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2007.06.17

6/17 一転、呆れた公明党太田代表の責任転嫁

過日、公明党の太田代表のことを評価したが、きのう、太田代表は手のひらを返したように、年金問題で菅直人や小泉純一郎、坂口力に責任があるとぶちあげたようだ。評価したのは間違い、あきれたものだ。
耐震偽装問題で、当時の建設相や国土交通相を追及する議論を、自民党や公明党はしたのだろうか。マンション利権の前に、小手先の制度改正だけやって、誤魔化したのではないか。
また公明党は長年、外務省、法務省、厚生労働省に強い影響力を及ぼしてきてのではないか。今日の年金制度の責任が党としてないとは言えないし、安倍首相は、厚生部会の部会長だったこともある人物で、その責任問題もあるのではないか。

さらにいうと、1986年の年金一元化は、自民・公明・民社・社会の、自称革新政党に言わせると「なれあい」の中で合意されたことであり、その時に、一元化にふさわしい事務処理改革ができなかったことの責任も、当時の政党には問うべきだろう。それに先立つ1981年に導入が決まっていたグリーンカード制度が、年金一元化に有効に使えた可能性が高いにもかかわらず、税金をちょろまかす側の利権に立ってそれを潰した犯人は誰だろうか。自民党の党内抗争そのものである。言い出したらきりがない。
いずれにしても、具体的に責任が明確ではないのに、立法府にいる人間としての発言としては品がない。

与党の問題処理の態度の質は、他の仕事にあてはめればよくわかる。トラブルがあったときに、事情説明や、改善策について何の回答もないまま、期限を切ったり、当時の社長の責任を騒ぎ立てる会社があったらどうだろうか。たとえば航空会社が航空機事故を起こして、幸い死者がいなかったときに、けがした乗客やその家族に、事情説明もせず、改善策も示さず、謝罪はするけど、航空機を購入した当時の会社の責任者や、従業員やその組合の批判をを客の前で責め立てて、その会社は信頼されるのだろうか。否である。首相も連立与党も、事務処理への認識や説明能力に欠けているから、マネジメント(人事問題)の議論にすり替えたり、責任問題にすり替えて騒いでいるだけである。

年金制度の問題で、社保庁労組や、菅直人氏に責任をなすりつけようとするのは、空洞化著しい社会保険方式の年金を放置し、その存在意義があいまいな運用金の利権を温存しようという魂胆である。雇用の流動化が激しくなっているのに、雇用先が労働者を大切にしないのに、雇用先が行う申請手続きを信頼して期待しないと年金権が発生しない制度そのものが問題なのではないか。

今の時代において年金制度は、①経団連・連合の言う、基礎年金を完全に税財源によってまかない、給付申請しか必要のない制度にする、②神野直彦氏や金子勝氏のいう、社会保険料分を所得税に含め給付申請時は過去の納税証明書(納税履歴)を積み上げて年金額を確定する、税方式の所得比例年金のいずれかの移行をまぬがれない。

自分の年金は自分で積み立てるべきという精神論もある(日本の年金財源を狙っている人たちはそういう言論を流布しているようでもある)が、そう信じることができるならやってみなさいということと、積立なんかできない人が膨大に発生するし、インフレに弱いので、結果として生活保護費の増大=実質的な税負担の増大(増税+財政赤字-年金保険料の廃止がプラス)として跳ね返ってくるだけ。自分の親が数千万円程度の貯金しかなくて、長生きなんかされた暁には、年金保険料の負担どころではない負担を背負い込むか、あるいは不孝の息子・娘として親が極貧生活するのを見殺しするか、どちらかしかない。安易に、自分で積立論を唱える人には、その覚悟があるとは思えない。
今の社会保険方式も、「まじめにこつこつ年金保険料を払う」ということだから、被用者は強制徴収であるものの、半ば、この「自分で積み立てるべき」制度に近いから問題が起きる。「まじめにこつこつ」かどうかではなくて、まじめに生きたのに「こつこつ払えなかった」人も、ふまじめだけど負担はできる人も包括する社会保障制度でなければ、多様化し、雇用や産業が流動化する今の時代の社会保障として機能しないし、そういう社会保障制度にしなければ、この国の経済も、モラルも、維持できないだろう。

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