6/2 基地跡地、議事録もなく使い方を勝手に決めていく国と朝霞市
昨晩、基地跡地の利用に関する市民運動をしている人と会う。
国は国家公務員宿舎を廃止するような顔をして、マスコミが関心を持たないような埼玉のはずれの市に新たに建設しようとしている。その標的が朝霞市である。
よくよく運動をしている人に話を聴くと、国家公務員宿舎の入居率は49%程度で、国家公務員にとってもニーズが低く、縮小していかざるを得ないし、実際、政治家やマスコミに批判されて縮小しているはずなのに、財務省はなぜか朝霞や小金井や府中といったところで新たに建設をしようとしている。これは国家公務員宿舎の縮小ではなくて、新しく建設する焼け太りではないかと思った。政治家やマスコミに批判されて、入居率も低いのに建築を強行するのは、公務員宿舎建築という公共事業ににまつわる財務省理財局のメリットがあるはずだ。少なくとも建築業者にはにらみを利かせることができるようになる。
31日には、市役所が、都内で国などと整備計画策定委員会を開き、使途について検討したようだ。国は市街地に近いところに高層マンションとして3棟建築する原案を提示したが、それに対して景観や日照権で心配する周辺住民がいるという意見が出て、基地跡地の真ん中に作ればいい、などと発言した市議会議長経験者の委員もいたようだ。
自宅に戻り、確かめようと思ったら、この委員会は市のホームページで議事録を公開していない。これだけ市民の関心が高い問題を都内でこそこそ会議やっているのだから、議事録はすみやかに公開すべきだろう。市民が見えないところで市役所や市議が国に勝手な約束をしているとすれば言語道断である。
新しい市政になってから、市の審議会・委員会の議事録公開が後ろ向きになっているように思う。全面的な委員会・審議会の議事録の公開は前市長時代に前進し、高く評価されてきた。ところが、最近はこの枠組みは残しながら、正式な委員会の下部に公開されない委員会・検討会を設けたり、議事録を公開しない庁内委員会で勝手に議論を進めたり、空洞化を進めている。
こうした市民社会の基本的なルール運用に対する認識の違いは、弁護士出身の市長と、地方議員出身の市長の違いかと思う。
最近の朝霞市が、審議会・委員会の議事録の原則公開を空洞化させるやり方は、①最初から庁内と市民と議論することに垣根を作り、庁内の利害は市民に議論させない。議事録が公開されない庁内委員会で議論する。市民にはどうでもいいことしか議論させない(市制施行40周年記念事業選定委員会会議など。記念式典は何のチェックもされいない。結果として故渡辺=上田=富岡=醍醐ラインのうちわの表彰大会になっていた。委員会で審議されていたらこんな偏った結果になっていただろうか)。②審議会・委員会に、入れ子の委員会を設定し、そこの答申を承認するだけの場にしてしまっている。当然、議事録には答申内容とか、答申に関わった入れ子の委員会の委員名などの資料は公開されていない(これについて市役所は情報公開センターにあるというが、誰が昼間しか開いていない市役所に行けるのだろうか)。〈事務局が提案〉→若干の質問意見→了承とするで終わりで、何が議事だったかすらもわからないような議事録のつくりである。
私はずっと保育園や福祉のことを議論しているが、公開されない議論をしている委員会や、議論が公開されない政策決定は、市民ニーズも満足せず、もちろん先進事例になる道理ももなく、意志決定に不公正さな雰囲気を漂わせて市民サービスの質を低下させていくだけである。事前の市民参加、事後の情報公開が確立されて、不透明な利権配分とか、市役所の自己の都合のためだけの施策というものを無くしていけることになる。逆に「一部の市民」などと言われる人たちが審議会・委員会を壟断するということからも、情報公開が徹底されてセーブできる。めちゃくちゃなことをごり押しすれば、後々批判されるからである。議員の口利きですら公開する時代に、何をやっているんだろうか、という思いである。
2007年6月1日(金) 埼玉新聞
国が30階建て宿舎案
米軍朝霞基地跡地 中心部に建設
朝霞市中心市街地に未使用のまま残る一九・四ヘクタールの米軍キャンプ跡地の活用を検討する「市基地跡地整備計画策定委員会」(委員長・大村謙二郎筑波大教授)の第三回会合が三十一日、東京都千代田区内で開催され、国は移転を目指す国家公務員宿舎千戸の建設について、当初建設予定地に入っていなかった一六・四ヘクタールの跡地中心部内に、三十階建て超高層ビルを建設する案などを提示した。跡地を公園として整備したい同市は態度を保留した。
宿舎は中心部を除く外郭部分に点在する三カ所、計三ヘクタールに建設の予定だったが、前回国が示した案は三カ所をフルに使う内容で、市側から「圧迫感がある」などと批判が続出。この日、国は三カ所から一カ所に集約した新案を提示する予定だったが、外郭部に千戸集約は困難で、中心部内に建設案を示すかどうかに注目が集まっていた。
案は二通り示され、位置はいずれも朝霞税務署南側、青葉台公園東側に隣接する中心部の北西端約三ヘクタール。一案は、十階から十四階までの宿舎六棟と立体駐車場二棟が建ち並ぶ。二案は、三十階と二十六階の超高層ビル二棟で、駐車場は地下に配置。三十階建ては高さ九十メートルほどを見込んでいる。一案は高さはないが敷地いっぱいに群立、二案は超高層だが、敷地内に緑や空間が残る。
国は、現存する木々をある程度残せ、空き地、空間などのスペースが公園と調和するなどとして、第二案を勧めた。会合後、江口祐治財務省関東財務局管財第一部長は「予定地は鉛が多く検出された場所で、いずれにせよ除去作業で木々を切らねばならない。宿舎建設地の鉛除去費用は国が負担する」と話した。
新しい二案は「中心部は公園用地として死守したい」との民意と反する内容。同市の中村茂副市長は「持ち帰って検討したい」と態度を保留。三案について市議会などと調整し、次回の二十六日に返答する方針。
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