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2007.05.03

5/3 憲法記念日を前にしてつまらないことにこだわる朝日新聞

朝日新聞の三浦という記者が、公設秘書が給与の一部を議員に寄付していることをさらに問題にしている記事を書いて、一面で取り上げた。さらには、その記事に新藤宗幸千葉大教授が「公金の流用」「政治資金の流れの透明性を保つ政治資金規正法の趣旨にも反している」というコメントを寄せている。朝日のお得意の社会面では、政策秘書が創設された経緯として、中曽根氏のブレーンだった政治学者まで引っ張り出して、社会党が税金にたかったかのような記事の書き方をして悪質きわまりない記事だと思う。
政治家は後ろ暗いお金を動かしている、秘書からもたかっている、そんなイメージしかできない記事だ。

秘書が自分の属している事務所や政治家に給与の一部を入れることの合法性だが、辻本清美氏の秘書給与流用疑惑の摘発を機会に、政策秘書が政治資金規正法の範囲内で、いったん本人が受け取った給与から議員に寄付をすることは認められていることが確認されている。辻本氏は、この法的な枠組みを超え、他人になりすました(名義だけ本人の通帳で受領し、その通帳を事務所で管理)から起訴され処罰された。
次に、新藤氏の公金流用ではないか、という疑義については全くあてはまらないと言ってよい。もしこれが公金流用となるなら、ブロック塀をけっ飛ばしただけで国家財産破壊未遂罪に問われるような旧共産国なみの法解釈ではないだろうか。補助金を流用することと意味が違い、給与や対価として法外でない金額で支出されたものが、どう使われようと公金流用とは言わないだろう。

公設秘書が3人になった経緯も、社会党の要望ということよりも、政治になぜお金がかかりすぎるのか、という議論から出できた話である。多くの議員事務所は秘書をたくさん抱え、その原資として政治献金をあてにするから、政治に群がる企業との癒着関係が断ち切れない、という判断から出てきたものだ。アメリカの国会議員では政策担当の公設秘書だけで15人も20人もいるという例まで引き合いに出している。ただし、当時はすでに小さな政府を目指していた時代に入っていたため、ただ増員要求してはいはいというわけにもいかず、国会議員の政策形成能力を高めるために役立つ秘書なら増設してよし、という議論になって、試験制度付きの政策秘書創設となった。社会党がおねだりしたからだという全体の中から一部の事実を捉えて印象を与える記事は、逆風の社民党に対するイメージに悪のりした記事だと思う。

議員が寄付を要求するのも、議員事務所の少ない人数の中で、誰がどの仕事なんて厳密に役務分担ができるわけでもないのに、政策秘書、公設第1、公設第2、私設秘書と少なくとも4体系の給与が存在し、とりわけ政策秘書が選挙区の泥臭いことから距離をおける立場にいながらもっとも給与が高いという、当の働いている人たちとしてはたまらないような身分制度があるからである(国会開会中には政策秘書として仕事しながら、閉会中や土曜日曜には選挙区で地元秘書以上に泥臭いことをやっている政策担当秘書も知っているが、それは普通に働くというレベルを超えている仕事の仕方になる)。辻本氏がつい「ワークシェアリング」と口をついてしまったのも、わからないではない。

2日の公設秘書のことを取り上げた朝日の記事は、国会議員の秘書がどうあった方が政治が良くなるのか、具体的な視点のない記事で、い~けないんだいけないんだ、と騒いでいるだけである(しかも合法的な寄付であるにもかかわらず)。だからどうなの、という水準の記事だ。ワーキングプアが売って歩いた上前で、銀座に住むカネのある記者がよく言うよ、と思う。
公設秘書からの寄付を禁止したところで、参院比例区候補以外の議員がみんな雇っている私設秘書との激しい給与格差がより拡大するだけだろうし、公設秘書制度そのものをやめてしまえ、という論理もおきかねない。そのことで誰がトクするかといえば、今よりさらに政治家が政治献金に依存することになり、政治家に献金できる金持ちだけがほくそ笑む。

貧乏人でも、素人でも、能力があれば政治家になれる政治システムにするために、こうした記事は害毒しかまきちらさない。この記事は、立憲主義にとってもっともあやうい存在ともいえる、官僚である検察特捜を喜ばせるだけの記事である。

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