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2007.07.21

7/21 苦情申し立てした人間を精神病理者扱いする公教育

モンスターペアレンツという言葉が、教育界で大流行している。手に負えない苦情を言う保護者のことをいう。
こういうことが問題視される風潮に乗じて、教育に対する苦情申し立てそのものを否定する動きが進んでいることに危険性を感じている。

社会一般では全くもって認められないことが、学校では当たり前のこととしてやらされていることがある。たとえば、学校の清掃、徒歩通学などである。

学校の清掃は、労働に当たる可能性のあるものである。引用した新聞の事例のように「清掃なんかさせるな」という職業蔑視するような言い方は論外だと思うが、半ば強制労働みたいなことを公教育が子どもに押しつけていることに対する合理的な説明が本当は必要ではないか(やってくればごみを散らかし放置していくアメリカ人を見ると清掃を教えるということの意味は大きいとも思うが、もっというとそんなことは家庭や地域で教えるべきことだろう)。

同様に、徒歩通学もそうである。もちろん10分やそこらは歩けと思うが、私の家のように、小学校で20分、中学校においては30分近く歩く距離があり(電車で1駅を超える)、しかも本数こそ少ないものの定期バス路線があるのなら、それでの通学がなぜ禁止されるのかわからない。昨今の保護者は自動車で送迎するそうである。これが禁止されているとは聞いたこともない。まして最寄り駅から10分しか歩かない教員たちが自動車通勤しているのは変である。まして、バス通学の禁止は、教育内容に無関係なことで子どもに懲戒権をふりかざすことであり、これは教育権を侵害することになるし、また、教育権にからめて移動手段を制限するため、憲法の移動の自由に挑戦するものでもある。またバス会社への営業権の侵害にもなる可能性がある。(よく学校の教員が左傾化しているから教育がおかしくなったと決めつける人たちがいるが、今も昔も、子どもの生活上の権利まで不合理な理由で抑圧してきた教員たちが、本質的に左傾化しているとは思えない。最も戦前に厳しい批判を加える共産党池の教員含めて翼賛体制の教育システムを今日まで残存させて近代化を遅らせているというのが私の情勢認識である。)

なんてことを言おうと思えば言うことができる(バス通学に関しては子どもが望むのに禁止されたら言おうと思う。移動の自由という権利問題もあるが、交通安全や効率性の問題からである)。それは本来、きちんと学校、学校で利害関係者全員で議論して判断すべきことなのに、そもそも言い出すことすら封じているというのはおかしいことである。だから未だに学校社会は、戦前の文化のまんまだし、そんなのだからIT化やAV機器が進化している中で、教員も子どもにも健康被害がありそうな黒板に白墨で授業をやっているようなローテク社会である。苦情を受け付けないから進歩がないのである。

苦情申し立てする保護者を異端視する動きは、教育水準の低下をもたらすのではないかと心配している。教育水準の高い北欧諸国の教育は、分権化し、保護者や子ども集団まで教育内容の決定に参加する。学校にもの言うことがそもそも苦情ではないのだ。建設的なものとして扱われている。
しかし、我が国のように教育システムが、憲法で定められた教育権と教育の義務を離れ、統帥権のように独立して自治体からの要請すら排除し、苦情申し立てすればその保護者や子どもはカウンセラー送りにされ精神病理として、ひどいときには抗うつ剤の投与まで勧められ、関係者一同による開かれた議論を嫌い、企業や資格取得の専門学校などでは当たり前のように行われている最新の教育技法などほとんど入らない教育が水準を維持できるわけがないと思う。また、最近では、日本人が金融リテラシーや、労働法制、消費者保護に無知過ぎて、国民として自衛する手段すら知らないことが問題になっているが、そうしたこともどこ吹く風で、権利侵害する人間たちの味方をしているのが学校教育の本質である。

最も、私は高校時代、生徒と教員との緊張関係を維持した自治関係を追求するために、保護者集団の運営介入を壊してあるいた。具体的にはPTAなる組織の結成を次から次に妨害して歩いた。
その学校は、おかれた時代背景から見せ物教育である要素と政治的背景から、出資者である親に発言力を持たせると、ますますとんでもない教育手法が取られると思ったからである。子どもの育つ権利など二の次にして、保護者集団を納得させることにばかり運営の力点が置かれるからである。

しかしそうしたのも、生徒と教員との緊張関係があってのことである。一般の学校のように、生徒が教員を合理的に公然と批判する風習も担い手もない状態においては、子どもの利害代表者はその家族においてほかならない。公教育の質の低下がいろいろなところで言われている今は、基本的にあらゆる苦情は受け付けてみて考えてみるということから始めないと、ほんとうのところがよくわからないまま、自称教育評論家たちによる教育改革談義に話がひっぱられ、無駄な「教育改革」に子どもたちがふりまわされることになる。

それに加えて、学校は、知育以外の責任を放棄してみることも同時にやってみるべきだと思う。生徒指導までやって、変に保護者が学校に無限責任を要求し「モンスターペアレンツ」などと言う現象をひきおこす構造そのそのが問題である。

理不尽な親に苦慮…学校の苦情対応外注、10教委で試行へ
 理不尽な要求に各地の学校が苦慮している問題を受け、文部科学省は来年度から、悪質なクレームの対応を外部の専門家に任せる「外部委託」を、一部の教育委員会で試験的に導入する方針を固めた。

 全国の教委から具体策のアイデアを募り、事業費も支援する。

 国が親のクレーム対策に乗り出すのは初めてで、同省では、学校現場の知恵も生かしながら、成果が確認された対策については全国に広げていく方針だ。

 親が学校に、「子供に掃除をさせるな」「(けんかをした)相手の子供を転校させろ」といった理不尽な要求を繰り返すケースが増え、こうした保護者は「モンスターペアレンツ」とも呼ばれている。長時間の苦情や抗議の電話が授業中にまで及び、教師の日常業務に支障が生じているほか、ストレスで体調を崩す教師も多い。今回の対策は、教師の負担を減らし、児童生徒と向き合う時間を確保する目的がある。

 文科省が導入予定の対策は、学校が手に負えないクレーム対応について、カウンセラーや弁護士らに任せたり、ボランティアの協力を得たりするもの。また、専門家が、保護者の対応でストレスを抱える教師の相談に乗り、悩みを早期に発見することも想定している。

 全国の教育委員会から、具体的な提案を募り、有識者による評価委員会が提案内容を審査した上で、実施する教委を決定する。事業費については、来年度予算の概算要求に盛り込む方針で、まず、約10の教委で試験的に実施、事業費の約8割を国が負担する。事業の実施後、成果が出れば、全国で導入していくという。

 親の理不尽なクレームに対応するため、東京都港区教委は学校が弁護士に助言を求められる「学校法律相談事業」を行っているほか、岐阜市や奈良市が教委に苦情対応も行う嘱託職員を配置している。こうした独自の対策を行っている教委は読売新聞の調査で18にのぼっている。同省では、「すでに行われている優れた対策も支援の対象にしたい」としている。

(2007年7月21日14時31分 読売新聞)

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