6/23 滑稽な成果主義
議論を聞いていると疲れちゃうから、この番組で記事を書きたくないんだが、日本のこれから働き方。
書こうかな、やめようかな。
番組の議論も、過去私が書いてきたことの範囲で批判できたし・・・。5年前と逆転して、労働規制緩和派が旗色がが悪い。5年前は、規制緩和に反対しただけで非国民扱いされたから、胸が少しだけすっとする思いがする。
労働者保護を否定する側の八代氏、林野氏は、予定調和説の信者だから、今の問題を直視しようとしていなくて、今は過渡期で、「いつかうまくいく」と言っているだけ。千年王国論だ。そのために今日、あす、ひどい思いをしている人に念力だけを語るまったく意味のない宗教談義だ。同じ規制緩和論者でも、多少矛盾点を呑み込んで問題だと認識しているパソナの南部社長とはちょっと違うとは思う。
クレディーセゾンの林野氏が若いうちはハードワークして自分を磨きと言っている。一理あると思うが、度が過ぎると、結婚や出産など人生の大きな決断をしなければならない時期に、労働がその人の全能力を吸収してしまうことが、鬱病や自殺の多発や、出産や育児や介護などを犠牲にした社会になっていく。そのことは社会の活力を必ず低下させてしまう。
うーん。セゾンカードでお買い物するのは控えよう。
成果主義の議論がされていて、最近、友だちと話していて聞いたことを紹介したい。
友だちのいた流通業の会社は、給与水準は社会全体より低い。これはサービス業、流通業、特有の体質でもある。
かつては公務員の6掛~7掛の給与水準で、低レベルな年功序列賃金だったものを、5年ぐらい前から成果主義賃金を導入した。
ところが、年功序列賃金の雰囲気評価みたいな体質を引きずったまま成果主義に移行したら、めちゃくちゃらしい。目標年限までに、役職につかないと賃金にキャップがかけられてしまう。35で係長にならないと、あとは年収420万でストップ。友人は、配属されたセクションの方針とは全くあわない仕事をさせられたおかげで、他のセクションからの引き抜きがあって、課長補佐になる話がぶら下げられてきたが、今まで一緒に同じセクションで、次長の横暴を我慢しながらまじめに働いてきた先輩たちが、ポストを当てられず、年収が止まってしまっている状態で、引き抜きには応じられないと苦悩していた。
今までは、年功序列賃金で、がむしゃらに働く人はあまりいなかった代わりに、仲間の欠点をフォローし、お互いの個性を大切にするような会社だったと思う。
しかし成果主義を導入してから、最低レベルの昇給すら、①たまたま配属されたセクション、担当職の運不運でポストがめぐってくるので、めぐってこない人にはめちゃくちゃ不利益な結果になり、②一方でポストにありつくために、人事畑の権限ばかりが強くなって社内風土が官僚化してしまう。
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コメント
日本で成果主義賃金をやる場合には一つ注意事項があって、総人件費の抑制を目的にしないことだと思います。本当に有能な人にはどんどん給与をあげるようにしないと、成果主義の意味がないような気がします。
投稿: 小林拓矢 | 2007.06.24 15:40
各自に適切なターゲットを与え、それを達成できたか否かで働き方を判断することによって業務にインセンティブを与えるのが成果主義導入の目的だったはずで、専門家の柳下公一さんも「けっして、総人件費の抑制を目的に導入してはならない」と著書に明記しています。
投稿: o-tsuka | 2007.07.03 09:56