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2007.05.30

5/30 翼賛選挙の技術

●今度は、大室元都議の「翼賛選挙」を読む。翼賛選挙の裏方だった著者の記録。大政翼賛会がどんな運動をしていたのかよくわかっていなかったので参考になった。
もっとも大室氏が知らないところで、内務省や公安警察がいろいろな工作(すくなくとも非推薦候補に対する尾行や警告などを通じて、今でいう選挙妨害まがいのこと)をしていたことは想像にかたくない。が、そういうことはいろいろなところで書かれているが、実はこのきれいごとの表側で翼賛会がどう動いていたかというのはよく知られていない。

大室氏の著書では、明確に選挙粛正運動が大政翼賛会になったと書いてあって、日本選挙制度史で戦前版「きれいな選挙」運動が大政翼賛会になったことが明確に認識されている。
翼賛会が選挙対策としてやったことは、今でいうPRの技術を候補者に仕込み、演説会の弁士を文化人から経済人、政治家など組織化して次から次に送り込み、それでも追いつかない場合はカネを打ちこむというのが戦術だったようだ。著者が弁士の采配を担当していて、その手続きのために電話を使うのだが、電話が今の電報なみにつながりにくい話も面白い。一番早い申し込みをしても大阪なら、朝申し込んで、夕方つながるような状態だったという。これは政権与党の強みで、すぐに特設電話ができて全国各地にあっという間に電話がつながるようになったようだ。これくらい電話が悠長な時代だと、静かでいいのかな。でも情報を流れる側が圧倒的に優位な環境でもある。

しかし順調だった滑り出しも、選挙期間中に東京の初空襲があって、弁士が尻込みして翼賛会の演説会のために地方出張してくれなくなったことや、渡りに船として頼んだ弁士が赤旗の元編集長で断りに行くというようなエピソードが書かれている。完勝をめざしていたわりには苦戦したというのが中にいた人たちの感覚のようだ。

近くのスーパーの古書市で入手した本に戦前の選挙結果がほとんど網羅されている。それで、当時の選挙結果をひもとくと、東京と大阪ではほとんどの選挙区で非翼賛候補者が通っているし、社会民主主義者が健闘している。
80年代、共産党が社会民主主義者は戦争協力者だったというデマゴギーをさんざん流した。一面は当たっているが、一面は外れている。右派の西欧社会民主主義者と戦後に佐々木派になるマルキストは協力していない。日本流の社会主義などと言って情緒で社会主義をやっていた人たちが大政翼賛会に取り込まれたようだ。

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コメント

加藤秀治郎 編訳『選挙制度の思想と理論』はお読みになりましたか?
所収の美濃部論文と『日本選挙制度史』を並べてみると、制度設計の背景状況が読み取れます。(美濃部が比例代表制を志向していた論点が、戦後、日本共産党が地方議会選挙に比例代表制の導入を主張した論点とオーバーラップする点も興味深い。)
編訳者の評価は別におき、翻訳の正確さも確認していませんが、比較として読まれるにはよいと思います。

投稿: たかき | 2007.06.05 21:45

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