6/3 マンションエレベーターの人質商法
シンドラーエレベーター事件から一年。あのときには官僚的な広報部長、居丈高な外国人支社長の初期の対応がマイナスに働き、未だに信用回復できていない。何が原因かも完全には解明されていないし、業界体質も治らないしで、亡くなった高校生が全くもってうかばれない状態だ。
シンドラーという名だけが広がって、国産エレベーターなら安心という神話ができた。確かに確率ではそうだけども、シンドラーなら大げさに報道されている多少の誤動作がないわけではないだろうし、そういうことがマスコミではほとんど伝わらない。エレベーターの業界団体は、シンドラーエレベーターのときも、エキスポランドの事件でも、オーチスエレベーターのときも、一業者を手厳しく非難する割に、交換部品の供給を滞らせたり、共有した方がいい安全技術を秘匿する業界体質について質問すると、羽生といったか専務理事は、何の回答もないどころか、逆ギレして取材拒否するのは毎度の光景。
国内3社とオーチス、シンドラーの5社の寡占体制の中で、寡占体制にのらない利用者は死ねばいいというぐらいの体質。独立系のメンテナンス業者は、独自にあれこれやってみる中で調べた情報を何とか蓄積している状況。これではまともな商慣習が貫徹されるとは思えない。それを問題にすべきマスコミには、国内3社が目的不明のCMが繰り返し流され(特にドキュメント番組相手が多い)ていて、アンタッチャブルな問題になっている。
公共施設になぜシンドラーが多いかというのは、独禁法に抵触しかねない業界体質にあるという。定価が国内3社はべらぼうに高いらしい。しかし、国内3社がそれぞれの提携ゼネコンのマンション物件にエレベーターを設置するときには、半値以下に下げて売るという。もちろん損益では微妙な数字だという。それを後でマンション住民の管理費から取り返すというしかけ。マンション本体のように施工販売会社と、管理会社が分離されていない(それでも形式的だが)ので、あっちの損をこっちで取り返すということは簡単にできてしまう。
技術情報も流れていないし、粗悪な独立系業者もいるために、管理会社も管理組合も言い値でエレベーターメンテナンス費用が取れるという。
公共施設には、こうしたしかけができないため定価で勝負するしかなく、シンドラーが勝ってしまうということだ。
以前、地震のときのエレベーター閉じこめの対策学習会をしたいと管理会社に申し入れしたが、管理会社は本当に嫌な顔をした。未だ実現していない。ありえませんし非常時はメンテナンス会社を待っていてください、と言われるだけ。でもありえないことが新潟県中部地震であちこちで起きている。意味のない技術流出にばかり神経を尖らせ、管理会社さえびびらせる業界体質。
閉じこめられた日が真夏や真冬で、中にいるのが高齢者や子どもだったらどうするのか。地震でなかなかやって来れないメンテナンス会社の社員を待ちながら、救出したいのになすすべもなく他の住人たちは目の前で衰弱していくのを放置しろというのだろうか。
これは人質商法と言ってよい。
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