5/14 ベビーシッター制度拡大を考える
子どもが発熱。私も咳き込む。午後、仕事を休み看病。
●少子化対策をやる「子どもと家族を応援する日本重点戦略会議」で、3歳児未満の保育ママ(在宅保育)拡充をめざすというニュースが夕刊に書かれていた。
記事の中で低コストで保育の普及をはかれるというような書き方をしているが、保育所で多人数保育をやるのと、家庭で1:1で保育するのと、どうして子どもの数に対して人手がかかる家庭の方がコストが安くなるのかわからない。その種明かしは、資格職でなくてよいということらしい。
私は、保育ママでもベビーシッターでも、選択肢が増えるのは構わないと思う。しかし、それをコストが安いからとか、資格がいらないとかいう議論にするのは本末転倒だと思う。人手がかかるのにコストが安いということは人件費を安くすることであり、そこに資格を問わないというのは、ワンコールワーカーに密室で子どもを預けることになる。そのことの危険性は、10年ぐらい前にアメリカでベビーシッターによる児童虐待事件の頻発となって表れている。現実、日本でも無認可保育所に届け出制がなく、行政の監督責任もなかった時代には、児童虐待事件が起きて、時には死亡するようなこともあった。
資格職でなくてよいというなら、すでに「ファミリーサポートセンター事業」という、有償ボランティアがやる極めて安価な仕組みがあって、こちらは資格はいらないけども、見てくれる人たちは地域社会のネットワークの中に位置づけられている。そこに安全弁がある。
そうした、よくよく熟慮されたシステムの上に、抜け穴になるようなシステムを作ることがよくわからない。保育産業に参入したい人材派遣業の利権でもうごめいているのではないか。介護保険の導入時に人材派遣業系のヘルパー業者にぬるいやりかたを取った。結果として、介護保険財政をだまし取られている結果になっている。福祉系事業は、労働コストのピンハネができれば資本もなく儲かる産業になる。たえずこうしたピンハネ系産業に狙われている。
また、地域社会が崩壊したり、クルマ社会の移行で、生活の中で子ども集団の形成が難しいと言われている。教育再生などで、子どもにおとなが何かを教え込むことばかりが注目されているが、実は子どもは子どもどうしでいろいろなやり方をぬすみあったり、成長の競い合いをしてみたり、もめたり、考えたりする中で、生きる術や、コミュニケーションを体得していくことの方が多いし、効果的だ。今、地域の子ども集団がつくれなくなってきて、その代替機能を保育所や幼稚園がやっている。施設保育を核にしている日本の制度は、そういう意味では捨てたものではない。子どもを面倒を誰かが見てほしいと思うが、誰でもいいってもんじゃない。
●「ふるさと納税」を美談で語る政治家が多い。いい加減にしてもらいたい。住むということは地域社会に負荷をかけている。それを住んでいる人たちで分担するのが住民税だ。ゆかりある土地ならどこでも納税あまり好ましくない。自治体のイメージアップのために、電通だとか無駄な企業に血税が使われる可能性だってある。人を育ててきた地方の財政支援なら、地方交付税の基準財政需要額の算定に、もっと子どもの数と高齢者の数を反映するようにすべきだろう。
父の郷里の自治体は、ブランド度の高い自治体である。前市長が公共事業をやり散らかした残骸を片づけながら広告代理店より、地域住民自身がいい街だと実感できるものにお金を使ってきた。九州でも交通不便な地域だが、評価は高い。
朝霞市は、地域ブランド、彩夏祭とコンサルタント会社や広告代理店ばかりが喜びそうなお金の使い方が目立つ。たぶん、多くの自治体は朝霞のようにして税金を集めようとするのだろう。
ところで政調会長の中川昭一氏、現住所は帯広市だが、ふるさとは東京。どういう選択肢をするのだろうか。
●抱き合わせで検討されているNPO寄付の税控除(所得控除どころではない)もどうだろうか。一見中立的に見えるこの施策も、高額納税者ほど自由になるのだから金持ちにおもねるNPOが集金力を高める。自治体で先行事例もあるが、これは納税した1%など上限限定した範囲のものだから影響力を排除できている。税額控除となるともっと多額になり、危険性が高い。
ホームレスを支援する団体より、街の美化を訴えホームレスを排除するような市民活動の方が資金が集まることになる可能性がある。どこが税控除団体になるかということは税務署が決める。市民社会が自ら作り上げたものに、過度に行政が関わるべきではない。カエサルのものはカエサルにではないか。
●国民投票法可決。憲法改正しか国民投票ができない、ということの民主主義の限界。また、18歳選挙権に道開かれず。昔は18歳の3分の2が働いていたんだと説得できるが、この20年間の文部科学省の利権あさりともいえる私立大学の乱造で、18歳は納税者から税金で遊ぶ世代に代わってしまった。
それから、この主務大臣は菅義偉。この間のマスコミ弾圧、公務員制度改革、ふるさと納税と、安倍晋三的なるものの忠実な実行者なんだとまざまざと感じる。
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