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2007.05.19

5/18 コンパクトシティーが切り捨てだという珍論

ついつい日本のこれから「地方衰退」後半に突入。

コンパクトシティーと郊外型スーパーの開店規制についての話に移っていったが、これを効率化として批判していて論点がずれている。コンパクトシティーは、昔ながらの地方のあり方で、昔の日本は農村まで含めて集中して暮らしてきた。なぜなら、農業には共同作業が必要で、かつ農村共同体を維持していくためには、顔の見える距離で人が住まなくてはならないからだ(その最も効率的な姿を示すのが、江戸時代に開発された埼玉県三芳町・所沢市に残る三富新田である)。

番組の中の参加者は、コンパクトシティーに対して、強制移住だ、郊外住民の切り捨てだ、という批判が多かった。三宅アナがアウトドア派なのか、そういう煽り方をしていたなぁ。しかし、地方都市や農村のスプロール化は、東京の郊外居住をまねしてクルマの便利さにものを言わせて進んできたことである。そして消費活動を東京資本に売り渡し、自分たちの手もとにおいておくことを放棄してしまった。その結果、商売やっても儲けるチャンスがつくられないから、現金がほしいので国や自治体に土地を買ってほしい、それが無理だから東京のスーパーに売るというようなことが起きてくる。

切り捨てなどという情緒論で非論理的なものいいはたいがいにしてもらいたい。都市のスプロール化を放置しておけば小規模商店を開店して儲かる都市づくりができないままであるし、郊外型スーパーしか儲からないのであれば、消費生活はすべて東京資本に依存することになる。地域の人が商業にチャレンジする場も失わせてしまう。コンパクトシティーは切り捨てだという言い方は、むしろ逆であり無知である。

私自身の経験にもある。朝霞市は保育所を急激に増やしたが、みんなバスも満足に通っていないような郊外につくられた。それは郊外住民を配慮したことではない。単に土地が安いからだ。そこに通うために、同じ市内、しかも全国でも指折り狭い市なのにバス・電車・バスと2回も乗り継いで40分もかけて通っている人も少なくない(最寄り駅から職場まで電車で10分だというのに、とこぼす人もいた)。単に郊外に公共施設があることが、中心部以外に住む人のために配慮しているということではないと思う。また公共交通機関も、郊外から郊外という線の引き方は採算でできない。郊外の人が中心部に出てくることの方が容易である。

青森市の参加者がコンパクトシティーはもともとの日本の地方都市の姿で、90年代後半に街がちらかったのを取り戻す取り組みだ、と意見していたが正論だと思う。コンパクトシティーに反対する思考は、膨張を続ける東京のまねでしかない。

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コメント

■NHK「日本のこれから」では、コンパクトシティ
という言葉が市民権を得ていくことが目に付きました。
でも、その理念は正しいと思いますが、
10万人~20万人規模の地方都市で、
コンパクトシティが実現することは無いと思います。
効果が無かった「中心市街地活性化事業」の予算枠を、
国交省がなんとか財務省から続けて確保したいために、
内容は同じで理屈の看板を架け替えただけではないかと。
http://fish.miracle.ne.jp/mail4dl/01-concept/consept7.htm
■東京都は大企業の本社があるその法人住民税のおか
げで自動的に税収が豊かです。
地方がお金の流れを考え直さなくてはならない点に
関しては、黒川さまのご意見に酸性です。
http://fish.miracle.ne.jp/mail4dl/01-concept/consept420.htm

投稿: 地方都市在住者 | 2007.05.21 10:25

東京資本は敵で地元資本でなくてはだめという発想こそ情緒的で非論理的です。

郊外の豊かな暮らしを享受する権利を奪おうというコンパクトシティーが社会主義的で危険な発想なのは事実でしょ。

投稿: 樹里 | 2007.07.07 17:16

郊外の豊かな暮らしを受ける権利は確かにあっても、それは消費の面だけです。生活保護水準以下のパート労働しかもたらさないナショナルチェーンのスーパーが、生産面での豊かな暮らしを地方にもたらしてくれますか。
また、郊外型スーパーは地域の消費の力を全部吸い取ってしまいます。結果として郊外型スーパーでしか買い物できない街に、豊かさをいつまで見いだすことができるのでしょうか。

コンパクトシティーが危険思想の事実があるとおっしゃるなら、ドイツやイギリスの都市運営は今も危険思想に基づいているということになるのでしょう。しかしそんな街を日本人たちは田園都市だの伝統を守る都市だの言って観光に行っているのです。

それから、小商人たちのコミュニティーを守る思想が社会主義思想ですか。どういう論理なのでしょうか。私には理解できません。

投稿: 管理人 | 2007.07.07 22:39

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