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2007.07.20

7/20 河野談話とアジア平和基金の功績

大沼保昭「慰安婦問題とは何だったのか」(中公新書)を読む。
右翼誌上や2ちゃんねるで、露骨なかたちで、慰安婦などいなかったという議論を主張し、一定の国民合意である河野談話を否定したり、アジア平和基金に対する批判をしたりするピンぼけな議論が流行している。
90年代のこの問題に対する議論と国民合意の形成過程をふりかえり、元慰安婦たちへの償い事業の功罪や、左右の原理主義的な世論を踏まえて、河野談話とアジア平和基金の事業は一定の妥当な問題解決だったことを解明している。

アジア平和基金が国家賠償でないと憤怒して、元慰安婦たちを保護・支援する立場から、基金からの給付金を受取拒否させる左の原理主義的な運動も、慰安婦問題が文書上での証拠がないと、当事者たちの訴えをまるっきり否定して河野談話やアジア平和基金を否定する右の原理主義と、問題解決を先送りする意味では同種の人たちだという大沼氏の批判は当を得ている。

少なくとも90年代、左側の人たちだけではなく、岡本行夫や、民社系労組の出身の芦田連合会長、自民党の原文兵衛まで含めた、国民運動としての問題解決を今さら否定することはほんとうに国益を失うし、そうした大局観のないナショナリズムは、結局はナショナリストが否定する韓国や北朝鮮がときどき陥る偏狭な自民族至上主義と何ら体質は変わらない。

●昨日紹介した、和光市の松本市議の朝日の投稿に、さっそく自治体も社会保険庁も動き出したみたいだ。こういう役に立つ社会保険庁への指摘を本来はすべきなのだろう。

●読売も朝日も参院選埼玉選挙区は、民主党の山根さんと、公明党の候補が最後の1議席を争っているようだ。山根さんは民社出身だが、その中でも穏健で、旧社会党系の人に悪罵をするようなところが全くない。いただいているメーリングリストのメッセージも豊かで、社会的弱者への共感も強い。私のような者でも選択肢になる。

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コメント

VAWW-NET ジャパン
http://www1.jca.apc.org/vaww-net-japan/index.html
2007 総会シンポジウム■謝罪とは何か?■
―「慰安婦」問題を巡る「謝罪への抵抗」をいかに克服するか―
・国民基金とは「謝罪」であったか?
西野瑠美子(VAWW-NET ジャパン共同代表)
この3月に、12年間続いた「国民基金」が解散した。先ごろドイツ文化センターで開かれたシンポジウムで和田春樹氏は「国民基金は謝罪だった」と話されたが、「謝罪」とは被害者の尊厳回復のプロセスの通路であらねばならない。その意味で、国民基金は社会の意識を変えることも、被害者の癒しにもならなかった。
http://jcjkikansh.exblog.jp/6798271/

投稿: ゴンベイ | 2007.08.31 11:30

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