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2007.05.11

5/11 35人学級実現に月250円の財源

朝日新聞の記事で、35人学級を実現するためにかかるコストは全国で3000億円と中教審が試算。

教育は技術であるし、技術は内容が一律ではないから一律少人数学級が必ずしもいいとは思わないが、このぐらいの密度の教職員数を現場に送り込み、60人学級だったり、10人学級だったり、科目や内容によってフレキシブルにやったらどうかと思う。
にしても、必要なコストは3000億。おおざっぱに勘定して国民1人あたり年3000円の負担。月にして250円。缶ジュース2本分。週刊誌一冊分。スターバックスのコーヒーならおつりが来る。ビールジョッキなら1杯で2ヵ月分。

35人学級の是非をめぐって論争するのにかかるコスト(日教組や全教、地方議員候補者が30人学級をめざしてつくりつづけたビラのコスト、配布する人員の手間の時給換算、反論する官僚の作文にかかる人件費、国会審議のコスト、支援したり反論を応援したりする学者や評論家の情熱、放送電波、新聞印刷代)を考えたら、改善のための増税もありだと思う。またこれをやらずに国民が私塾に膨大な私費をつぎ込んだり、教育格差でひがんだり悩むぐらいなら、安い投資だと思う。
社会保障制度への不安からおこる不必要な保険の加入や、教育不安による私塾の負担は、国民負担としてカウントされないけれども、本来的には公共サービスの不足・不安によるコストなのだから、これも国民負担に算入して議論すべきだと思う。

話を戻して、教員を加配するのだから、と条件をあれこれつけると、国会議員の政策秘書制度みたいに制度の目的と現実がかみ合わず運用が歪んでしまうから、保育所の保育士配置ように、過疎地の少人数の学校などを除き、単純に子どもの数に比例させて教員を配分し、クラス数・クラス定員などあまり問わずに自治体の裁量で決定できる仕組みにした方がいいと思う。
安定した子どもの多い地域と、不安定な子どもの多い地域と、同じ職員数でも、配置のありようというのは変わっていくべきものだから。

これまで何となくお金がかかるはずだ、という議論で神学論争ばかり続けてきたが、こうして積算根拠のあるコストが見えててくると、ある程度、冷静かつ前向きな議論ができると思う。教育不安から国民が負担している膨大な私塾の経費(隠れ国民負担)を考えると、こうしたコストは四の五の言わずに捻出した方が国民全体ではトクだ。

●朝日新聞をけなし続けたので、少しいい記事も紹介したい。
8日のリサイクルごみの業者の抜き取りに関する第2社会面の記事はよかった。抜き取りをする業者たちの言い分として、自治体がリサイクルなんて騒ぐ前から仕事をやってきたのに自治体が仕事を奪ったという現実も紹介し、古紙再生業が崩壊していた時代に何とか事業を再建させてきた自治体の苦労も紹介し、両者を珍しく対等に扱って、それぞれの重たい事情を紹介していたと思う。
さらに、リサイクルごみの処理について、自治体がすべてをやるのではなく、自治会に業者と直接収集契約をするよう紹介することにした中野区の取り組みなども紹介していた。多くの自治体はリサイクルごみを直営で完全に収集するわけではなく、役所が決めた委託業者に丸投げするだけなのだから、制度の枠組みを自治体が保障して、地域社会が零細業者ときちんとした関係(抜き取りとそれを告発するという関係ではなく)をつくるというのはいいことだと思う。

35人学級実現、教員給与3千億円増 中央教審特別部会
2007年05月11日02時56分朝日新聞

 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の「教育振興基本計画特別部会」が10日、都内で開かれ、委員の小川正人・東京大教授が全国の公立小中学校すべてで35人学級を実現するには、教職員を約4万5000人増やす必要があり、給与支払額は年間約3000億円増えるとの試算を発表した。小川教授は「教職員の多忙な状況を改善するためには、こういう支出を検討する必要がある」と述べ、多くの委員も賛同した。

 文部科学省によると、現在は公立小中で約70万人の教職員がおり、給与総額は年約4兆8000億円。小川教授は「1990年ごろは、35人学級実現のため年1兆数千億円が必要とされたが、児童生徒の減少もあり30人以下の学級も増え、今は負担が少なくてすむ」と指摘。30人学級の完全実施には約11万人の増員が必要で、給与負担は年約8000億円増える、とした。

 教職員の数は子どもの数に合わせ変化してきた。06年度からの5年間で1万5000人の増員を目指す予定だったが、公務員給与全体の見直しが進む中、見送られた。

 特別部会は、改正教育基本法で設置が決められた教育振興基本計画の策定を審議している。この日は部会長の三村明夫・新日鉄社長の提案で、計画案を作成するために10人程度のワーキンググループを設けることを決定。中教審の審議は原則公開だが、このグループは非公開になった。

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コメント

公教育の質の底上げにもっとコストを払うべきというのは激しく同意しますが警察官以外の職種の公務員の人件費を増やすために余分な税金を払うのにヒステリックなほどのアレルギー的抵抗感がありますからね今の人は。
一方で教育公務員に払うコストは廻りまわって自分たちの利益になる物でも一円でも値切ろうとする癖に自分のポケットに直接入る児童手当はもっと欲しいと思っている人が大半なわけで。より良い社会作りの参画の一環として当事者意識を持って応分の負担をしようと思えないわが国民とは一体何者・・・・・??

投稿: 北狐 | 2007.05.12 01:03

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