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2007.06.02

6/1 バブル青年が農相に

自殺した松岡前農相の公認に赤城徳彦氏が就任。ナイスの会みたいな雰囲気を感じる。
86年におじいちゃんから地盤を譲ってもらって初当選した。そのころ、マスコミが政治家の私生活をやたら報道したがっていた時代で、彼は選挙区が茨城なのに、外車で国会に通うという、バブル青年議員の代表選手みたいな紹介をされていた。
塩崎といい、何といい、赤城といい、どうしてこうも二世三世の生活感覚のない人間が大臣になるのか、ばかばかしくなる。

●この間読んだ本や雑誌記事。
保坂正康「50年前の憲法大論争」。1950年代の鳩山一郎が改憲改憲と騒いでいた頃の国会の議論が掲載されている。首相の改憲論はこの時代のままフリーズしていることがよくわかり、面白い。
井上薫「司法のしゃべりすぎ」。判決の主文に必要のないことを理由にあれこれ書き連ねて勝手に倫理を作っている裁判所の問題を指摘している。何の判決だかわからないが、加害者が加害者となったゆえんを勝手に無視して、大岡越前の猿まねをして加害者の憤懣を無視して俗流道徳を押しつける裁判官がいたことに何となくムカついていた。この本の主張はおおむねいいと思うが、例題が左翼の訴えた裁判の判決ばかり引き合いに出すことに、思想的なものを感じて深入りできなかった。
幻灯舎新書から加藤鷹「エリートセックス」が新刊で出ていた。この前読んだ本とそんなに中身が変わらないが、加藤鷹自身がどうしてそういう考え方を持てるようになったのかの経験談がいい。
村上正邦・平野貞夫・筆坂英世「参議院なんかいらない」。参議院の本質的な役割について、なまの議論として面白いが、6割はグチ話みたいで、読んでいて疲れる。政局話が好きな人にはいいと思う。この中では平野貞夫が一番まじめ。
雑誌「論座」の赤木智弘「丸山真男をひっぱたきたい」の続編「けっきょく自己責任ですか」を読む。何の価値も認められないフリーターが社会のためとして戦死して認められたい、という論理は成り立ちうると思うし、高学歴な左翼が無視してきた、使い捨て労働者のアイデンティティーをつきつけるには面白い表現だと思う。だからって戦争にかり出されて何になるのか、という冷徹な視点を失ってはならないと思う。
愚劣だと思ったのは、この間、フリーターを搾取して中産階級から上流階級に仲間入りしたのは、IT企業を騙るハゲタカや、人材派遣業の経営者たちなのに、そうした成り上がり者を否定せず、彼らを潰しても自分たちの分け前には影響しないと免罪し、中産階級や組織労働者を階級敵のように憎悪することだ。ここに赤木氏の限界があると思う。格差社会の進行は、組織労働者の既得権益なんかにあるわけではなくて、ハゲタカ同然のIT企業や人材派遣業の経営者の経済搾取にあるのではないか。昔は彼らは乗っ取り屋、ブローカー、手配師などと言われて、暴利を貪ることを追認された代わりに蔑まれた存在だったのに、今はニュービジネスとしてもてはやされ、就職(転職?)人気企業だったりする。
組織労働者の「既得権益」を破壊しても、そこで踏みとどまれたはずの能力ある労働者がフリーターになって、それまでのキャリア形成ができないできたフリーターの職を奪うだけだ、という冷静さを持たないかぎり、赤木氏は搾取され続けると思う。

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