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2007.06.21

6/20 社会保険事務所に対する妥当な評価の記事

埼玉新聞の記者が、年金記録の照会に社会保険事務所に行く体験記を書いている。「拍子抜けするほど簡単」と記事にしている。

週刊文春の社会保険事務所バッシングでは、猪瀬直樹をはじめ、電通に頭の上がらない文化人たちを動員して、社会保険庁のサービスがいかになっていないか、その原因を労働組合にあると決めつけて叩くキャンペーンが貼られている。学生時代に左翼組織の中でご苦労をされた人たちなのか、よくもここまで下品に労働組合を目の敵にできると思う。毎日新聞の牧太郎といかいう政治評論家もである。

文化人を差別するわけではないが、彼らは若者時代に生活が不安定で、仕事を変わったりしたし、国民年金なんか気づかずに踏み倒してしまったり、年金記録がこまぎれな人であることは容易に想像つく。過去の履歴照会に最も苦労する人たちだ。しかも、領収証を保管するとか、そうした細々としたことをあまり大切にしないでやってきた(そういうことが芸の肥やしになった良さも当然にある)人たちでもあり、「待た」される存在であることはやむを得ないのではないか。そこで窓口の職員に、キレるわ、皮肉を言うわだったら、どうだろうか。

私は社会保険庁の職員がことさら悪人をかき集めてきたとは思えないし、大多数の職員がいわゆる「お役所的」接客をしているとは思わない(いい加減、ファストフードのような接客をしているか否かだけで公共サービス水準を評価するこの国の世論って何とかならないかな。年々役所が慇懃無礼になっていると感じるのは私だけだろうか)。普通の市役所や県庁と同じぐらいではないか。
それより、つながったと思ったら意味不明の分類で電話のキーを延々押させたあげくに、「ここではない」「暗証番号を言え」と故障やトラブルの問い合わせも門前払いし、覚えられないようなセクション名を言って、電話のかけ直しを命じるコンピューターや電機関連のカスタマーサービスセンターの方が(そしてかけ直すとすでに時間外になっていたりする)、よっぽどひどいと思う。

そんなことを考えていたら、この埼玉新聞の記者の取材は極めてまともで順当な評価だと思う。ただ、ここでは、どうして大丈夫なのか、と聞かれるまでその証明となるデータを見せなかったことはマイナスだが、そんなことは社会では日常茶飯事だ。
マンションの耐震偽造が問題になったときに、私の住むマンションのメーカーは、「大丈夫です」という通知を一本送ってきただけだった。大丈夫だという数字を出せ、と要求したら、単に数字の羅列を送ってきて、今度は、その評価基準をちゃんと説明しろ、と要求したら、まだ完全に説明しきれてなくて、もう1回やりとりして、4ヵ月かけてようやく居住者が納得できる説明書類が完成したことがある。
確かに民間企業の方が倒産を回避したり売り上げや利益の増加が見えやすいサービスの向上には、公務員や非営利団体職員では及ばないような努力する。しかし倒産回避につながらなかったり、利益が見えにくい業務については、大半のところはお役所仕事と同じじゃないかと思う。中には、ねじ曲がった契約思想みたいなものを取り入れて、客の言っている苦情に、苦情を言う権利がそもそもないというような反論をしてくる企業も珍しくなくなった。事故や故障で、電話口で怒鳴りつけなくてはならないことが増えてきた。こういうと差別的だが、中国人社会でのトラブル解決みたいなノリである。

話は社会保険事務所にもどして、この埼玉新聞の記者の好意的な記事も、きっと、年金をきちんと納めてきたことが原因か、あるいはそんなに転職をしていないことか、あるいは年金一本化後の転職または就職していることが原因じゃないかと思う。
何度も転職をしている人や、フリーランスになったりしている人などは、ほんとうにデータをつきとめるのが大変だと思う(話は戻るが文化人やフリーターやニートなど)。これは社会保険庁の職員の努力をしているかしていないかという問題ではなく、年金の制度的問題である。転職や離婚が老後まで影響を及ぼさないようなポータビリティー性があり、どんな人生を歩んだ人でも最低限の生活は保障される社会保障としての年金制度を再設計しないとどうしようもない。

