)を隠して、財政が危ない、財政が危ないと騒ぐことは、よりいっそう中枢にいる役人が一手に情報を握って権力を集中させてしまい、市民を隷属させる手段となる。

【⑥関連事業で市の持ち出しは180億円】朝霞市は国家公務員宿舎建設が最もコストがかかならない跡地利用であると盛んに宣伝しているが、反対運動の試算では、国の支出は国家公務員宿舎にかける建設費が153億円+テレビの受信障害対策など周辺対策費となる。また見返り施設として市の事業を行うシビックコア(のべ床面積4万5600㎡)やシンボルロード(今の道路幅の3倍)の整備で市の支出は180億円もふくらむという。これは市民参加でまとめた計画にある公園の建設費の1.5倍である。市はこれを財政的見地から見直すとしていたが、これまた焼け太りの論理である。また朝霞市は不交付団体だから、国の補助や交付金も一定制限される。そのことを市役所は明らかにしていない。

【⑦耐用年数が残る公共施設まで建て替え】シビックコアに取り込む対象施設がいずれも減価償却も終わっていない施設ばかりで、これまた税金の無駄遣いである。以下、対象施設の名称とその施設の建設年。なお、鉄筋コンクリート建築は、税法による減価償却の耐用年数は50年(数年前までは60年、建築業界の意向を汲んで短縮)、公共施設のようなメンテナンスであれば70年は優に維持できると言われている(主催者が日比谷公会堂を例示)。また耐震強度基準が現行のものになったのは1981年なので、それ以降は耐震強度についてもまず問題はない。
・市民会館ゆめぱれす 本体1976年、ゆめぱれす部分1997年建設
・市役所別館1992年
・朝霞税務署1992年
・朝霞市立図書館1987年
・中央公民館・コミュニティーセンター1984年
・朝霞郵便局1984年
・朝霞保健所1983年
・保健センター1979年
・武道館1976年
・ハローワーク・県税事務所1972年
・朝霞警察署1965年

【⑧神谷県議は反対】自民党の神谷県議は、基地跡地への国家公務員宿舎建設には反対だという報告。

質問者・発言者から、国家公務員宿舎とシビックコアとシンボルロード以外の利用について、何かやっていかないと緑地は残らないのではないか、日照権の被害が意外と大きくてびっくりした、などの発言があった。

私も意見を求められたので、今回の会の試算を見て、国がやる事業だからと財政を甘く見ていたが、抱き合わせでかなりの市の公共事業も行われることがわかった。市の勝手に進めている基地跡地計画が進むと、ただでさえ福祉や医療が遅れている朝霞市の状況をさらに遅れさせることになる。市が勝手に進めている計画が完成した折には、私たち世代は集団で移住しないとひどい目にあう。そのぐらい反対することが重要だと話す。

終了後、第四小学校の建て替えでいろいろ憤っている仲間に会う。こちらは、耐震強度に問題があるという理由で改築することになったが、「すべての業者が入札を辞退した」という理由で何年も延期になり、再入札にかけられたが、新しい入札価格が3割増になっている。次の小学校の改築では、倍額ぐらいになっている。いくら人件費や材料費が高騰しているからといってそんなバカな話はあるだろうかと思った。
マンションの耐震強度の問題で、耐震強度など科学的根拠がなくて、だろうの計算の集積であるという話を聴いたが、いたずらに耐震強度を問題にすることは、建築屋の利権さがしに協力していると言ってよい部分もある。

●朝霞市議会の会派「市民ネット」の広報が投函されていた。
市議会の委員会の傍聴した前議員の報告が出ていた。その中で、議席に議員の名札も出ていないし、パソコンでの筆記もダメということらしい。「傍聴者は招かざる存在のようだ」と書いている。現職の大勢の市議会議員にとって本当にそうなのだろう。
実際、朝霞市の広報で載ってくる議会報告には、議案に対しての各議員や会派の賛否の報告は出ていないし、そうである以上、議論での質問者の名前も出てこない。無表情やみんながみんなで決めたと言いたいのだろうか。これでは選挙で有権者が判断して投票できない。
よく、そんなことで市民の納めた税金で報酬を受け取れるとも思う。自分の議案への態度や審議への発言内容を報告できないで、職業倫理として恥ずかしくないんだろうか。選挙直前になるとあれをくれと言ったら叶った、これをくれと言っているなどと書いたちらしを配ってくれるが、あれはみんなはったりなのだろうか。

●不幸にも公務員宿舎が建設される暁には、有楽町線直通電車(あるいは和光市始発で埋め合わせても)をもっと増発してもらいたいものだ。朝のラッシュ時間にさえ10分以上来ないこともある。それからキャリア官僚が退勤する深夜時間帯の有楽町線も。21時過ぎると、和光市行きでさえ20分近く来ない時間もある。当然、朝のラッシュ以上に混雑していて、ドアが閉まらなくて、和光市にたどりつくまでに遅延を重ねていく。そんな地下鉄なんかあるかい!と思っている。
毎日通勤地獄で揺られて不愉快な思いをして、税金を召し上げられる恨みなど、電車通勤なんかしたことない原住民出身の市長や市職員にはわからないだろう。

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