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2007.07.19

7/19 そろそろ冷静な年金の議論が始まる

先週の東洋経済「特集ニッポンの公務員・公共サービス」を読む。
役所の外注化が進んで、ほとんど現場サービスがなくなる中で、現場サービスを担っている公共サービスがどうなっているかという記事。保育所やごみ収集の民営化後のひどい人件費搾取の構造を冷静に書いている。安ければ安いほどいいというだけの議論の問題点は見据えていかないと、いつかひどいことになると思う。

当然、今時の最も注目される公共サービスである社会保険庁の記事に涙が出てきた。感情的な報道が続く中で、政治は政治、政府は政府、雇用主は雇用主、労働組合は労働組合、システム屋はシステム屋とそれぞれきちんと責任を切り分けて書いていて、おおむね公平な記事だと思った。
こんな環境で、社会保険庁で最も苦しんでいるのは、本来なら窓口で平穏な事務対応をしていればいいはずだった非正規職員。時給800円で来訪者のサンドバックにされているという。その上窓口で殺人予告までされているという。正職員たちだって、追加処分と雇用継続不安におびえながら、夜間ばかりか土日も出勤し、罵られ続けている。「結果責任」が無限責任を意味する日本の社会常識から社会保険庁にいる彼らが一切免責されるとは思わないが、しかし彼らが労働者としてどこで注意していれば今回のような事態が起きなかっただろうか。民間企業が社会保険料をねこばばした件まで、社会保険庁職員やそこの労働組合の責任なのだろうか。一職員だった彼らが、記録が飛んでしまうシステムをどこまで直せただろうか。窓口で必要以上に罵っているような人は、この問題が起きるまで、自分の払っている年金保険料の額すら関心を持ってこなかったのではないか(もちろんその罵っている人に特段重たい責任があるとも思わないが)。だいたい世の中この程度のいい加減な対応なんて社会保険庁に限らず日常茶飯事である。不作為の被害なんてしょっちゅう受けている(後で激しく怒るのが嫌なので、こうしてブログで書いている)。

また、年金記録問題は、社会保険庁だけではなく、国民年金の徴収事務をしていた市町村や、厚生年金の徴収事務をしていた企業の担当者、本人の記入ミスなどもあるし、社会保険庁にそういったことを調べる公権力を立法で与えていなかった政治の問題もあるという指摘は、冷静である。憤懣やる方ないからと社会保険庁職員だけ叩いても、彼らの労働基本権を否定しても、問題解決ではなくて、政治ショーのパフォーマンスに過ぎないということだろう。

また、今朝の朝日新聞で、おとなりの和光市の松本市議が年金記録問題での基礎自治体の対応について、社会保険庁の情報の確認作業のコミュニケーション不全を指摘していて、これも冷静な指摘だと思う。

一方、政権は、与党の政策宣伝として、政府の年金記録問題の対応策について新聞折り込み広告を入れたらしい(埼玉県南部は説明しても意味のない国民としてなめられているのか、入ってはいないかった)。選挙中にやるなどということはほんとうに非常識で姑息だ。選挙とは国民と政治との契約交渉中ということでもある。そういうときに世論を分けることについて政府の力を使って宣伝することは、今の政権与党が契約という概念を何一つわかっていないということである。契約がわかってないということは、人と人との合意で社会を動かすということがわかっていなくて、権力で押しつけたり、一方的な情報を流せば国民は従うという価値観を持っているということだ。

●選挙戦で払った分の年金を返しますという言葉が流行しているが、なにか違和感がある。
払った分をもらうなら、年金など民営でいい。三井住友銀行でも、UFJ東京三菱銀行にでも積み立てて、貰えばいい。それに、今の受給者たちは払った分以上に貰っているはずだ。政府負担分と賦課方式による物価上昇分が反映されている。若い人から収奪するから、公的年金は経済価値を落とさないで済んでいる。
つまり、公営であるということは賦課方式に意味があり、保険料を払うと、その分年金権があるだけで、払った分の年金額が貰えることには必ずしもならない。
口の悪い言い方をすれば、払った分だけ若い人たちから収奪できる権利が発生するだけで、自分が払ったものが返されるという意味ではない。そこを勘違いした議論をしてもらっては困ると、収奪される世代として思う。と思ったら、フリーターの論客もそんなこと言って、年金記録なんかなくなってしまえばいいのだと豪語していた。私はそうは思わないが、年金権なんて夢のまた夢であるフリーターの人たちからすれば、そんな感覚になるのだろう。貧乏で国民年金を払えなかったことがあるから気持ちはよくわかる。
それと選挙で流行の年金通帳方式も、もともとの北欧では払った分に対応する年金権を点数表示していて、1点がいくらになるのかは、毎年の年金財政から計算されて公表されるようになっている。

「年金対策の政府公報配布は公選法違反」民主が告発へ
2007年07月19日20時13分

 民主党は19日、同日付の全国紙朝刊に折り込んで配布された「年金記録問題への対策」と題した政府広報について「消えた年金問題と定率減税廃止について与党の主張をそのまま記載している。究極の選挙違反で、政府の名を借りた選挙運動への税金の流用だ」と批判。安倍内閣を公職選挙法違反で告発する準備に入ったと発表した。

 政府広報は4ページ。3ページを使って年金記録問題について加入履歴の送付や、基礎年金番号に未統合の記録の名寄せを急ぐこと、社会保障カード導入などを記載。4ページ目では6月からの住民税増税について「定率減税の廃止による影響は約1割程度で残りの約9割は税源移譲による」と説明。鳩山由紀夫幹事長は19日、那覇市での会見で「政府広報の名を借りた自民党の選挙宣伝だ」と批判した。

 塩崎官房長官は首相官邸で記者団に「年金記録問題は国民が一番心配している。一刻も早く不安を解消するため周知徹底するのは、政府の当然の責任だ。告発するなら、それこそ選挙目当てのパフォーマンスと考えざるを得ない」。選挙期間中の配布については「7月5日に決定して広報の準備をしてきた。どうやっても選挙中になってしまう」と説明した。

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