« 6/23 結局これか・ヤンキー先生 | トップページ | 6/29 宮澤喜一さんの死を悼む »

2007.06.26

6/26 市民不在で超高層の公務員住宅建設が決められた

公務員宿舎の建設が決まったようだ。しかもその内容は、これまでないとされていた超高層を2棟。3分の1は朝霞に定着する気も寄与する力にもならない単身者向け住宅ばかりとなる模様。読売が政治ニュースとして報じている。

今、公務員宿舎への批判は強い。戦前のように公務員が特権階級だった時代でも、住宅不足で現物支給にインセンティブがあった戦後復興期でもあるまいし、今どき公務員の雇用者=役所が、税金を使って従業員のために住宅を用意するなんてナンセンスな話もないだろうと私も思う。公務員宿舎は、転勤の多い人や、終電後の深夜残業の多いキャリア官僚以外は不要だと思うし、そういう人であるなら、何も都心からタクシーで1万円以上もかかる朝霞になんかあったって仕方がないのではないか。都心にあるべきである。

そんな不要な施設が、見向きもされなかった朝霞にやってくる話である。都心や、世田谷区や目黒区に建てるとマスコミや住民運動に目がつき、すぐ問題化するから、ということだろう。財務省理財局は、国土交通省や農林水産省のように、建設事業をやって建設費を消化したいのである。業者が頭を下げてくれるし、業者の後ろ側にいる与党政治家のご機嫌を取れるからである。ときには思わぬ団体から天下りポストまで用意してくれるかも知れない。
だから入居するかどうか、立地はどうか、そもそもニーズがあるのかどうなのか、行政支出として妥当なのか、地域の社会構造にどんな影響を与えるのか、すべて議論をすっとばして、住民運動が少数派のままでしかない「民度の低い」朝霞市に押しつけてきたのである。

朝霞市は朝霞市で、基地跡地利用と称して、公務員宿舎の建設促進のための議論を国と進めている。その動きは一部マスコミと市民運動家しか知ることができない。基地跡地利用は、富岡市長の主要な公約であり、その結果として100人市民委員会が設置され、定員を上回る応募があり、抽選された委員で議論が始められ、全市民的な議論が重ねてきた。具体的な利用について紛糾をつづけたこともある。その結果、抽象的な構想だけがまとめられ、今後の具体的な計画についてはさらに市民での議論を深めることになっていった。
にもかかわらず、その後については、情報公開も満足に行われず、全市民的な議論の場も設けず、紛糾した具体的な利用方法についても何の議論もないまま、財務省に言われるままに絵を描いている。

夕方、交通機関が止まり、時間ができたので市に問い合わせの電話を入れると、何がどうなっているのか全く回答がなく、「いろいろな議論を積み重ねていった結果としての案をまとめます」というだけである。ここには一切主語がなく、「この案をまとめます」というのが市職員のはずなのに、あたかも天の声、見えざる手のように言っている。
これは、オレ様市職員が、バカな市民に代わって公正中立な判断をしてやる、と言っていると理解すべきである。ほんとうに議論を積み重ねているなら、もっといろいろな議論の過程があり、そのことがアナウンスされてしかるべきである。
議論はしたけど、決定する場はいつも市民は外されている。超高層の公務員宿舎を容認するような議論などこれまでの議論の積み重ねのなかで何一つ出てきていない。土木建設系の市民参加なんていつもこれである。美しい言葉だけ羅列して、具体的な話は全部、建築業者に頭の上がらない建築家と行政と土建屋とその真ん中にいるコンサルタントの談合で決まる。
今回のことも、決定権を役所だけが握っている。民主主義ではないし、官治主義そのものである。しかもその担い手たるや最先端の自治体をめざすような水準なと遙かに及ばず、「県庁の星」ででてきた回答マニュアル集に載っている言葉しか出てこないようなマニュアル役人だ。

この市職員の論拠は、しっぽをつかませないうまい処世訓だけども、その論理は明らかにおかしい。公務員だけが公正中立に判断してやる、という傲慢な態度に満ちあふれている。そんなことがウソくさいことはもう枚挙にいとまがないぐらい例が挙がっている。

異議申し立てのチャンスなど与えないうように。国と朝霞市はグルになって国民、市民の税金を無駄に浪費することばかり公式、非公式に共同謀議をしている。公開されない議論にうさんくさいものを感じてしまうことは仕方のないことである。本当にニーズにもとづき、それによって地域社会にメリットがあるなら、もっとオープンに議論されたっていいはずである。

市長や市役所もいい加減なものだと思う。選挙公約で市民に夢をふりまいて、全市民的議論まで進めておきながら、最終決定では、参加もさせず、公開もせず、国の一方的なことを許した。

後で、いろいろな人に電話をして聞いてみたら、この公務員宿舎は国直営事業ではなく、PFI方式で建設されるというから、開発から何から、業者がやりたいようにやるらしい。そういう意味では、国による周辺整備も期待できないらしい。まったくもって踏んだり蹴ったりの跡地開発になってきた。

跡地開発を選挙公約に挙げて当選した市長の責任もそろそろ検証した方がいいけど、そんなことやる人も伝える術もないこのまちでは、どうしてもこんな低レベルな行政をのさばらせていることになるのかも知れない。法を理解し、市民参加や情報公開に尽力した塩味市政が珍しい歴史だったと思う。

企業が合併で淘汰されるなら、朝霞市も合併で淘汰されることを考えてもよいのではないか。それも新座とか志木とか、サイタマの同じような状況の自治体どうしで合併するのではなく、もっとシビアに行政をやってきた東京都内の自治体と合併をして、市民参加や情報公開についてきちんとやり、憲法の民主主義や基本的人権の参加権や法の下の平等の原則をきちんと適用される自治体になってほしい。

米軍キャンプ朝霞跡地に高層の国家公務員宿舎建設へ
 財務省と埼玉県、朝霞市は26日、同市の米軍キャンプ朝霞跡地に高層住宅2棟約850戸の国家公務員宿舎を建設することで合意した。

 政府は資産のムダをなくすため東京都心の一等地にある国家公務員宿舎の売却を検討しており、その代替として使われる。移転候補地として数か所挙がっているが、正式に移転先が決まったのは初めて。

 米軍キャンプ跡地は19・4ヘクタールあり、現在国有地となっている。このうち約3ヘクタールを使って26階建て(高さ約78メートル)と25階建て(同約75メートル)を建設する。3分の1が家族用住宅、残りが単身者用とし、2008年度に工事に着工、3年後の完成を目指す考えだ。

 キャンプ跡地を巡って、3者は4月から朝霞市基地跡地整備計画策定委員会を設置し、利用方法の協議を進めてきた。委員会では今後、朝霞市が求めている跡地の払い下げと公園建設などについて協議を続ける見通しだ。(2007年6月26日11時23分 読売新聞)

|

« 6/23 結局これか・ヤンキー先生 | トップページ | 6/29 宮澤喜一さんの死を悼む »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 6/23 結局これか・ヤンキー先生 | トップページ | 6/29 宮澤喜一さんの死を悼む »