5/25 国民合意の必要なことばかり選挙のネタにされる
社保庁改革法案が強行採決。
5000万件もの不明データをどうするか決めもしないで、社保庁を解体してしまったら、データが散逸してしまうんでないの?と心配になる。
首相の答弁だか、自民党の宮沢洋一の質問だかに「(社会保険庁という組織に問題があったので)年金は政治がリーダーシップを取って運営する」という発言があって、びっくり。政治家に年金制度の運用なんてできるのか。これまで財政からむしり取ってきたのは政治のリーダーシップだし、事実、年金関連施設で年金財源が消えているというような話も、与党の厚生労働族議員の選挙区の業者が儲かるように施設が建てられているというような話が出ていたっけ。年金保険料と年金給付のバランスを崩したのも、政治家ではなかっただろうか。
憲法と社会保険、いずれもうまく問題解決してきた国は、政党間の主要な選挙の争点にせず、国民合意を優先してきた。それぞれよってたつ基盤がはっきりしている政党ならば、そこの出発点は決まっているから、あとはどう譲り合意に向けて話し合うだけとなるのだろうが、日本は政界再編でよって立つ基盤が不透明な2大政党制になってしまったので、無闇に与党も野党も選挙の主要な争点にしたがるようになってしまった。国民合意が必要な法案について、譲歩もしない与党が、与党だけの賛成、ときには強行採決、ということが繰り返し続けることに不安を感じざるを得ない。もっともそのことは憲法改正をめぐって与党内からも批判があるようで、船田元は「3分の2の議席獲得のめども立たないのに憲法改正を争点にすべきではない」と批判し、公明党の太田代表は「中身もないのに改正すること自体を争点にするのはおかしい」と牽制している。
いろいろ批判は起きるだろうが、私は衆議院の厚生労働委員会で野党はよく闘っていると思うし評価している。与党が選挙の争点づくりのためだけに無茶苦茶な法律を、無茶苦茶なダンドリで押しつけてくるのだから、議会での実力行使は重要だと思う。小室直樹が、台湾の国会で乱闘が起きたことについて、台湾にも議会制民主主義が根付いた、なぜなら議会が乱闘に値する価値があると国会議員たちが思っているからだ、という発言を10年以上前にしている。議会なんてどうでもよいと思えば、国会で実力行使などしないだろう。
今回は、5000万件の不明データということもあるので、野党に分があるだろう。民主党の鳩山幹事長のコメントが、問題の的をうまく指摘できてなくて良くないが。
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