8/5 町村氏のデマ流布を煽る田原総一郎
見なきゃいいのにサンデープロジェクトを見てしまった。おかげで勉強がはかどらず、泣きを見るハメに。
田原総一郎は相変わらずの誘導尋問ぶり。違う視点からゲストに質問するレギュラーのコメンテーターがいようものなら、「あんたはそんなこと考えているの」などと逆に攻撃を始めたり。視聴率が低く、一般人はほとんど見ていないのに、政治に関わっている人に限って、時間があいていれば必ず見る番組だったりして、ここで田原の攻撃を切り抜けて「いいイメージ」を植え付ければ勝ち、とみなされるから、質の悪い番組だ。「いいイメージ」となるためには、田原に「あんたそんなこと言っているからダメなんだよ」と言われないように、誘導に乗らなくてはならない。誘導に乗ってしまえば、田中真紀子でも石原慎太郎でも「首相になってほしい人ナンバーワン」の座を得られる。人の生きている世がどんなになってもいいのだ。民主党の若手支持者にイカレた右が多いのは、この番組の見過ぎと言ってもいいようなところがある。
昨日は一発目が民主党。これはご祝儀。どういう経緯か藤井裕久と渡部恒三という右派の長老が出ている。
二発目が自民党。町村信孝と舛添要一が出ていた。舛添は苦しい立場でいろいろふんばった発言をしていたが、町村は完全にいただけない。
彼はデマを流すことがよくない。社会保険庁が5000万件の年金記録問題の照合が遅れていることを、労組がサボタージュさせ自爆テロをやっている、などと言うのだ。証拠を出してほしい。おそらく組合側がちょっと意見したことを針小棒大に業務のサボタージュだとか、そんなことを言っているのだろう。選挙で負けてまだこのロジックを使えると思っている。
この状況で労組がそんな巧妙なことできる権力を持っているわけないだろう。さらにはデータの照合システム設計の仕事など、労組の権力下にあるわけがない。
作業の遅れというより、何の根拠もないのに選挙向けにぶちあげた1年以内という目標に無理があるのだ。
こうした大がかりな照合をするぐらいのシステムの設計から運用まで、2ヵ月や3ヵ月でできるわけがない。マッチングするキーデータすらおかしいということがさんざん報道されている。キーデータがおかしいなら、、システムでは対処しようなくて、再入力だって必要だと言われているぐらいなのに。そこから始めたら、どんなに急いでも、今はシステムの製造の手前ぐらいしかできない。キーデータを再入力にしても、システムがどのうような要件でマッチングするか見えてこないと、データ作成すらできない。
照合実務に至っては、年金よりきれいなデータで、2000万件の顧客データの名寄せをした東京三菱UFJ銀行が3年かかったという話と比較して考えればいい。
遅いかやむを得ないのか、思想によって立場が変わるかも知れないが、少なくともこれだけバッシングされている労組が社保庁の幹部や、システム部門を籠絡して、サボタージュさせているなどという現実はどころにあるだろうか。
金持ちの息子に生まれ、努力はしたのかも知れないが、人を使うだけの官僚から世襲議員に転身し、「使われる人」たちの生き様を全く知らない町村という人が何を憎んで政治家やっているのかよくわかる一こまだった。
安倍に代わるハト派の福田などという持ち上げを、保守リベラルの側がよくしているが、町村が盟友である限り、批判が必要である。
この番組でただ1人田原の誘導に異を唱えた朝日新聞の星論説委員が、それは労組の責任にし過ぎではないですか、と町村をたしなめたが、田原やひょっとこみたいなおやじは、国鉄改革のようにやるしかない、労組をマネジメントすることこそ最重要事項だなどという一般論を持ち出して、町村のデマを正当化してしまった。ひどいものである。
続いては、別のコメンテーターが「年金を流用して公共事業にばらまいた政治の側の責任」を質問したが、田原が議論を強引にすりかえて、うやむやにしてしまった。年金の運用金という存在が、全国各地に隠れ財政として自治体や半官半民のような団体に高利でお金を貸して、公共事業を推進し、返済がままならず焦げ付いているという問題が、年金改革の本質であるはずだ。
社保庁の業務がいい加減だったということもさることながら、社会保険を貯蓄と勘違いさせ、賦課方式であるなら世代間の人口アンバランスな分を調整する分しか必要のない運用金を蓄積させて財政投融資の財源として、政治家の口利きで公共事業に流用したことはどうなったのだろうか。これで百兆円以上ものお金が消えている。それは政治家の責任ではないか。
自民党厚生族は、保守イデオロギー(家庭責任・自己責任)を対置させながら先進国として必要な人権に必要な医療・福祉施策の推進に抵抗し、抵抗をやめる見返りに、厚生省からマッチポンプのように運用金から利権を引き出して、官僚とお手討ちするという、たかりに近いことをやってきたのではないか。
年金転貸資金で厚生族議員の選挙区に施設が作られてきた問題がいつの間にか国会で問題にされなくなったが、どうしたものだろうか。そのことをうやむやにして、労組を叩いているだけで、消えた運用金が戻ってくるわけもなく、その責任も明確になるわけでもなく、年金問題は解決しないことは間違いない。
●その後の、須田慎一郎さんの抵抗勢力(土地改良連合会と建設業界)の参議院比例選挙のたたかいぶりの報道は興味深かった。話はそれるが、土地改良も、農家に生産性が上がるのだからと自己負担分を要求しながら、財政をばらまくひどい施策である。規模が上がっても、その儲けは土地改良事業の借金精算に消えているだけである。農家の手取りが増えないばかりか、借金で足抜けすらできなくしている。そういうところに寄生したのは誰か、そんな問題もあるのだ。今日、農林水産書は全国画一的に、農業の規模拡大を推進しているが、私はこの土地改良事業のリニューアルではないかと思っている。
民主党の農家への所得補償をばらまきだとか、財源はどうだとか言う人がいるが、農家を苦しめる土地改良に使われる税金を組み替えることができれば問題はない。農業予算の大半が農家のために使われているのではなく、農業土木に寄生する業者に流れていることを明らかにしなければならないだろう。
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