ユーザーの自衛という観点では、一部の労働組合では、給与明細をきちんとスクラップブックに貼り付けて保存させる運動をしているところもある。賃金の大切さを実感させるという組合員教育のためだが、給料から天引きされていくものの領収証として重要だということを今回の年金騒動が教えてくれたと思う。

2007年6月20日(水) 埼玉新聞
拍子抜けするほど簡単
記者が年金照会体験 浦和社保事務所

 
 わたしの年金、大丈夫? 宙に浮いた保険料納付記録が五千万件、複数の基礎年金番号所有者が二万人-と国民の信頼を裏切る事態が次々と発覚した社会保険庁の年金問題。毎月払っているから安心、とは言えない現状に不安が押し寄せる。年金は、安心できるシルバーライフを送るために大切。自分の老後を守るべく、さいたま市浦和区の浦和社会保険事務所を訪れた。

 今月中旬。不安と緊張を胸に事務所に足を踏み入れた。案内員に厚生年金に加入していることを告げると、二階の適用給付課に行くよう指示された。

 照会窓口で受け付け番号を取り、二十分ほど待つ。混雑と混乱、時には罵声(ばせい)も飛び交う場面を予想していたが、待合室は穏やかで拍子抜けするほど。年齢層も四十代が多いようで意外と低めだ。埼玉社会保険事務局によると「現在は、電話での問い問い合わせは減ってきているが、先月下旬ごろには窓口も混雑していた」という。

 隣に座っていた浦和区の主婦(46)に声を掛けた。「年金手帳を三冊持っている。二冊は同一番号で独身時代のもの。もう一冊は結婚後のもので番号が違う。何かあってはと思い来た」と不安そうだ。番号統合手続きの連絡があったはずだが、気が付かずそのままだったと話した。

 ■いざ照会

 受け付け番号を呼ばれ窓口へ。対応した男性の係員に「年金手帳はなく、基礎年金番号も分からない」ことを伝えると、運転免許証の提示を求められた。

 照会用紙に住所、氏名、電話番号、生年月日を記入し提出すると、係員は奥の机のパソコンでデータを検索し始めた。転職経験があるのでひょっとしたら…との不安を抱えながら、待つこと数分。窓口に戻ってきた係員は「大丈夫でした」と一言。被保険者記録照会回答票と、学生時代の国民年金の状況が記載された被保険者記録照会(基本)を渡された。

 「何で大丈夫なんですか?」と尋ねると、係員は被保険者記録照会回答票を示して、「被保険者対象月数と、納付済み月数などの合計にずれがないから、記載漏れや納付漏れはないということです」と説明してくれた。すべての手続きが一時間以内で終了。あっさりと事が済み驚いた。

 先ほどの主婦も簡単に基礎年金番号を統合できたそうで、「不備もなく、スムーズで良かった」とほっとした表情で事務所を後にした。

 ■年金は財産

 一抹の不安があっただけに、問題なしと分かった時は安心した。三十代の自分でもそうなのだから、切実な年齢の方の安堵(あんど)感は計り知れない。一方で、記載漏れなどが発覚した方々の不安や怒りを思うと、国民の側に立たないこれまでの仕事ぶりに憤りを感じる。年金は国民一人一人の大切な財産。基本的認識が社保庁には欠如していたのではないか。今後は肝に銘じて、しっかり扱ってほしい。

 【メモ】照会には年金手帳や年金証書など、基礎年金番号が分かる書類が必要。代理人の場合は、本人の委任状も持っていく。また、運転免許証や保険証など本人確認ができれば照会可能。県内の各社会保険事務所相談窓口の混雑状況などは社会保険庁ホームページ http://www.sia.go.jp/ で確認できる。

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