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2007.05.08

5/7 自動車が売れない

国内で自動車が売れなくなっているというニュースを朝やっていた。

そうだろうと思う。1960年ぐらいから40年間が異常な状態だったとしか思えない。他の交通機関を利用することを考えれば、少なくとも、趣味か、ステータスとか所有欲でしか、マイカーを持つことは合理的に説明できない。経済的には全く見合わない。

マイカー嫌いの私も、田舎に住んでいたときに、近所のスーパーが無くなり、マイカーを持とうかどうか真剣に悩んだ。当時交際していた女性から「月5万もマイカーに使うならあたしに使え」と強要され、思い直して、月5万は無理でも貯金することにした。

過日、テレビ番組でプロゴルファーの中島常幸さんの人気が盛り返している話を紹介していた。よくよく考えると、中島さん以降に、私のようなスポーツ全般に暗い人でも知っている男の日本人プロゴルファーっていたかな、と思い返した。いない。

高度成長期を象徴するマイカー、ゴルフ、専業主婦。これらは中産階級のある種の到達点だったのだろうけど、21世紀の苛烈な構造改革で、半分ぐらいの貧困と長時間労働にあえぐ若者には夢のまた夢になり、残り半分の経済的に恵まれた若者にとっては、もっと多様化した趣味が登場したり、マイカーでちょこちょこ出かけたり、八百長半分・賭博半分のゴルフをやることに意味を感じなくなったり、配偶者の経歴が良すぎておいそれと専業主婦におさまれない、ということなのかも知れない。

環境問題からも、1つのいい傾向かも知れない。
それと、特にバス交通網の再建がこれから大切になってくると思う。

●JR九州が九州の都市間バスに対抗して、「2枚きっぷ」「4枚きっぷ」という、乗車券並の料金で特急に乗れる回数券を販売している。そのビラを手に入れたら、欄外に書いてある言葉がいい。
「のるだけエコロジー
列車はCO2排出量を抑えたとってもエコな乗り物です。
だからあなたが列車を選ぶと、それだけでエコになる。
列車に乗っている間、ずっとエコしてる。
地球温暖化を止めるために、出かけるときは、列車でどうぞ。
JR九州」

●マイカーと鉄道の経済波及を考えるとさらに面白い。
車両:マイカーを買うとトヨタや日産など限られたメーカーしか作られていないので、自動車工場のある富裕自治体にお金を貢ぐことになる。鉄道も車両工場は大都市中心だが、自動車工場のあるところほど極端な富裕自治体はない。
運転士:マイカーは自分の労力をすり減らすだけ。鉄道は地域雇用につながる。
燃料:サウジアラビアなどの働かない金持ちを裕福にする割合として考えると、鉄道の方が合理的。
自分:マイカーは運転中常に自分が働いている。鉄道は何もしないで人任せ。勉強したり趣味に使う時間ができる。
整備:これは鉄道会社が囲い込んでいる鉄道より、地域雇用をつくるマイカーに軍配だが、最近の消費者はメーカー系列販売店に車検を持ち込む傾向が強くなっているので、地域経済への効果は弱まっている。
酒や駐車場:マイカーはいつもそれを考えて行動しなくてはならない。鉄道・公共交通は考えないで気ままに動ける。

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コメント

・国内で車が売れないことにクルマ業界関係者は嘆いていますが国内市場を大事に守り育てたり、国内の消費者の嗜好にあった製品を作らないくせによく言うよ、と思います。
近年北米サイズの日本車が増えました。これは勿論国内市場が軽視されていることの現われなんですが、シビッククラスでも3ナンバーで税金が高くて隘路を通れない車が増えました。デザインも日本人好みの侘びさびを感じるテイストが無くて、どこの国の製品なんだかわからない新車が氾濫しています。
これもひとえに、国内販売よりより輸出のほうが儲けやすそうだという判断があるからですが、(トヨタもホンダも海外販売のほうが多いが、日本の市場を軽視する日本企業っていったい何だ?)国内市場がシュリンクしているのも少子化や成熟社会化のような「所与」の条件もありましょうがそれ以上に経済界と与党が国内経済を駄目にしても輸出企業が外需で儲かる経済構造ならオッケー、というようなスタンスを採ってきたからなんですよ。いまいざなぎ越えの好景気とは名ばかりに非正社員が増えていて彼らはマイカーに手が届かないし正社員もデフレで給与が上がらないから高い車を買えないし、国内販売が頭打ちなのは内需無視の経済界の自業自得だと思いますね。でもメーカーは海外でモノを売れないいのでドメスティックな業種のようなフリーター・ニート急増や地域経済衰退による日本人の購買力低下にぜんぜん危機感を持ってないんだよなぁ・・・orz
また行政も税制の複雑さを放置していたりたり、警察の天下り利権を死守するために教習所の料金のボッタクリぶりやだまし討ちのようなネズミ捕り、交通安全協会費半強制徴収が横行したりしてクルマを持ってるだけでもお上に銭を搾り取られる構造があってこの国で車を持つことが馬鹿馬鹿しくなってくるような理不尽な制度が多いのもクルマ離れの原因といえるのでは。
・自動車交通から鉄道へのシフトが必要なのは勿論ですが、気がかりなのは大都市以外での駅サービス水準が低下しているのが鉄道利用減少を助長しているのではということです。無人駅が増えて、有人駅でも日中だけしか窓口が開かない駅が増えたり、発券設備が撤去されたりと定期券ひとつ買うのもしち面倒くさい時代になってきています、鉄道会社も合理化一辺倒でなくてここいらあたりをもうちょっと考えて欲しいとこのごろ思います。

