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2007.05.27

5/26 やっぱり大政翼賛会時代のままの公職選挙法

引き続き、「日本選挙制度史」を読み進む。

1930年代からの選挙粛正運動の成果として大政翼賛会の成立、そして戦後に入り、公職選挙法が成立するまで。

きれいな選挙、出たい人より出したい人という合い言葉が、大政翼賛会の候補者選定過程に使われている。以後こうした言葉遣いは気を付けたい。
町内会(当時は隣組)が地方議員の選挙の推薦・運動母体となるのもこの頃。大政翼賛会が町内会に候補者を推挙させた。狭い自治体の中で、おらが町内の代表と候補者を出し合い、土着性を競い合う地方選挙のスタイルは、暗黒の昭和10年代の発明なのか。
大政翼賛会については、政党の自殺と、民主政の放棄の側面だけで暗黒時代の状況を語られているが、選挙粛正運動のなれの果てにできた組織であるという側面を忘れないようにしないといけないと思う。

この時代に、個別訪問に加え、言論の選挙では不可欠ともいえる、ビラや看板など文書図画の規制も、選挙公営の拡大の引き替えに広げられる。文書類については候補者名の記載されていないわけのわからないビラと1996年以降の衆議院選挙の政党ビラ以外は、以後、2003年総選挙でマニフェスト頒布解禁まで、それこそ「60年以上」禁止され、言論で選挙するはずなのに、言論の公表・伝達手段のない珍奇な選挙になっている。今でも、地方議員選挙は昭和10年代の規制のままである。

戦後の新憲法になって、基本的人権が認められ、民主制が拡大されたにもかかわらず、選挙でまともな言論がたたかわされたことはほとんどない。よほど大きな争点があって連日マスコミが騒いでいる場合のみである。あとは個人後援会を核に、友だちの友だちはみな友だちだ、という、営業スタイル。かつての生命保険の押し売り販売のようなやり方の選挙しか経験してきていない。

戦後も大政翼賛会時代に強化された選挙規制は戦後も引き継がれた。GHQも憲法と公職追放以外は議会について口を挟むことを控えていたようだ。1946年の総選挙をやらせてみたところ、選挙でのマスコミの報道規制がひどいので、ようやくGHQが憲法に抵触すると指摘した。そして公職選挙法の制定(旧議員選挙法の改正)が進むが、選挙報道の自由、戸別訪問の解禁、文書図画の頒布の解禁など本質的なことが、現職議員たちの都合によって骨抜きにされ、ほとんど大政翼賛会以前の規制を踏襲したままであった。そのときに使われた言葉が「公正」だったり「中立」だったりすることも注目しなければならない。

西側先進国の共有の価値である基本的人権を屁とも思っていないような今の政権担当者のもとでは、政治的自由を再認識することは重要なことだし、ことさらマニアックであるが、公職選挙法の再点検というのが、日本の民主主義をおかしくしないために十分にされなくてはならない。そのためには「日本選挙制度史」は良書であったと思う。

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コメント

「出たい人より出したい人を」が翼賛選挙の賜物だったとは・・・・・初めて知りました。

自分も、ここんとこの選挙を見ていると皆何だかの組織や団体が推薦していて、気がつけば「出たい人」が殆どいないって状況になっていると思っていたんですよね。それでも「出たい人より出したい人を」なんてのを"市民派"辺りからも口にしているのを聞いていて、「そりゃ見当違いだろ」なんて陰ながら突っ込んでたもんです。そもそも「出したい人」って「出したい」側の中身も同時に問わなきゃ意味が無いし、先立つ「出たい人」がいないと話にもならないんじゃ・・・・・・・・・・

投稿: 杉山真大 | 2007.05.28 11:25

自分がよく覗くblogの一つである藤末健三参院議員が、似た様な指摘してましたね。
http://www.fujisue.net/archives/2007/10/post_2163.html
http://www.fujisue.net/archives/2007/10/post_2164.html

ただ、気になったのは戦前の二大政党が「政策で戦うのではなく、互いにスキャンダルを暴きあい、相手の揚げ足を取りをやった」と短絡的に決め付けている上に、政治資金規正法への言及はあれどこう職選挙法への言及は無し。ここが二大政党に属する者の限界なんですかね・・・・・

投稿: 杉山真大 | 2007.11.03 21:08

最初のコメント良いこと書いてあったのに、返事しないですみませんでした。

先立つ出したい人がどうにかならないとというのはその通りです。
出たい人より出したい人というのは言い言葉なんですが、政治の現場を横で見てきた経験から言うと、出たい人は出たいと言わずに、出したい人になるための根回し、手続きを繰り返します。それがすごく不透明なんです。
逆に出したい人を出している人たちって、業界団体だったりするんですよね。そういうところの候補者は、自らの地位に連綿としたり、政治を自己目的化しないメリットもありますが、出したい人のための政治しかしないところもあります。

2つめのコメントに。
うーむ。限界は限界だと思うけど、それは二大政党の所属議員ではなくて、現職の政治家みんなそうなんじゃないかなぁ。公選法違反のちくりあいは、公明・共産などの小政党の運動員の方がしつこいし。

実際に選挙の場面ではみんな公選法がおかしいと言うけども、政治業界以外の人に規制緩和を言っても通用しないでしょうから。

その結果、共産党も含めて、今の公職選挙法に抜本的な批判を加えたことはありません。それくらい、憲法の精神に反するとも言える選挙規制が定着していると言ってよいでしょう。

投稿: 管理人 | 2007.11.03 22:01

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