投稿: 北狐 | 2007.05.08 20:43

おひさしぶりです。マイカーから公共交通機関へ、という風潮には(免許も持たず、自転車にも乗れない^^)私はとりあえず大賛成です。
 富山のライトレールなど、好みからだけでなく、ああいったものがどうしてもっと早くから大都市圏で作れなかったのか、悔まれるばかり。都市問題の大家として知られた柴田徳衛氏ですら、財政面や路面の利用効率から「都心部の路面電車は欧米の大都市にならい、順次、地下鉄をもって代えられるべきだろう」(『東京』岩波新書、1959年、103頁)と言う暗さでした。
 さて、こんな記事が:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/24885.html 。これって、親世代がすでに‘列車の乗り方’を知らぬ証左かも。私の高校時代も似たような…兵庫で、阪急今津線でしたが、電鉄会社は学校を誘致していたらしい反面、車輌は最も旧式の2扉車ばかり投入していて、ドア付近はギュウギュウ、ドアから遠い中央部ガラガラというのが腹立たしい限りでした。今でも、‘乗り方、わかってんのか/考えてんのか’という光景は都心でしょっちゅう見ます。最近気になるのは、午後以降は降車客の降車がメッチャクチャ遅くなってきたこと。携帯見ながら、もその一因です。― 長くなったので、この辺で。

投稿: へうたむ | 2007.05.10 02:23

北狐さん
・駐車違反摘発には私は好意的です。夕方のバス運行を妨害する駅周辺のマイカー駐車、ひどいものです。
・低所得化が需要を抑えて、クルマやゴルフなど中産階級のステータスみたいな支出が減っているというのは同感です。
・鉄道会社の自助努力を求めても。亡くなった岡並木先生が嘆いておられましたが、ヨーロッパでは公共交通への公費支出が当たり前なので、公共交通運営費用のマイカー利用者への負担移転を名目にした税負担なども考えるべきだと思います。ガソリン税の使途見直しなどとあわせて考えたらどうでしょうか。
へうたむさん
・富山のライトレール、人口規模はやっぱりあれぐらいから150万人ぐらいまでの都市がいいようです。大都市ではどうなのでしょうか。クレクレ公共事業の感覚で良い物だからととにかくLRTを敷きさえすれば交通問題が解決するんだ、というような論調に岡並木先生は、LRTの評価を下げるものだと批判的でした。中心的市街地のない埼玉県は導入しても効果は少なそうです。
・おお、この秩父別、最初の就職先の上司の出身地です。田舎は都心でもこんなものです。札幌にいた頃、ラッシュの時間のJRの札幌行電車に乗ったら、みんなでホームでゆずりあってなかなか乗らず、一駅3分ぐらいかけていました。札幌には8分遅れです。何もしなければこんなものでしょう。東京も大正末期に、整列乗車の実験をやって、乗客を訓練したところから今日があるようで、詳しくは「定刻発車」を読んでみてください。
・親がどうだか知りませんが、最近の20代と50代、電車の乗り方がなっていません。20代は動作がのろい。発車が遅れるというのにドア周辺に陣取りたくていつまでもドアの前でボサーッとしているし、50代は体格が良くて重たいです。股広げて、日経新聞を折りもせず読むのやめてください。

投稿: 管理人 | 2007.05.11 00:30

追伸。
クルマの生産は、経済波及効果が大きいし、日本の先端技術を温存するためにも大切な役割を果たしているので、クルマは買ってほしいところです。
しかし、クルマを乗り回すことは、①確率論から事故の件数を増やす、②ガソリンを無駄に消費して働かないアラブの金持ちと旧態依然の石油業界を喜ばすだけ、③欲望追随のための道路建設やあちこちに駐車場を確保することに社会全体が追われ少子高齢社会にあわせたインフラ整備を後回しにさせてしまう、という3点から抑制的であるべきだと思います。
クルマは持つけど、乗らせない、これが一番理想的な経済運営です。

投稿: 管理人 | 2007.05.11 00:34

> LRTを敷きさえすれば交通問題が解決するんだ、というような論調に…
全くそのとおりです。要するに、その街に合ったスタイルを、多様、かつフレキシブルに選択できなかったものか、ということです。“LRTを敷きさえすれば”というのは、都電を全面的に地下鉄に移行すれば、というのと同じです。20年以上前の『朝日新聞』で公共交通に関する連載があり、同区間を都電と地下鉄で所要時間を比べ、地下鉄は長い階段を上り下りしなければならないので時間がかかる、というようなことを指摘していた記憶があります。執筆者は岡 並木氏だったかも。岡氏の『都市と交通』(岩波新書)は、発刊時、興味深く読みました ― 今、机辺に見当たらないんですが。

> 田舎は都心でもこんなものです。
本数・連結輌数が少ないのでかえって地方のラッシュ時は混むんですね。留萌線も、ここ http://www32.tok2.com/home2/express/jrrumoi.htm などを見ると、2扉の気動車のようですが、ローカル線でも混雑時を考えて3扉車を投入したり、というフレキシビリティも欲しいかな、と思ったり、です。


> 最近の20代と50代、電車の乗り方がなっていません。
やっぱり親(世代)の問題はあるんじゃ…。50代は、吊り革を、体操の吊り輪よろしく二つ占有する人が多いのに辟易ですね^^;。

投稿: へうたむ | 2007.05.11 01:30

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